第173話 まさか、と思った日

文字数 612文字

【お題】 雨が続けばいいのに


 簡単そうなのに、ありきたりになりそう。

 学生時代、夏の体育は憂鬱だった。水着になりたくないから。
 雨が降ればプールは中止。夜寝る前に祈った。

 今は週に1度、区のプールに通う。水着になるのはぜんぜん平気。だって周りは似たり寄ったり。





『雨が続けばいいのに』で連想したのは、甲子園決勝戦前のこと。
 雨で中止になったのは1日だけ。
 割れた爪で投げた飛雄馬は花形にホームランを打たれてしまうのだった。





 4年前のその日、日本中の人がその報道に驚愕し、信じられず、嘆いた。

 私はその人の番組はあまり観なかった。
 娘と息子は好きだった。
 ゲラゲラ笑っているのを、冷めた目で見ていた。

 音楽のエッセイを投稿するようになり、ちあきなおみの『夜に急ぐ人』から、あなたのコントに行き着いた。

 おかしい。おかしい。
 おかしいけど、笑えない。

 逝ってしまったのがあまりに衝撃的だったから。

 今日、このお題で、またあなたのコントに出会った。お笑い番組を観なかった私は、有名なコントなのに知らなかった。

 歌は知っていた。
 お題から連想した。

『雨が続くと〜』

 そして、いろいろ検索したの。
 

『雨が続くと仕事もせずに
 キャベツばかりをかじってた』


 かぐや姫の『赤ちょうちん』

 あなたはキャベツを食べ続けた。


『雨が続くと仕事もせずに
 キャベツばかりをかじってた』

 何度も何度も、
 雨は降り続き、
 キャベツばかりをかじってた。
 
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