第75話 作りません

文字数 619文字

 カレーをカレー粉から作る。
 数回やってみたけど、手間がかかるわりにおいしくできなかった。
 カレーは市販のルーで充分おいしいし。
 年寄り2人になると1度作れば3日は食べなければならないから、レトルトでもいいんだけど。

 夫が退職してから料理するようになった。
 突拍子もないことをやり出す。餃子を皮から作る、とか。
 大昔、蕎麦を打つ、とか言って大きな麺台を買ってきたが、1度作ったきり。床まで粉だらけにして、切るそばからくっついてうまくできなかった。
 そのあとは私がパンやドーナツ作るのに使ったけど、大きくてずうっと邪魔にされついに処分した。

 夫はメニューをネットで探す。持病がたくさんあるので体に良いもの。それを印刷してファイルに綴る。時間がかかる。
 いざ作り出すと、もっと時間がかかる。ふたつ以上を同時進行できない。おかあさんはすごいな、と言う。
 2時間かけて作ったものをあっという間に食べ終わる。投稿と同じ。
 
 先日、いんげんと何かの炒め物をしていて叫んだ。
「カレー粉がない」
「ないわよ。そんなもん」
 あるかどうかも確かめずに……
 できたのは、普通の炒め物。

 その後、カレー粉を買ってきたが手付かずのままだ。

 作ってよ。カレー粉から。
 あなたに何度言われたことか?
 まずい……とはっきり。

 2度と作りません。カレー粉から作るカレーと、サフランを入れるブイヤベース。
 私は、まずい……なんて言いませんから。
 

【お題】 カレーはパパに任せろ
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み