第19話 突拍子もない

文字数 817文字

 某サイトの先日のお題『マシマシちゃん』

 ときどき、突拍子もないお題が出る。絶対書けない、と思うようなもの。
『マシマシちゃん』なんて知らない言葉。

✳︎

 どうしましょ、どうしましょ。 
 まず、マシマシちゃんの意味がわからない。検索したらラーメン屋のことばかり。増量のことらしい。

 増量ちゃんはわたしです。
 2年前、某ブログで知り合ったAさん。
 アラカンの主婦、ブログ初心者、朝はウォーキング、趣味はゴルフ……等、自分に似ていたので、お邪魔して友達になった。
 住んでいる場所は離れている。名もペンネームしか知らない。なのに、だから、なんでも話せた(?)
 夫の悪口、子どもの不満、いやなこと、愚痴ったり励ましたり。
 会うこともない。どちらかになにかあれば、そこで終わる。そんな関係。それでいいと思っていたのだけれど。

 来月、用事でこちらのほうに出てくることになり……
 会おうと言うのだ。
 さあ、大変。
 なんたって、会うことはないと思っていたので、全部マシマシちゃん。
 年齢はアラカンよりかなり上。
 たくさんマシマシしたのは? 
 生活レベル。
 家は雑誌で見た某建築家に頼んだ、とか。これはお嫁のご両親の家のこと。
 薔薇が好きで、季節には近所の人が見に来るとか。これは近所の豪邸の話。実際はベランダに死にそうなのがひと鉢。
 料理の腕。お菓子はパティシエになりたかったとか。
 ブティックに勤めていたから、センスがいいと思われている。勤めていたのは事実だけれど、今じゃ体重マシマシちゃん。これはかなり少なめに言ってある。
 歯もないし、耳も遠い。髪も真っ白。でも、お金もないから自然のまま。これじゃランチなんて無理無理、会話なんてできない。
 どうしよう、どうしよう。
 誰を死なせよう。

 なんて、そこまでひどくはない。嘘は吐いてない……はず。
 会いたいような、会いたくないような。
 なんかドキドキ。
 若いですね、と思われたい。
 どうしよう、どうしよう。
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