第28話 ドングリがない

文字数 857文字

【お題】 ラブ・まつぼっくり


 まつぼっくりからドングリを連想。

 ドングリがない。ドングリがない。餌がない。

 すごく久しぶりに秋田の田舎に行った。義兄が人工透析に心臓病。ここ3年、コロナ禍で見舞いにも来てくれるな、と。
 すごく久しぶりに会った義兄は痩せて杖をついてひどく弱々しかった。
 夫が、ショックで生活を見直そうと休肝日を取るほど。

 もうひとつビックリしたのは……
 朝夕は外に出るな、と。
 クマが出る。
 冗談じゃないよ。ほんとだよ。出たら猟友会に電話。義妹も運転してたら、小熊がゴロゴロ落ちてきた。

 山に餌がない。
 なぜ? 山だらけ。木ばっかり。なのになぜ餌がない?

 気候のせいで野菜が不作になるが、ミズナラやブナの豊凶は、野菜の収量の増減とはメカニズムが異なる。
 ミズナラやブナは、積極的に凶作になる年を作っているのだ。
 凶作の年を作ることが、植物の繁殖に重要である、という仮説がある。それが捕食者飽和仮説だ。
 毎年同じ量のドングリを生産し続けると、ドングリを食べる動物たちに、毎年たくさん食べられてしまう。
 一方、凶作の年を作ると、その年はドングリに頼る動物たちの個体数が減る。
 その結果、翌年に多くのドングリを実らせたとしても、食べ尽くされることなく、多くのドングリが発芽の機会を得ることができる。
 つまり、ミズナラやブナの凶作は、果実の捕食者を減らすための植物の戦略といえる。

 今年はそういう年なのか? よくわからないけど。暑さのせいだとニュースでは言ってるが。

 クマは視力が非常に悪く、白黒にしか見えていないので、建物の入り口が暗く見えることがある。
 森の中の暗がりだと思いこんで、人家や納屋、倉庫に入ることはよくあるし、ショッピングセンターに入り込んだのもそういう理由だったからかもしれない。
https://biome.co.jp/biome_blog_142/

 ドングリがない。
 まつぼっくりでもいい。硬いけど食べられる。
 なんでもいい。
 愛はいらない。餌がほしい。

 おい、そこの人、俺を撃つなよ!
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