第60話 新年の集まり

文字数 522文字

 正月は3人の子どもたちが我が家に集まる。狭い我が家に。
 幸せだと友人は言う。3人の子どもが皆結婚して、それぞれ子どもがいる。

 そうなんだけどね。
 皆が皆、順調なわけではない。
 いいことだけ知らせてくれれば良いものを。

 海辺に住む次女の旦那は
「死ぬときは死ぬんですから」
と言う。よく働きよく遊ぶが、孫にてこずっている。
「あなたが孫に手こずり、悩む年月より、あなたが孫に面倒を見られる年月のが長いのよ」
と、ちょっと意地悪を。

 
 この孫たち、避難生活になったらどうなるのだろう? 泣くか喚くか?
 はたまた、励ましかばい合うか?

 この孫が、お遊戯会で歌っていた。

 いつでもスマイルしようね
 とんでもないことが起きてもさぁ 

 ちょっと、聞いてるときは違和感があったのだが。

 歌って励ましてくれるかも。

 ずうっと、ずうっと災害があって、コロナ禍もようやく抜けて、テレビを見てただけの人たちの番になる。
 皆、頑張ってきたのだ。耐えてきたのだ。身内をなくし、家をなくし、心もなくしたかもしれない。

 これからも続くのだ。いずれ、テレビを見ているだけの我が身に降りかかる。
 そのときは……街は強くなっているだろうか? 
 人々は? 

 私は?
 強くなれるのだろうか?
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