第27話 プロヴァンスって?

文字数 568文字

 やっと思い出した。
 鯖のプロヴァンス風。
 ずうっと考えていた。検索しても出てこない。

 結婚したとき、魚は苦手。
 だいたい、母も焼いたのは塩鮭とあじのひらきだけ。あとは湯豆腐に甘塩のタラを切って入れただけ。だから、魚の名前もわからない。

 夫は肉より魚が好きだった。
 だから頑張った。魚料理を。
 覚えた。イサキにタカベ、その他いろいろ。焼いたり煮たり、刺身にしたり。
 鯖はダメ。焼いて……当時はガスがなくて、ぐるぐる巻きの電熱機。グリルも片面焼きで、器具が悪いのか、魚が悪いのか、生焼き、皮ははがれる。腕が悪い。

 本で見つけた鯖のプロヴァンス風。
 切り身に小麦粉ふってフライパンで両面焼く。その間にニンニク、玉ねぎ、トマトを刻みぶっかける。酒に水に月桂樹の葉。アクをすくって煮込む。最後にケチャップと塩コショウ。
 これは褒められた。褒められたから何度も作る。でも、子どもにはイマイチ。

 そこで、鶏肉に変えてみた。ときどきはミートボールに。野菜もナスやじゃがいも、にんじんを追加。
 それはいつしか、我が家の定番、おふくろの味。名前も、ただのトマト煮に。プロヴァンスだなんて忘れてた。
 プロヴァンスとは、フランスのプロヴァンス地方の特産品のトマトやニンニクをたっぷりと使った料理のこと。
 
 秋鯖で作ってみようか。
 鯖のプロヴァンス風ですのよ。
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