第109話 潔し

文字数 774文字

 桜について無知なので検索してみました。
 パッと咲いてパッと散る潔いソメイヨシノ、なぜあんなにきれいなのか知っていますか?

 桜の樹の下には死体が埋まっているからなのですよ。

 ソメイヨシノはなぜ、一斉に咲いて一斉に散るのでしょうか? 

 河津桜は開花期間が長いですね。 パッと咲いてパッと散ってしまうソメイヨシノとは違い、約1ヶ月に渡って咲き続けます。

 ソメイヨシノは江戸時代末期に染井村(現在の東京都練馬区)の植木職人によってつくり出された、エドヒガンとオオシマザクラの交雑種です。 
 その交雑種のなかでもとりわけ美しい花を咲かせる個体を、接木などの手法で増やしたものです。取木や接木で増やした場合、それらの個体はすべて遺伝的にはすべて同一、すなわちクローンです。
 植木職人が江戸時代に、この美しい花を咲かせる雑種であるソメイヨシノに目をつけてから200年以上、クローンでの繁殖を繰り返し、今では日本全国に100万本以上……

 ソメイヨシノは全部クローン!!

 ソメイヨシノはクローン繁殖という形でどんどん増えていったのです。

 
 野生のヤマザクラのように、それぞれが異なる遺伝子であれば、個体によって開花のタイミングも異なりますが、ソメイヨシノはすべて同じ遺伝子を持っているクローンですから、その地域で気温の条件などが揃えば、一斉に咲き始め、満開となり、散っていくのです。

 しかもソメイヨシノは自家不和合性という性質を持っていて、ソメイヨシノ同士の自然交配によって子孫を残すことはできません。ソメイヨシノと他の品種の桜を交配することはできますが、それは別の品種になってしまいます。

 つまり、ソメイヨシノは人間の手を借りないと増えることのできない品種なのです。ですから人類が突然滅んでしまったら、ソメイヨシノはもう増えません。ソメイヨシノも滅びゆくのです。
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