第104話 月日は流れ

文字数 406文字

 娘が小学校に入学して、最初に連れてきた友達はヒカル君だった。娘も小さかったが、彼はもっと小さかった。
「ほら、ヒカルっていうの、かわいいでしょ」

 家が近かったので、よく遊んでいた。ヒカル君のパパが、もう、ガールフレンドができたのか? と喜んでいたとか。

 バレンタインデーにはチョコレートを渡しにいった。パパはまた喜んだかな?

 ホワイトデーの夜、といっても6時頃かな、ヒカル君が来た。離れてママが立っていた。
「早く渡しなさい」
 ママに急かされ、ヒカル君は玄関にお返しの包みをぶん投げて、恥ずかしそうに逃げていった。

 それから少しして、ヒカル君のパパが亡くなった。
  
 
 ヒカル君とは小学校、中学校も一緒で、成人したあとも仲間で集まり飲みにいってた。

 小さかった娘は大きくなった。言われたそうだ。
「おまえ、小さいときはかわいかったのにな」

 娘は⚪︎⚪︎キロ超え。あんなにかわいかったのに。



【お題】 ホワイトデーの夜に
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