第66話

文字数 1,485文字

「今なら使える……ホーリーメテオ!」
「ダークフレイム!」


 じじいは光属性の弾を撃ち出す。魔王は闇属性の炎を撃ち出あう。互いがぶつかり、辺りの地面や岩が破壊されていく。


「くっ、押し負けるか」


 ダークフレイムがホーリーメテオを押しのけて突き進む。じじいは前へ走り出し、ダークフレイムを避けて斬り掛かる。


「うぐっ!」


 魔王の腹部を切り裂いた。


「ちっ、浅いか」


 どうやら表面だけを斬った様だ。魔王は勢いを止めずに大剣で斬り掛かる。じじいは先読みでかわす。


「何なんだ、こいつの回避能力は」



 お互いに距離を取る。


「簡単には勝たせて貰えないか」
「その凄まじい回避を防ぐには、広範囲による攻撃が必要なようだな」


 魔王は炎を薙ぎ払う様に横に吐き出した。流石にこれは先読みでは対応できない。


「やり難い、流石魔王」


 じじいはライト斬りで炎を切り払う。そのまま奥義を繰り出した。


「光の一撃!」


 ギィン!


 光の一撃は魔王の大剣によって防がれてしまう。勢いでやや後ろへ下がる魔王。


「前回私を倒した奥義は使わないのか?」
「あれはとっておきなんだ。そうそう簡単には出せないな」
「そうか、もしや出したくても出せないのかと思っていたぞ」


 魔王の予想通りだった。前回の魔王戦で出した光の波は、じじいの最強の奥義。宝石の力でパワーアップしているとは言え、あれを出すにはまだ魔力が足りていないのだ。



「ダークニードル!」


 剣を合わせた近距離で魔王は魔法を撃ち出した。闇属性の小さい針のような刃が、幾つもじじいを襲う。


 ピシピシピシッ


 聖剣でガードするが、幾つかが肌を掠める。そのまま魔王は大剣で突きを繰り出す。


 ガキィン!


 聖剣でガードしたじじいはそのまま後ろへ押し出される。


「やっぱり力が凄い。魔力も凄い」
「魔族の王なのでな。そこ等の魔物には負けぬよ」


「このままだとジリ貧になるか」


 恐らく魔王はMPも桁外れだろう。どう考えても削られるのはこっちだ。


「結局、どうにかして光の一撃を直撃させないといけない。その為にどうやっていくか、だな」


 パワーアップのお陰で奥義でもまだ複数回出せる。かと言って無駄撃ちは出来ない。




 魔王は大剣を振り回してきた。


 ギィン!ギイィン!


 連続でガードし、威力で後ろにずらされる。三発目を先読みでかわして、クロス斬りを放つ。…バランスが崩れてしまっていたせいで、思ったように振れなかった。1発目を空振りして、2発目は軽くガードされる。


「くっ、1発1発の威力が高すぎる」


 これではメンタル的にも宜しくない。


「どうした、そんな事で私を倒せるのか」


 魔王は大剣での突きでじじいをまた吹っ飛ばす。ガードしても単純なパワーの差で距離を開けられてしまう。更にそこへ炎を吐き出す。


「ぐ……これはキツイ」


 聖剣でガードするも炎の余波はじじいに届く。



 じじいが魔王を見ると、魔王は魔力を溜めていた。ダークフレイムなんか比にはならない魔力だ。


「またあの魔王ビームとかいう、ふざけた名前の魔法を撃つつもりか。もう迷っている暇も無い、か」


 じじいは聖剣を目の前に立てて魔力を込めた。


「奥義・光の風!」


 光がじじいを包み込み、そして吸収されていく。じじいの四つ目の奥義は、光の加護を最大限に発揮させる技。これでじじいの基礎能力値が一時的に上がる。弱点は、発動に多大なMPを消費する事。発動中は少しづつMPが消費されていく事だ。

 あの変な名前の魔法から逃れる方法は他に無かった。そもそも、確実に逃れられる確証も無かった。発動中に魔王を倒し切れなければ後が無いのだ。



「食らえ、魔王ビーム!」


 魔王は魔力を天に放った。




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登場人物紹介

【レイス】

本作の主人公。

200年前に魔王を打ち破った勇者。

光の精霊の加護を受けており、光属性の魔法や魔法剣を使用する。

【ニャン太】

勇者レイスの使い魔。

光の精霊がレイスに遣わせた精霊見習い。。

猫の姿は仮の姿である。


【ポコポコビッツ】

200年前に勇者に敗れた魔王。

封印されており、復活する時を待っている。

闇属性の魔法を使用する。

【ドーン】

ルファウスト王国の宮廷魔術師。

とある要件でとある人間を追っている。

主に無属性の爆発魔法を使用する。

【ヘンリー】

ルファウスト王国に住む魔法剣士。

世界大会で優勝するのが夢。

無属性の魔法剣を使用する。

【ポーン】

サーザリッド王国の兵士。

研修でルファウスト王国へ来ており、大会での案内等を行う。


【光の精霊】

レイスに光の加護を授け、ニャン太を遣わせた本人。

レイスに間違えて「不老不死」でなく「不死」を与えてしまったおっちょこちょいさん。

【魔王直属軍】

200年前は大きな軍だった。

レイスと戦って敗れた事でかなり数を減らしてしまった。

魔王が封印された後は、殆どの者が目的も無く過ごしている。

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