第72話
文字数 1,349文字
「レイスさん、お久し振りです。覚えていますか?」
「あ、お前は……予選大会と本選大会に居た兵士?」
会場近くの酒場で兵士に声を掛けられた。最初の方の大会で闘技場で働いていた兵士だ。ちょっと会話した事もあったな。
「私は兵士のポーンと言います」
「にゃー(なんだんなんだ、安直な名前だな)」
「なんだなんだ、安直な名前だな」
「にゃー(うわ、じじいと台詞が被っちまった)」
「私も覚えていますよ」
「ドーンさんもお久し振りです」
「え、なに知り合い?」
「地区大会でお世話になった兵士さんだ」
「ここで会えるとは思いませんでしたよ」
確かに、この兵士と国を跨いで再開するとは思わなかった。
「お前はどうしたんだ、こんな所で?」
「実は私も世界大会に出場するんですよ」
「えっ、ポーンさんがですか?」
「元々私はこの国の兵士なんです。国家間の交流の一環で、研修であっちに居ただけなんですよ」
「って事は、この国の全国大会に優勝してるって事だよな」
「はい。ちゃんと全部の大会に出てますよ」
「にゃー(研修で留学してた感じ?)」
「この猫は誰かのペットですか? かわいいですね」
「にゃん(そうだろうそうだろう)」
「それは俺の相棒だ。ニャン太って言う」
「そうなんですね。宜しくどうぞ」
「にゃー(うむ、苦しゅうない)」
「まあなんだポーンとやら、座りなよ」
「はい、では失礼します」
ポーンも同じテーブルに座り、注文を済ます。
「仕事が忙しくなってきたり、私自身の大会もありましたのでレイスさんの全国大会は見れませんでした。そうですか、レイスさんが優勝したんですね」
「はい、それで私とヘンリーさんは今回は応援です」
「俺に勝った以上は、じいさんには優勝して貰わないとな」
「そうだな」
「そう言えば、ドーンさんは大丈夫なのですか? 確かあちらの王国の宮廷魔導師だったと思うのですが」
「ああ、それは……」
ドーンは一瞬、口ごもる。クスリの事を言って良いものか、考えた後に話し始めた。
「レイスさんの応援も勿論なのですが、実はとある人間を追っていまして」
「とある人間?」
「あるクスリを常用している疑いをもつ者が、この大会に出るんです」
「ああ、あいつか。」
「そのクスリは使用者の能力を一時的に著しく上昇させるのです。その代わりに副作用として、その者の命を脅かしていくのです」
「……もしかして、ケーオ・ブケーですか?」
「ん、何か知っているのか?」
「ええ。知っています」
ポーンによると、この王国でもケーオに対する疑惑があるそうだ。証拠が押さえられていない為、何とかしたいという事らしい。しかも最近になって闇属性の魔法をも使用するようになった。これはいよいよオカシイと考えられているらしい。
「役人としての目的は同じなんだな」
「良いじゃねえか。ケーオを狙うヤツが増えたって事だろ?」
「まあ、そうとも言えますか。試合中に追い詰めて、見える所で現行犯逮捕したいのです」
「こうなったら、クスリを使用したら試合関係なくその場にでて取り押さえましょうか?」
「いや、クスリが効いてる間って危なくねえか? めっちゃ強くなってるんだろ?」
「とは言え、皆で抑えに掛かれば流石に大丈夫ですよ」
魔王の憑依している可能性が無ければ、の話だが。
暫く話をした後、解散しそれぞれ宿に戻って行った。
「あ、お前は……予選大会と本選大会に居た兵士?」
会場近くの酒場で兵士に声を掛けられた。最初の方の大会で闘技場で働いていた兵士だ。ちょっと会話した事もあったな。
「私は兵士のポーンと言います」
「にゃー(なんだんなんだ、安直な名前だな)」
「なんだなんだ、安直な名前だな」
「にゃー(うわ、じじいと台詞が被っちまった)」
「私も覚えていますよ」
「ドーンさんもお久し振りです」
「え、なに知り合い?」
「地区大会でお世話になった兵士さんだ」
「ここで会えるとは思いませんでしたよ」
確かに、この兵士と国を跨いで再開するとは思わなかった。
「お前はどうしたんだ、こんな所で?」
「実は私も世界大会に出場するんですよ」
「えっ、ポーンさんがですか?」
「元々私はこの国の兵士なんです。国家間の交流の一環で、研修であっちに居ただけなんですよ」
「って事は、この国の全国大会に優勝してるって事だよな」
「はい。ちゃんと全部の大会に出てますよ」
「にゃー(研修で留学してた感じ?)」
「この猫は誰かのペットですか? かわいいですね」
「にゃん(そうだろうそうだろう)」
「それは俺の相棒だ。ニャン太って言う」
「そうなんですね。宜しくどうぞ」
「にゃー(うむ、苦しゅうない)」
「まあなんだポーンとやら、座りなよ」
「はい、では失礼します」
ポーンも同じテーブルに座り、注文を済ます。
「仕事が忙しくなってきたり、私自身の大会もありましたのでレイスさんの全国大会は見れませんでした。そうですか、レイスさんが優勝したんですね」
「はい、それで私とヘンリーさんは今回は応援です」
「俺に勝った以上は、じいさんには優勝して貰わないとな」
「そうだな」
「そう言えば、ドーンさんは大丈夫なのですか? 確かあちらの王国の宮廷魔導師だったと思うのですが」
「ああ、それは……」
ドーンは一瞬、口ごもる。クスリの事を言って良いものか、考えた後に話し始めた。
「レイスさんの応援も勿論なのですが、実はとある人間を追っていまして」
「とある人間?」
「あるクスリを常用している疑いをもつ者が、この大会に出るんです」
「ああ、あいつか。」
「そのクスリは使用者の能力を一時的に著しく上昇させるのです。その代わりに副作用として、その者の命を脅かしていくのです」
「……もしかして、ケーオ・ブケーですか?」
「ん、何か知っているのか?」
「ええ。知っています」
ポーンによると、この王国でもケーオに対する疑惑があるそうだ。証拠が押さえられていない為、何とかしたいという事らしい。しかも最近になって闇属性の魔法をも使用するようになった。これはいよいよオカシイと考えられているらしい。
「役人としての目的は同じなんだな」
「良いじゃねえか。ケーオを狙うヤツが増えたって事だろ?」
「まあ、そうとも言えますか。試合中に追い詰めて、見える所で現行犯逮捕したいのです」
「こうなったら、クスリを使用したら試合関係なくその場にでて取り押さえましょうか?」
「いや、クスリが効いてる間って危なくねえか? めっちゃ強くなってるんだろ?」
「とは言え、皆で抑えに掛かれば流石に大丈夫ですよ」
魔王の憑依している可能性が無ければ、の話だが。
暫く話をした後、解散しそれぞれ宿に戻って行った。