第105話
文字数 1,370文字
魔王は爪で攻撃してくる。光の一撃のダメージのせいか、少しだけ動きが鈍い。爪を聖剣で弾き、その勢いで斬り付ける。
ガギッ!
直撃するが、通常攻撃ではダメージが通らない。どうする……覚悟を決めるべきかもしれない……
「レイ!」
じじいはレイを発動し、時間を稼いだ。その間に魔力を溜め始める。
「あ……あのじじいの魔力は、まさか!?」
「魔王、やっぱり強かった。今まで戦った誰よりもな」
「ん、な……何だ!?」
「悪いけど、俺もまあまあ限界なんだ。この奥義で決めさせて貰うよ」
じじいの周りに聖なる魔力が集まって来る。聖剣を腰に仕舞い、両手を前へ突き出す。両手に光の魔力が纏められる。
「この技は……!?」
「2回共この最大の奥義で葬られるんだ。安心して成仏しな」
「奥義・光の波! 敵を貫け!」
両手に集めた魔力が一気に広がった。魔王は過去に敗れた恐怖から動けない。
「や、やりやがった!」
フロア全体が光の魔力に包まれる。魔王の周りに光属性の聖気の弾が現れる。
1つ……2つ……3つ…………
そしてその聖気は一瞬で消え去った。回りの魔力も消える。
「……え?」
「……え?」
「……ん?」
これがRPGなら、『MPが足りない!』と表示されるだろう。
「MP不足……う、嘘だろ?」
「じじいにはもう光の波を出すMPが残っていなかったのか。光の風の副作用である常時MP消費がじわじわ効いてたんだ。」
「ふっふっふ。まさかのMP切れだとはな」
「……くっ!」
「とんだ拍子抜けだが、これで勝負あったな」
「ちくしょう!」
魔王は魔法によって自身の剣を出した。あの大剣である。
「本当の奥義という物を見せてやろう」
魔力を溜めて、魔王は魔王ビームを発動した。そのビームを自分の頭上に落とす。
「何をするつもりなんだ」
「……何だ」
大剣で魔王ビームを受け止めて、その魔力を宿す。あれだけの大技を受け止めた大剣は暗黒に輝く。
「光の一撃の闇バージョンかよ」
「あんなもん食らったら肉体が消えちまう!」
「必殺の魔王スラッシュだ。私の最大の奥義であの世に送ってやろう。安心して成仏する事だ」
「相変わらずの酷いネーミングセンスだな」
「じじいの奥義も名前はヤバいだろ! 諦めるな!」
魔王は魔王スラッシュを繰り出した。
「……そうだな。簡単には諦めちゃいけないよな」
じじいは魔力を溜める。
「光の波が発動できなくても……これなら!」
聖剣を握る。一気に引き抜き、斬り付けた。
「奥義・光の一撃!」
光の一撃と魔王スラッシュがぶつかる。光と闇の魔力が辺り一面に弾ける。
「うおおっ!」
「無駄だ!」
「負けるものか!」
ガギイィィン!
魔王スラッシュが光の魔力を打ち消して聖剣ごとじじいに直撃する。光の一撃のお陰で、威力が落ちていたようで消滅する事は無かった。それでもじじいは激しく吹き飛ばされて、壁に激突した。
「じじい!」
「う……ごふっ!」
吐血する。
恐らく肋骨はバラバラだ。内臓もどれだけ傷ついているか。不死でなければもう死んでいるだろう。
また吐血する。量が普通じゃない。
「終わりだな。勇者レイスはここに敗れたのだ」
「…………」
目の前がクラクラする。身体の動きが鈍い。
今までに感じた事の無い気だるさ。不思議と痛みはあまり感じない。
その代わりに何とも言えない恐怖が襲ってくる。
コトッ
腕に何かが触れる。
ガギッ!
直撃するが、通常攻撃ではダメージが通らない。どうする……覚悟を決めるべきかもしれない……
「レイ!」
じじいはレイを発動し、時間を稼いだ。その間に魔力を溜め始める。
「あ……あのじじいの魔力は、まさか!?」
「魔王、やっぱり強かった。今まで戦った誰よりもな」
「ん、な……何だ!?」
「悪いけど、俺もまあまあ限界なんだ。この奥義で決めさせて貰うよ」
じじいの周りに聖なる魔力が集まって来る。聖剣を腰に仕舞い、両手を前へ突き出す。両手に光の魔力が纏められる。
「この技は……!?」
「2回共この最大の奥義で葬られるんだ。安心して成仏しな」
「奥義・光の波! 敵を貫け!」
両手に集めた魔力が一気に広がった。魔王は過去に敗れた恐怖から動けない。
「や、やりやがった!」
フロア全体が光の魔力に包まれる。魔王の周りに光属性の聖気の弾が現れる。
1つ……2つ……3つ…………
そしてその聖気は一瞬で消え去った。回りの魔力も消える。
「……え?」
「……え?」
「……ん?」
これがRPGなら、『MPが足りない!』と表示されるだろう。
「MP不足……う、嘘だろ?」
「じじいにはもう光の波を出すMPが残っていなかったのか。光の風の副作用である常時MP消費がじわじわ効いてたんだ。」
「ふっふっふ。まさかのMP切れだとはな」
「……くっ!」
「とんだ拍子抜けだが、これで勝負あったな」
「ちくしょう!」
魔王は魔法によって自身の剣を出した。あの大剣である。
「本当の奥義という物を見せてやろう」
魔力を溜めて、魔王は魔王ビームを発動した。そのビームを自分の頭上に落とす。
「何をするつもりなんだ」
「……何だ」
大剣で魔王ビームを受け止めて、その魔力を宿す。あれだけの大技を受け止めた大剣は暗黒に輝く。
「光の一撃の闇バージョンかよ」
「あんなもん食らったら肉体が消えちまう!」
「必殺の魔王スラッシュだ。私の最大の奥義であの世に送ってやろう。安心して成仏する事だ」
「相変わらずの酷いネーミングセンスだな」
「じじいの奥義も名前はヤバいだろ! 諦めるな!」
魔王は魔王スラッシュを繰り出した。
「……そうだな。簡単には諦めちゃいけないよな」
じじいは魔力を溜める。
「光の波が発動できなくても……これなら!」
聖剣を握る。一気に引き抜き、斬り付けた。
「奥義・光の一撃!」
光の一撃と魔王スラッシュがぶつかる。光と闇の魔力が辺り一面に弾ける。
「うおおっ!」
「無駄だ!」
「負けるものか!」
ガギイィィン!
魔王スラッシュが光の魔力を打ち消して聖剣ごとじじいに直撃する。光の一撃のお陰で、威力が落ちていたようで消滅する事は無かった。それでもじじいは激しく吹き飛ばされて、壁に激突した。
「じじい!」
「う……ごふっ!」
吐血する。
恐らく肋骨はバラバラだ。内臓もどれだけ傷ついているか。不死でなければもう死んでいるだろう。
また吐血する。量が普通じゃない。
「終わりだな。勇者レイスはここに敗れたのだ」
「…………」
目の前がクラクラする。身体の動きが鈍い。
今までに感じた事の無い気だるさ。不思議と痛みはあまり感じない。
その代わりに何とも言えない恐怖が襲ってくる。
コトッ
腕に何かが触れる。