第46話

文字数 1,066文字

 仮眠から覚めた後は、適当に身体を動かしていた。


「やっぱ全国大会まで来ると、平均的にレベルが高い。それに今日はこの1回戦だけだから皆気合も入っているな」


 下見の時に知り合ったスボイトも無事に勝ち上がっていた。槍使いという事だったが、割と圧倒して勝っていたので実力は分からない。


「あ、決まった」


 じじいの前の試合が終わった。この戦士が2回戦で戦う事になる。水を飲み、ストレッチで身体をほぐす。もうすぐアナウンスが入るだろう。軽い緊張が襲ってくる。


「レイス選手、試合が始まります。5分以内に魔法陣へ行って下さい」
「……魔法陣酔いする俺にとっては毎回がハンデ戦だ」


 そう言って魔法陣へ進んだ。光がじじいの身体を包む。フワッとし気付くと小部屋に居た。


「レイスさん、ようこそ」


 小部屋には魔法陣が1つ、ドアが1つだけだった。兵士が出迎えてくれている。


「そこのドアの先が闘技場です。さあ、奥へどうぞ」
「ありがとう」




 ドアを抜けると風を感じた。階段を昇ると石造りの闘技場が姿を現したのだ。


「いらっしゃいませ。相手のジェニーさんも来られてますよ」


 向こうを見ると盗賊風の男が立っていた。こいつが対戦相手のジェニーというヤツだろう。



「観客席との間には魔法の壁が貼られています。見た目は何も感じないですが、魔法を撃っても観客には届かない様になっています。安心して全力で戦い頂けますよ」

「へえ、凄いじゃん。しかも防音にもなっていそうだな」
「確かに。観客は盛り上がっているが、歓声は弱く聞こえるな」

「上の方にあるモニターではお2人の戦いがアップで映し出されます。モニターの下にある部屋が貴賓席です」

「貴賓席? お偉いさんでも居るの?」
「はい。国王様が来ていらっしゃいますよ」
「王がわざわざ見に来ているのか」
「ええ。国王様はこういった催し物が大好きですので。そろそろ時間なので、始めましょうか」



 そう言うと兵士は後ずさりする。そして手をモニターへ向けた。モニターにはじじいとジェニーの写真や紹介が書かれている。いつの間にあんな写真を?


「只今より第1回戦、第13試合を開催します。ジェニー選手VSレイス選手!」


 モニターのせいもあるのか、思ったよりあっさりしている。




「バトル、スタート!」




「見た目はじじいなんだけどな。地区大会の優勝者だろ?」
「ああ、普通に進んで来たぜ」
「じゃあ強いんだよな。まあ一気にいかせて貰うわ」
「そうかい、まあ宜しく」


 お互いに構えた。相手の武器は短剣か。


「いくぜ、じじい! てえい!」


 まっすぐ突いてきた剣を止めて、聖剣を薙ぎ払った。




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登場人物紹介

【レイス】

本作の主人公。

200年前に魔王を打ち破った勇者。

光の精霊の加護を受けており、光属性の魔法や魔法剣を使用する。

【ニャン太】

勇者レイスの使い魔。

光の精霊がレイスに遣わせた精霊見習い。。

猫の姿は仮の姿である。


【ポコポコビッツ】

200年前に勇者に敗れた魔王。

封印されており、復活する時を待っている。

闇属性の魔法を使用する。

【ドーン】

ルファウスト王国の宮廷魔術師。

とある要件でとある人間を追っている。

主に無属性の爆発魔法を使用する。

【ヘンリー】

ルファウスト王国に住む魔法剣士。

世界大会で優勝するのが夢。

無属性の魔法剣を使用する。

【ポーン】

サーザリッド王国の兵士。

研修でルファウスト王国へ来ており、大会での案内等を行う。


【光の精霊】

レイスに光の加護を授け、ニャン太を遣わせた本人。

レイスに間違えて「不老不死」でなく「不死」を与えてしまったおっちょこちょいさん。

【魔王直属軍】

200年前は大きな軍だった。

レイスと戦って敗れた事でかなり数を減らしてしまった。

魔王が封印された後は、殆どの者が目的も無く過ごしている。

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