「太」のお話
文字数 2,557文字
工場の中では鶏が暴れていた。言葉通り、右へ行き左へ行きしている。
「待て、この鶏め! 鍵を返しやがれ!」
どうやらそこにある戦車の起動キーを咥えて、人間から追いかけられているようだ。
「……ん? ニャン太が来たか」
「アンタは……フーテンの鶏さん?」
「お前が来たなら私の出番は終わりだな」
「え?」
鶏は戦車に体当たりした。砲台が歪む。次に飛び上がり上から戦車に落ちて行った。今度は搭乗口がへこんで開閉が出来なくなる。
「あああ、戦車が!」
「ではさらばだ!」
「うわあ! 鶏が喋った!?」
鶏は凄い速さで工場を出て行った。
「何だったんだ……まあ良いか。おい人間ども!」
「うわあ! 猫も喋った!?」
「動物の国を襲わせたりしないぞ!」
「怯えるな、所詮は猫だ。殺してしま。」
「……後悔するなよ!」
人間たちはニャン太に襲い掛かってきた。ニャン太はそれをかわし、順番に攻撃していく。
「うわあ!」
「何なんだ、この猫は。強すぎる」
人間たちを倒している間に、奥の方から戦車が現れた。
「戦車、まだあったのか」
戦車は大砲を発射してきた。
ドガァン!
少し離れた場所に砲弾が落ちる。流石にあんなものが直撃するのはマズい。
「砲身の向きを気を付けていれば、当たる事は無いハズだ」
ニャン太は勢いよく走り出し、戦車に爪で斬り掛かった。傷はつくが、大きくへこんだりはしない。
「この猫め」
「硬いな……あの鶏さんの攻撃力がやばかったって話なのか?」
次に方針に体当たりする。方針はナナメに歪んでしまう。戦車はそれに気付く前に弾を発射してしまった。
ドゴォン!
砲身は爆発する。
「うわあ!」
「これでこいつは終わりだな」
奥の方でまだ機械的な音がする。ニャン太は向かって行った。
奥ではさっきの戦車より大きな戦車が待ち構えていた。その奥には戦艦も待機していた。
「何だあの戦車は。変な形をしてやがる」
「この猫は何なんだ……もしや主竜の差し金か? 俺達を裏切ったのか?」
人間は戦車に乗り込んだ。この戦車はさっきの戦車とは全然違う感じに見える。砲身は丸くなく角張ったデザインで、先に穴が開いていない。砲身以外でも砲身の先に似た様な物が幾つか付いている。
「最新のビーム戦車の威力を味わいやがれ」
「ビーム戦車……まさか、あいつの弾は!?」
砲身の先に光が集まっていく。思った通り……いや、名前の通りのビーム兵器だ。
バシュウウ!
砲身の先に集まった光が、一筋の線となってニャン太を襲う。
「これがビーム兵器!」
ニャン太は何とかかわす。砲身以外の部品からも光の玉が発射される。まるで魔法攻撃の様だ。ニャン太は光の玉をかわしながら戦車に近付いて行った。
ドン! ドン! ドォン!
玉の速さに関しては、よくある魔法より速いかもしれない。
「いくらパワーアップしたからって、所詮は機械。砲身をぶっ潰せば!」
ニャン太は砲身に攻撃を加えた。砲身はさっきの戦車の様に曲がったりはしなかったが、少し外装が剥がれる。
「馬鹿め、動物が攻撃したくらいで壊せるか」
「ダメージはあるな。だったらコイツで」
ニャン太は魔力を溜める。その間にも戦車は主砲と副砲で攻撃を続けてきた。
「どうだ、さっさと食らってしまえ」
「……このままでは先にこちらのエネルギーが切れてしまうかもしれません」
「だったら、さっさと当てるんだよ!」
機械は大地から魔力を供給している訳では無い。車で言うガソリンの様な人工のエネルギーの供給源が存在する。
「いやいや、エネルギー切れを待ってやる気はないけどな!」
ニャン太は必殺技のオーラ爪で砲身の先を攻撃した。基本的に精密機械である程、衝撃には弱い。ましてやビームの発射する箇所は外装も薄かったりするのだ。
ドガァン!
流石の砲身もニャン太の攻撃で破壊された。副砲で攻撃するが、ニャン太はそれらをかわして距離を取る。
「隊長、主砲がやられました!」
「く……こうなったら体当たりだ。あのクソ猫を轢き殺してしまえ」
「ラジャー」
戦車は大きな音を上げて急加速し、ニャン太へ突っ込んできた。
「おっ、何だ。決死の体当たりかよ。ビームより遅い体当たりなんて食らうかよ」
突っ込んで来る戦車の体当たりをニャン太は飛び上がって回避した。ニャン太がよけた先には先ほどの戦車が進行して来ていた。
「せ、戦車がこっちに向かって来ています。」
「何で来てるんだ。避けろ!」
「無理です、間に合いません!」
ドガアァン!
戦車同士は勢いよくぶつかった。恐らく最新鋭であろうビーム戦車の方が耐久力もあったらしい。最初に戦った方の戦車は大きく潰れて行き、少しして小さく爆発した。ビーム戦車もそれに巻き込まれてしまう。
「……どうやら終わったみたいだな」
ビーム戦車は異様な音を立てている。何とか動こうとしているのか、爆発が近いのか。どちらにしろ、もう動けない様だった。
その音に紛れて気付くのが遅れた。
奥に居た戦艦が宙に浮いていたのだった。
「人間を舐めるなよ、動物めが。このまま動物の村を滅ぼしてやる。まずは猫の村を焼き尽くしてやるから覚悟すんだな!」
スピーカーから人間の声が響き渡った。
「にゃんだって、猫の村だって!」
戦艦はゆっくりと空に上がっていく。中に居る人間の笑い声が空に響いていた。
「……人間……」
ニャン太は怒りに震える。空を飛んでいく戦艦には、道を走っては追い付けない。
「この……」
ならば、完全に届かなくなる前に行くしかない。
「この…………」
例え自分がどうなろうとも。
「このクソ人間がぁーーーー!!!」
キレた。
ニャン太は自分の持っている魔力を全て解放した。
「猫の村まで5分です」
「よし、あの猫が追って来る前に一気に滅ぼしてやる」
その時、レーダーに何かがうつる。
「か、艦長。レーダーに何かが……」
「何だ?」
「こ、これは……さっきの猫が突っ込んできます!」
「な、何だって!?」
魔力全開のニャン太は、崖から思いっきり戦艦に向かってジャンプしていた。
ドゴォン!
ニャン太は戦艦を貫いた。そのまま戦艦に乗り込む。
「あわわわ……」
「捕まえたぞ!」
「緊急脱出ポッドを起動させるんだ!」
「覚悟しやがれーー!」
ふにゃーーーーーー!
空に猫の声が響き渡った。
その声をかき消すかの様に戦艦は爆発した。
「待て、この鶏め! 鍵を返しやがれ!」
どうやらそこにある戦車の起動キーを咥えて、人間から追いかけられているようだ。
「……ん? ニャン太が来たか」
「アンタは……フーテンの鶏さん?」
「お前が来たなら私の出番は終わりだな」
「え?」
鶏は戦車に体当たりした。砲台が歪む。次に飛び上がり上から戦車に落ちて行った。今度は搭乗口がへこんで開閉が出来なくなる。
「あああ、戦車が!」
「ではさらばだ!」
「うわあ! 鶏が喋った!?」
鶏は凄い速さで工場を出て行った。
「何だったんだ……まあ良いか。おい人間ども!」
「うわあ! 猫も喋った!?」
「動物の国を襲わせたりしないぞ!」
「怯えるな、所詮は猫だ。殺してしま。」
「……後悔するなよ!」
人間たちはニャン太に襲い掛かってきた。ニャン太はそれをかわし、順番に攻撃していく。
「うわあ!」
「何なんだ、この猫は。強すぎる」
人間たちを倒している間に、奥の方から戦車が現れた。
「戦車、まだあったのか」
戦車は大砲を発射してきた。
ドガァン!
少し離れた場所に砲弾が落ちる。流石にあんなものが直撃するのはマズい。
「砲身の向きを気を付けていれば、当たる事は無いハズだ」
ニャン太は勢いよく走り出し、戦車に爪で斬り掛かった。傷はつくが、大きくへこんだりはしない。
「この猫め」
「硬いな……あの鶏さんの攻撃力がやばかったって話なのか?」
次に方針に体当たりする。方針はナナメに歪んでしまう。戦車はそれに気付く前に弾を発射してしまった。
ドゴォン!
砲身は爆発する。
「うわあ!」
「これでこいつは終わりだな」
奥の方でまだ機械的な音がする。ニャン太は向かって行った。
奥ではさっきの戦車より大きな戦車が待ち構えていた。その奥には戦艦も待機していた。
「何だあの戦車は。変な形をしてやがる」
「この猫は何なんだ……もしや主竜の差し金か? 俺達を裏切ったのか?」
人間は戦車に乗り込んだ。この戦車はさっきの戦車とは全然違う感じに見える。砲身は丸くなく角張ったデザインで、先に穴が開いていない。砲身以外でも砲身の先に似た様な物が幾つか付いている。
「最新のビーム戦車の威力を味わいやがれ」
「ビーム戦車……まさか、あいつの弾は!?」
砲身の先に光が集まっていく。思った通り……いや、名前の通りのビーム兵器だ。
バシュウウ!
砲身の先に集まった光が、一筋の線となってニャン太を襲う。
「これがビーム兵器!」
ニャン太は何とかかわす。砲身以外の部品からも光の玉が発射される。まるで魔法攻撃の様だ。ニャン太は光の玉をかわしながら戦車に近付いて行った。
ドン! ドン! ドォン!
玉の速さに関しては、よくある魔法より速いかもしれない。
「いくらパワーアップしたからって、所詮は機械。砲身をぶっ潰せば!」
ニャン太は砲身に攻撃を加えた。砲身はさっきの戦車の様に曲がったりはしなかったが、少し外装が剥がれる。
「馬鹿め、動物が攻撃したくらいで壊せるか」
「ダメージはあるな。だったらコイツで」
ニャン太は魔力を溜める。その間にも戦車は主砲と副砲で攻撃を続けてきた。
「どうだ、さっさと食らってしまえ」
「……このままでは先にこちらのエネルギーが切れてしまうかもしれません」
「だったら、さっさと当てるんだよ!」
機械は大地から魔力を供給している訳では無い。車で言うガソリンの様な人工のエネルギーの供給源が存在する。
「いやいや、エネルギー切れを待ってやる気はないけどな!」
ニャン太は必殺技のオーラ爪で砲身の先を攻撃した。基本的に精密機械である程、衝撃には弱い。ましてやビームの発射する箇所は外装も薄かったりするのだ。
ドガァン!
流石の砲身もニャン太の攻撃で破壊された。副砲で攻撃するが、ニャン太はそれらをかわして距離を取る。
「隊長、主砲がやられました!」
「く……こうなったら体当たりだ。あのクソ猫を轢き殺してしまえ」
「ラジャー」
戦車は大きな音を上げて急加速し、ニャン太へ突っ込んできた。
「おっ、何だ。決死の体当たりかよ。ビームより遅い体当たりなんて食らうかよ」
突っ込んで来る戦車の体当たりをニャン太は飛び上がって回避した。ニャン太がよけた先には先ほどの戦車が進行して来ていた。
「せ、戦車がこっちに向かって来ています。」
「何で来てるんだ。避けろ!」
「無理です、間に合いません!」
ドガアァン!
戦車同士は勢いよくぶつかった。恐らく最新鋭であろうビーム戦車の方が耐久力もあったらしい。最初に戦った方の戦車は大きく潰れて行き、少しして小さく爆発した。ビーム戦車もそれに巻き込まれてしまう。
「……どうやら終わったみたいだな」
ビーム戦車は異様な音を立てている。何とか動こうとしているのか、爆発が近いのか。どちらにしろ、もう動けない様だった。
その音に紛れて気付くのが遅れた。
奥に居た戦艦が宙に浮いていたのだった。
「人間を舐めるなよ、動物めが。このまま動物の村を滅ぼしてやる。まずは猫の村を焼き尽くしてやるから覚悟すんだな!」
スピーカーから人間の声が響き渡った。
「にゃんだって、猫の村だって!」
戦艦はゆっくりと空に上がっていく。中に居る人間の笑い声が空に響いていた。
「……人間……」
ニャン太は怒りに震える。空を飛んでいく戦艦には、道を走っては追い付けない。
「この……」
ならば、完全に届かなくなる前に行くしかない。
「この…………」
例え自分がどうなろうとも。
「このクソ人間がぁーーーー!!!」
キレた。
ニャン太は自分の持っている魔力を全て解放した。
「猫の村まで5分です」
「よし、あの猫が追って来る前に一気に滅ぼしてやる」
その時、レーダーに何かがうつる。
「か、艦長。レーダーに何かが……」
「何だ?」
「こ、これは……さっきの猫が突っ込んできます!」
「な、何だって!?」
魔力全開のニャン太は、崖から思いっきり戦艦に向かってジャンプしていた。
ドゴォン!
ニャン太は戦艦を貫いた。そのまま戦艦に乗り込む。
「あわわわ……」
「捕まえたぞ!」
「緊急脱出ポッドを起動させるんだ!」
「覚悟しやがれーー!」
ふにゃーーーーーー!
空に猫の声が響き渡った。
その声をかき消すかの様に戦艦は爆発した。