第92話

文字数 1,244文字

 森に入る。奥の方から音が聞こえてくる。まさに洞窟の前、昨日ふにゃにゃんっていう生物と出会った場所だ。


「ふにゃにゃんが襲われているのか?」
「ふにゃにゃんの手下かもよ?」


 辿り着いた先で、何匹ものガーゴイルがふにゃにゃんと戦っていた。



「もう、何なんだな」
「ガオオオ!」


 ガーゴイルは剣でふにゃにゃんに斬り掛かる。ふにゃにゃんはそれをかわし、魔法でガーゴイルを一掃する。


「強い!?」
「何でだ、全く魔力を感じないのに……?」


 ガーゴイルはまだまだ居る。


「とにかく助けるぞ。このままじゃ森だって無事じゃ済まない」
「おうよ」



 じじいは聖剣を構えて、ガーゴイルへ斬り掛かった。


 ズシャッ!


 魔物とは言え、そんな強い魔物ではない。ガーゴイルは1撃で消え去る。


「あれ、レイス。助けてくれるのね?」
「ああ、一緒にこいつらを倒すぞ」


 残るは10匹程度。じじいは1匹に斬り掛かる。その後、横に居たガーゴイルを薙ぎ払いで切り裂く。これで2匹。


「ふにゃー!」


 ニャン太が爪で1匹を切り裂いた。あれは得意技のオーラ爪だな。


「ホーリーメテオ!」
「ふにゃノヴァ」


 左右で激しい爆発が起こる。ちゃんと森の木々にダメージの行かない様にした。ホーリーメテオで2匹、ふにゃにゃんの魔法で3匹。残るは2匹か。



「食らえっ!」


 じじいは一気に斬り掛かり、1匹仕留めた。




 最後の1匹が3方向から囲まれる。ガーゴイルはニャン太へ向かって行った。恐らく、1番小さい奴を狙ったのだろう。ニャン太はガーゴイルの攻撃を難なくかわし、爪で切り裂いた。



「ふう、まあ楽勝だったな」
「ってか、俺らの助けはいらなかったっぽいな」
「そうだね。でもありがとう」



「いや、素晴らしい」
「え……誰だ?」



 森の入り口の方から、青年が歩いてくる。


「人間でありながら、よくぞここまで鍛えたものです」
「何だお前は?」
「……イフ」


 イフと呼ばれた青年は、物おじもせず近付いてくる。



「その生物を渡して貰いましょうか。人間如きに手の負えるモノじゃない」
「う~ん、怖いから奥に隠れるね」


 ふにゃにゃんは洞窟へ隠れてしまう。


「取り敢えず、理由を聞こうか」
「申し訳ないが、人間に話す事は何もないですね」
「……じゃあどけないな」



 イフは手を挙げる。掌に大きな炎が巻き起こる。


「これ以上は待ちません。退くなら最後のチャンスです」
「すげえ……ヤバい魔力だぞ!」
「やるしかない、か」




「仕方がない」


 イフは炎の塊をじじいに放ってきた。じじいは聖剣で斬り付ける。


「ライト斬り!」


 ボワアッ!


 炎は切り裂かれ、ゆっくりと消えて行った。


「ほう、あの炎を切り裂くとは」
「あれくらいじゃ俺には勝てないぜ」


 とは言ったものの、かなり強力な魔法だった。ライト斬りを使用しなければ押し負けていただろう。


 イフは魔力を高め、姿を変えた。赤い皮膚を持つ魔獣の様な姿になる。


「こいつ、魔物だったのか!?」
「魔力がやばい位に強まった」


「死んでも文句は言えない。覚悟して貰いましょうか」



 じじいは焦りながらも聖剣を構えた。




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登場人物紹介

【レイス】

本作の主人公。

200年前に魔王を打ち破った勇者。

光の精霊の加護を受けており、光属性の魔法や魔法剣を使用する。

【ニャン太】

勇者レイスの使い魔。

光の精霊がレイスに遣わせた精霊見習い。。

猫の姿は仮の姿である。


【ポコポコビッツ】

200年前に勇者に敗れた魔王。

封印されており、復活する時を待っている。

闇属性の魔法を使用する。

【ドーン】

ルファウスト王国の宮廷魔術師。

とある要件でとある人間を追っている。

主に無属性の爆発魔法を使用する。

【ヘンリー】

ルファウスト王国に住む魔法剣士。

世界大会で優勝するのが夢。

無属性の魔法剣を使用する。

【ポーン】

サーザリッド王国の兵士。

研修でルファウスト王国へ来ており、大会での案内等を行う。


【光の精霊】

レイスに光の加護を授け、ニャン太を遣わせた本人。

レイスに間違えて「不老不死」でなく「不死」を与えてしまったおっちょこちょいさん。

【魔王直属軍】

200年前は大きな軍だった。

レイスと戦って敗れた事でかなり数を減らしてしまった。

魔王が封印された後は、殆どの者が目的も無く過ごしている。

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