第84話

文字数 1,554文字

「準決勝、第2試合。剣士・スサノオ選手VS魔法剣士・ケーオ選手」



「ケーオ、今度は負けんぞ。リベンジ果たしてやろう!」
「何度やっても同じだ」




「ケーオ、本当に魔王が関係しているのか?だとしたらこんな所で負けたりはしないはず」
「よく見とけ、じじい」



「バトル、スタート!」




 スサノオは例にもれず、大剣を振りかざした。ケーオも剣を構える。


「さあ、ケーオ。前回は見せられなかったが、今回は味わって貰うぞ。この強力な1撃を!」
「見ても良いけど、味がするのか?」
「すぐに分かるさ」


 ケーオは剣に魔力を込める。同時に手を翳し、魔法を発射した。


 バシッ!


 魔法はスサノオに当たるもダメージは全くない。


「魔法の鎧か?」
「うむ、今日の為に準備した」
「なるほど」


 ケーオは遠くから剣を振るった。剣から雷属性の魔法が迸る。


 ドオォン!


 またスサノオに直撃。少しだけスサノオの顔が歪む。


「うおおっ!」


 スサノオは間合いを詰め、一気に大剣を振り下ろした。変わらず早い強力な1撃。ケーオは剣で受け止めようとするが、その勢いに弾き飛ばされてしまう。


「くっ、このパワー馬鹿め」


 スサノオは再度、大剣を構えてケーオに襲い掛かった。振り下ろしをかわしたケーオだが、スサノオはそのまま追撃で薙ぎ払いを行う。剣でガードし、また身体ごと弾き飛ばされてしまう。



「間合いは開けさせん。このまま叩き潰してやろう!」
「近距離なら勝てると思うな」


 スサノオの振り下ろしに対し、ケーオは魔法剣を繰り出す。互いの剣がぶつかり合い、ケーオの剣から迸る電撃が周囲に散らばる。



「凄い攻撃だな」
「ええ、でも……」
「それでもスサノオの方が押しているぞ」




 普通の攻撃と魔法剣ではあったが、スサノオの攻撃がケーオを押しのけた。ケーオはそのまま後ろへ吹っ飛んだ。


「流石、硬いな」
「あれで押し負けるのかよ」


 スサノオは更に追撃する。大剣を振りかざし、ケーオを追う。


「馬鹿の1つ覚えみたいに……図に乗るな!」


 ケーオはスサノオの方へ手を翳す。


「食らえ、この魔法を!」



 斬り込もうとするスサノオへ向かって、闇属性の炎が発射される。一気にスサノオは炎に包まれる。




「おい、じじい」
「ああ。これは……ダークフレイム!」




「ぐ、ぐおおおっ?!」


 炎が消え去り、スサノオは膝をつく。


「これで終わりだな」


 ケーオは剣でスサノオの右腕を切り落とした。大剣ごとスサノオの腕が地面に落ちる。


「ぐあっ!?」


 ケーオは再度ダークフレイムでスサノオを吹き飛ばす。スサノオはそのまま動かなくなった。



「それまで。ケーオ選手の勝利です」



 歓声が巻き起こった。




「決まったな」
「あいつ……ダークフレイムを好きに出せるのか」
「あの黒い炎が闇属性の魔法なんだな?」
「ああ。高位の魔族が使用する魔法だ」
「では、魔王が関係している可能性は上がりましたね」


「レイスさん、私の相手はスサノオになった様です。ケーオはレイスさんにお任せしましょう」
「にゃっ? ポーン、何時の間に?」
「いえ、少し前から居たのですが……試合に熱中されていた様ですので」

「レイスさんがケーオを追い詰めてクスリを使わせる。ケーオは金に拘っていましたし、負けそうになったら使用するはずです」
「任せておけ」
「まあ所詮は人間が扱うダークフレイムだ。デスや魔法の使うそれとはレベルが違う」
「ああ、あの程度なら光の魔法で潰せる」


「それより、次はポーンさんとスサノオのバトルです。ポーンさんに勝算はあるのですか?」
「1番の目的はスサノオではないですので……あまり3位決定戦の勝ち負けに興味はありませんが。でも大丈夫でしょう」
「へえ、自信あるじゃん」
「正直、スサノオのようなタイプの相手は得意な方です」
「そうなのか?」
「ええ」



 残るは3位決定戦と決勝戦。まずはポーンVSスサノオだ。




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登場人物紹介

【レイス】

本作の主人公。

200年前に魔王を打ち破った勇者。

光の精霊の加護を受けており、光属性の魔法や魔法剣を使用する。

【ニャン太】

勇者レイスの使い魔。

光の精霊がレイスに遣わせた精霊見習い。。

猫の姿は仮の姿である。


【ポコポコビッツ】

200年前に勇者に敗れた魔王。

封印されており、復活する時を待っている。

闇属性の魔法を使用する。

【ドーン】

ルファウスト王国の宮廷魔術師。

とある要件でとある人間を追っている。

主に無属性の爆発魔法を使用する。

【ヘンリー】

ルファウスト王国に住む魔法剣士。

世界大会で優勝するのが夢。

無属性の魔法剣を使用する。

【ポーン】

サーザリッド王国の兵士。

研修でルファウスト王国へ来ており、大会での案内等を行う。


【光の精霊】

レイスに光の加護を授け、ニャン太を遣わせた本人。

レイスに間違えて「不老不死」でなく「不死」を与えてしまったおっちょこちょいさん。

【魔王直属軍】

200年前は大きな軍だった。

レイスと戦って敗れた事でかなり数を減らしてしまった。

魔王が封印された後は、殆どの者が目的も無く過ごしている。

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