第56話
文字数 1,313文字
「いやはや、本当に凄い奴だぜ。今のなんかガチで押し負けちまった」
「負けを認めて頂けますね?」
ヘンリーは一頻り笑った後、首を横に振る。そして手を挙げ、その掌をスボイトへ向けた。
「この魔法は、この大会で見せるつもり無かったんだがな」
「まだ手を残していると?」
「ああ。これが俺のとっておきさ。」
ヘンリーは一気に気を溜め、魔法を撃ち出した。それは反応すら出来ない速さで、スボイトの身体へ入っていった。
「これが必殺・キルクラッシュだ」
一瞬の後、スボイトの身体が光り始める。
「な、これは……一体!?」
光の中心から更なる閃光が走り、スボイトの身体を爆発させる。いわゆる腹に穴が開いた状態。
「バカ……な!?」
隙間を埋めるかの様に勢いよく血が噴き出す。その光景を見つめていたスボイトだったが、やがてその場に倒れ込む。
「何て魔法なんだ」
威力も段違いだが、何よりそのスピード。画面越しの遠くから見ても、目で追えない速さだった。
「それまで。ヘンリー選手の勝利です」
その言葉を切っ掛けに賢者がスボイトの元へ駆け寄る。どう見ても息絶えていたスボイトだったが、無事に蘇生・治療を完了し起き上がる。賢者はヘンリーの傷も回復させている。
「まさか、あんな奥の手を隠していたとは思いませんでした。私の負けですね」
「いや、あの時に有無を言わさず追撃されていたら俺の負けだった」
「その言葉を励みにして、来年リベンジしますね」
「おうよ」
これで決勝の相手はヘンリーに決まった。本当にどっちが勝ってもおかしくなかった。寧ろ、油断が無くなったであろうスボイトが、次回は勝かもしれない。
「ふう、見ているだけで緊張する試合だった」
もちろん、次の試合で影牙に勝たなければならない。ここまで隠してきた技を披露する事になるだろう。
「レイス選手、まもなく試合が始まります。魔法陣へお願いします」
「来たか」
ヘンリーに続いて決勝へ進まなければ、な。
「次はレイスさんですね。あの影牙の魔法をどう破りますか……」
と言いながらも、ドーンは試合の流れを予測出来ていた。この1か月弱、一緒に修行してきたドーンだからこそだ。
ヘンリーは部屋に戻りテレビを点けた。
「さあ、レイスのじいさんと忍者野郎。どっちが俺の前に立つんだ?」
じじいの光の奥義さえ当てれば、間違いなく勝つだろう。しかし影牙の魔法をどうするか。
「この1戦だけは見逃せねえ!」
「それでは、準決勝戦・第2試合を始めます」
目の前には影牙が立っている。恐らく自分の勝ちを確信しているのだろう。うすら笑いを浮かべている。
「じいさん、わざわざここまでご苦労だったな。心配しなくてもすぐに終わらせてやるよ」
「あんなに何回も手の内を見せて対策されないとでも思っているのか?」
「どうやって対策するってんだ? まあ試合が始まったらすぐに分かるさ」
「バトル、スタート!」
じじいは気合を入れる。この一瞬だけ、影牙の魔法より早く行動しなければならない。そして試合前から魔力を高めて準備してきた。
影牙はいつも通りにすぐ魔法を発動した。
「超絶鎌鼬の術!」
「奥義・光の雫!」
強烈な竜巻がじじいの動きを止めて、真空の刃が次々とじじいを襲った。
「負けを認めて頂けますね?」
ヘンリーは一頻り笑った後、首を横に振る。そして手を挙げ、その掌をスボイトへ向けた。
「この魔法は、この大会で見せるつもり無かったんだがな」
「まだ手を残していると?」
「ああ。これが俺のとっておきさ。」
ヘンリーは一気に気を溜め、魔法を撃ち出した。それは反応すら出来ない速さで、スボイトの身体へ入っていった。
「これが必殺・キルクラッシュだ」
一瞬の後、スボイトの身体が光り始める。
「な、これは……一体!?」
光の中心から更なる閃光が走り、スボイトの身体を爆発させる。いわゆる腹に穴が開いた状態。
「バカ……な!?」
隙間を埋めるかの様に勢いよく血が噴き出す。その光景を見つめていたスボイトだったが、やがてその場に倒れ込む。
「何て魔法なんだ」
威力も段違いだが、何よりそのスピード。画面越しの遠くから見ても、目で追えない速さだった。
「それまで。ヘンリー選手の勝利です」
その言葉を切っ掛けに賢者がスボイトの元へ駆け寄る。どう見ても息絶えていたスボイトだったが、無事に蘇生・治療を完了し起き上がる。賢者はヘンリーの傷も回復させている。
「まさか、あんな奥の手を隠していたとは思いませんでした。私の負けですね」
「いや、あの時に有無を言わさず追撃されていたら俺の負けだった」
「その言葉を励みにして、来年リベンジしますね」
「おうよ」
これで決勝の相手はヘンリーに決まった。本当にどっちが勝ってもおかしくなかった。寧ろ、油断が無くなったであろうスボイトが、次回は勝かもしれない。
「ふう、見ているだけで緊張する試合だった」
もちろん、次の試合で影牙に勝たなければならない。ここまで隠してきた技を披露する事になるだろう。
「レイス選手、まもなく試合が始まります。魔法陣へお願いします」
「来たか」
ヘンリーに続いて決勝へ進まなければ、な。
「次はレイスさんですね。あの影牙の魔法をどう破りますか……」
と言いながらも、ドーンは試合の流れを予測出来ていた。この1か月弱、一緒に修行してきたドーンだからこそだ。
ヘンリーは部屋に戻りテレビを点けた。
「さあ、レイスのじいさんと忍者野郎。どっちが俺の前に立つんだ?」
じじいの光の奥義さえ当てれば、間違いなく勝つだろう。しかし影牙の魔法をどうするか。
「この1戦だけは見逃せねえ!」
「それでは、準決勝戦・第2試合を始めます」
目の前には影牙が立っている。恐らく自分の勝ちを確信しているのだろう。うすら笑いを浮かべている。
「じいさん、わざわざここまでご苦労だったな。心配しなくてもすぐに終わらせてやるよ」
「あんなに何回も手の内を見せて対策されないとでも思っているのか?」
「どうやって対策するってんだ? まあ試合が始まったらすぐに分かるさ」
「バトル、スタート!」
じじいは気合を入れる。この一瞬だけ、影牙の魔法より早く行動しなければならない。そして試合前から魔力を高めて準備してきた。
影牙はいつも通りにすぐ魔法を発動した。
「超絶鎌鼬の術!」
「奥義・光の雫!」
強烈な竜巻がじじいの動きを止めて、真空の刃が次々とじじいを襲った。