第40話

文字数 1,197文字

 ドーンが魔法で牽制する。その上からじじいがレイを発動。何だかんだ、ドーンの爆発魔法は強烈だ。その上、じじいでも成す術なく食らうしかなかった魔法まで隠している。


「よっしゃ、行くぞニャン太!」
「おうよ!」


 ニャン太がその速さで次々に敵を薙ぎ倒していく。こいつ1匹で良い気もしてくる。


「負けてられないな」


 じじいも敵を順番に斬っていく。こいつらはそんなに大した魔物ではない。問題は奥に居る奴らだろう。

 手前からは町に居た兵士や冒険者が出てきている。ザコは任せても良いだろう。3人は再び奥へ走り出す。


 1番奥に居るのがミノタウロスだろう。その手前に3匹の魔物。


「あれは、グリフォンだな」
「グリフォンですか?」
「鷲と獅子の合成獣か」


 あいつは中々やるはず。


 1匹が空から突っ込んできた。残りの2匹が走って来る。じじいはグリフォンの上からの攻撃を聖剣で受け止める。凄いパワーだ。ニャン太が1匹の周りを回り攻撃を仕掛けていく。ドーンは魔法で攻撃している。取り敢えず目の前のこいつを倒すしかないか!

 体当たりして来ていたヤツを無理やり押し返す。聖剣を構えた所で、後ろから飛んできた剣が目の前のグリフォンに突き刺さった。


「えっ!?」


 1人の武者が来て、剣を引き抜く。これは……剣と言うより刀か。


「こいつは俺に任せておけ。お前は奥の牛を倒すんだ」
「な、何か分からんが有難い」


 町に滞在していた剣士か何かだろう。じじいは一気にミノタウロスの方まで駆けて行った。



「あれが侍ってやつか?」
「あれは……いや、それよりグリフォンを叩かなければ!」




 ミノタウロスは悠然とじじいを待ち構えていた。


「お前がミノタウロスだな?」
「お前がレイスってじじいだな。デスハーピーを殺した力を見せて貰おうじゃないか」
「俺に戦いを挑みたいなら、俺の家に来れば良い物を!」
「じゃあ分かるように看板でも置いておけ」



 ミノタウロスは大きな斧を構えた。恐らくとてつもないパワーがあるだろう。


「直撃した時点で負け確定かもな」


 いくら不死でも真っ二つにされてしまっては戦えない。


「よくよく考えてみると、不死だけって最強では無いよな」
「何をブツブツ言ってやがる?行くぞ」


 斧による圧倒的な一撃。先読みで無理なくかわす。


「凄いパワーだ、予想以上だな」


 冷静に相手の動きを見る。恐らく完全なファイターだ。魔法を使いそうな雰囲気はみじんも感じない。でもまだ結論付けるのは早いか?次の攻撃も先読みでかわす。スピードはさほどでもない。しかし一撃の重さから、どうしても慎重にならざるを得なかった。


「こいつを倒せば直属軍は全滅のはず。出し惜しみしている場合でもないよな」


 じじいは気を溜め始めた。

 迂闊に光の一撃は出せない。あれは消耗が激しすぎる。隙がある時に気を少しづつ溜めて、いつでも狙えるようにしておかないと。


 後ろでも戦いは続いているらしく、色々な音が聞こえた。




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登場人物紹介

【レイス】

本作の主人公。

200年前に魔王を打ち破った勇者。

光の精霊の加護を受けており、光属性の魔法や魔法剣を使用する。

【ニャン太】

勇者レイスの使い魔。

光の精霊がレイスに遣わせた精霊見習い。。

猫の姿は仮の姿である。


【ポコポコビッツ】

200年前に勇者に敗れた魔王。

封印されており、復活する時を待っている。

闇属性の魔法を使用する。

【ドーン】

ルファウスト王国の宮廷魔術師。

とある要件でとある人間を追っている。

主に無属性の爆発魔法を使用する。

【ヘンリー】

ルファウスト王国に住む魔法剣士。

世界大会で優勝するのが夢。

無属性の魔法剣を使用する。

【ポーン】

サーザリッド王国の兵士。

研修でルファウスト王国へ来ており、大会での案内等を行う。


【光の精霊】

レイスに光の加護を授け、ニャン太を遣わせた本人。

レイスに間違えて「不老不死」でなく「不死」を与えてしまったおっちょこちょいさん。

【魔王直属軍】

200年前は大きな軍だった。

レイスと戦って敗れた事でかなり数を減らしてしまった。

魔王が封印された後は、殆どの者が目的も無く過ごしている。

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