第77話

文字数 1,470文字

「第1回戦、第7試合。魔法使い・マギー選手VS魔法剣士・ケーオ選手」



「去年のチャンピオンなんだってな。俺の魔法に耐えられるかな」
「雑魚め、すぐに終わらせてやる」
「それはこっちの台詞だぜ」



「ケーオは見た目はあまり変わっていないな。構えも同じだしさ」
「今は特にクスリも使っていないでしょう。ごく普通には見えますが」
「クスリ効いてる時以外は極普通なんだろ? 確かにこれでは分からんわな」
「でも普通に強そうな雰囲気はあるぜ」
「確かに……普通でもかなり強いはずなんです」




「バトル、スタート!」


「これでも食らいやがれ、サンダー!」


 マギーは開幕早々に雷属性の魔法を発動した。ケーオの情報に魔力が集まって一筋の雷が落ちる。


 ギィン!


 ケーオは剣でその雷を切り裂いた。視線はまっすぐマギーの方を向いたままだ。


「な、なんだと」
「お前の魔法はそんなものか?」



「剣が変わっているな。属聖剣(何かしらの属性を持っている剣)なのか?」
「雷を感電せずに切り裂いている。雷属性か光属性か闇属性だろうか」
「雷属性は分かりますが……光や闇の属性でも可能なのですか?」

「そうだな。光と闇の属性は他の属性よりワンランク上なんだ。実際に光属性の使い手なんて、じじい位しか居ないだろ? 闇属性も今はケーオが使うらしいけど」
「本来は高位の魔族しか使用しないもんな。ってか光属性が闇属性に強いのは知ってたけど、それ以外に属性相性なんてあったのか?」
「お前、じじいのくせに知らないのかよ。まあドーンが知らないくらいなんだ、仕方ないか。」

「ニャン太さん、教えて貰えますか?」
「ああ。一般的に属性相性が無いのは知られているな。実際には光属性と闇属性の上位属性は、他の属性より強いんだ。更に光属性は闇属性より強い」
「光属性→闇属性→その他の属性、って事ですね」
「まああくまで相性だからな。使用者の魔力によって最終値は変わるからな」




「これなら。サンダーボルト!」


 サンダーの上位魔法、サンダーボルトだ。マギーの手に雷が集まり、それを一気に放った。


 ギィン!
 バチバチバチ


 ケーオは魔法を剣で受け止める。剣に触れた魔法は次々と四散していく。


「無駄だな。このトールハンマーに雷属性は通用しない」


 ケーオが剣を振るうと残りの雷が全てマギーへ跳ね返る。マギーは杖で受け止めるが、痺れが残ってしまう。



「雷属性の剣の様だな」
「ハンマーって言ってるのに剣かよ!」



「本物の雷属性魔法を教えてやろう」


 ケーオは剣に魔力を溜めて振りかざした。さっきのサンダーボルトに似たような雷撃がマギーを襲う。


「ぐ、痺れて動けない……」


 何とか杖を翳して雷撃を受け止めるも、ケーオの魔法はそれを物ともせずマギーを撃った。杖は破壊され、マギーの意識を刈り取られ倒れた。



「終わりだな」



「それまで。ケーオ選手の勝利です」


 前回優勝者、という事もあるのか。あっさりした試合であったが、歓声は今日1番の大きさになった。




「何か、あんまり参考にはならなかったな」
「いや、ケーオが雷属性の剣を扱う事が分かった」
「それはそうだけどさ」
「サンダーへの反応も良かったですよ」
「そうだな。発動してからサンダーを見もせずに切り裂いてたしな」

「しかし、元々の自力でもかなり強いよな。何でクスリなんて……」
「そうですね。単純に更なる力を求めてしまったのか。何気なく使用してしまい、その効果に病みつきになってしまったのか……」


「ちょっと聞いて来ようか?」
「えっ? ヘンリー?」
「試合が終わったからこっちへ戻って来るだろ?」


 ヘンリーはそう言って廊下へ出て行った。




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登場人物紹介

【レイス】

本作の主人公。

200年前に魔王を打ち破った勇者。

光の精霊の加護を受けており、光属性の魔法や魔法剣を使用する。

【ニャン太】

勇者レイスの使い魔。

光の精霊がレイスに遣わせた精霊見習い。。

猫の姿は仮の姿である。


【ポコポコビッツ】

200年前に勇者に敗れた魔王。

封印されており、復活する時を待っている。

闇属性の魔法を使用する。

【ドーン】

ルファウスト王国の宮廷魔術師。

とある要件でとある人間を追っている。

主に無属性の爆発魔法を使用する。

【ヘンリー】

ルファウスト王国に住む魔法剣士。

世界大会で優勝するのが夢。

無属性の魔法剣を使用する。

【ポーン】

サーザリッド王国の兵士。

研修でルファウスト王国へ来ており、大会での案内等を行う。


【光の精霊】

レイスに光の加護を授け、ニャン太を遣わせた本人。

レイスに間違えて「不老不死」でなく「不死」を与えてしまったおっちょこちょいさん。

【魔王直属軍】

200年前は大きな軍だった。

レイスと戦って敗れた事でかなり数を減らしてしまった。

魔王が封印された後は、殆どの者が目的も無く過ごしている。

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