第36話

文字数 897文字

「前回のデス。今回のデスハーピー。最近になって魔王軍の生き残りが出て来やがる。何か嫌な感じだな」
「それに魔王が今年中くらいには復活するかもしれない。って言ってたぜ」
「うむむ……じじいはまだ現役の頃の力は取り戻していない。何とかしていかないと」


ニャン太の言う通り、まだまだ力が戻ったとは言えない。


「ヤツらは魔王が封印されてからも、特に何もしてこなかったみたいだ。だから魔王が復活するに奴らは何も関係ないだろう」
「単純に封印が時間経過で弱くなってるのか」
「封印をどうにかして補強とかできないのか?」
「難しいな。無理やり補強したとしても綻びが出来ちまうよ」
「そんなモンなのか」


 とにもかくにも、大会は終わった。次の大会に向けての修行をして、なるべく昔の状態に戻さなければ。

 でも今日はもう寝よう。この日は少し豪華なお祝いをして身体を休めた。





~天界~




光の精霊と、精霊の長「精霊王」が居た。2人は天界の淵から下界を見下ろしていた。



「あらあら。200年前に封印した魔王ポコポコビッツが、そろそろ復活しそうですね」

「そうか。勇者の力はまだ戻ってはいない。面白い戦いになるかもしれないな」

「そうですわね。でも私の加護を授けた勇者ですので、負けてしまっても困りますが」

「不死の力を与えているのだろう?最終的には勝つはずだ」

「いえいえ、そんな事はありませんわよ。力を奪われ拘束されてしまえば、死ななくとも行動できなくなります。そんな方法は考えればいくらでもあるかと」


 精霊王は踵を返す。


「人間が勝つか魔族が勝つかはどうでも良い。世界を破壊しようとするならば、どちらにせよ消し去るだけだ」

「そうですけれど」

「精霊の力を持ってすれば、魔王であろうと不死の勇者であろうと負けはせぬ。我々が勝てぬのは神だけだからな」

「神は人間が好きですからね。肩入れしてしまうかもしれませんよ」

「その時はその時だ。神の判断ならば、我々がどうする事もない」



「魔王が復活するまで、おそらく一か月程度。さて、どうなるかしら」



 魔物の中で噂されていたよりも早く、決戦の日は訪れようとしていた。じじいはその時までに、どれくらいの力を取り戻せるのか。




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登場人物紹介

【レイス】

本作の主人公。

200年前に魔王を打ち破った勇者。

光の精霊の加護を受けており、光属性の魔法や魔法剣を使用する。

【ニャン太】

勇者レイスの使い魔。

光の精霊がレイスに遣わせた精霊見習い。。

猫の姿は仮の姿である。


【ポコポコビッツ】

200年前に勇者に敗れた魔王。

封印されており、復活する時を待っている。

闇属性の魔法を使用する。

【ドーン】

ルファウスト王国の宮廷魔術師。

とある要件でとある人間を追っている。

主に無属性の爆発魔法を使用する。

【ヘンリー】

ルファウスト王国に住む魔法剣士。

世界大会で優勝するのが夢。

無属性の魔法剣を使用する。

【ポーン】

サーザリッド王国の兵士。

研修でルファウスト王国へ来ており、大会での案内等を行う。


【光の精霊】

レイスに光の加護を授け、ニャン太を遣わせた本人。

レイスに間違えて「不老不死」でなく「不死」を与えてしまったおっちょこちょいさん。

【魔王直属軍】

200年前は大きな軍だった。

レイスと戦って敗れた事でかなり数を減らしてしまった。

魔王が封印された後は、殆どの者が目的も無く過ごしている。

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