第39話

文字数 922文字

「因みに最初はレイスさんの事も疑ってましたよ」
「え、何で?」
「いや、そりゃそうだろうよ」

「222歳なんて言ってるし。歳が嘘だとしても、どちらにしろかなりの高齢です。なのにあんなに強いのは、明らかにおかしいからです」
「まあ確かにそうか。相手の立場からしたらおかしいよな、俺」
「なるほど。だからじじいも変なクスリをやってるんじゃないかと?」

「そうですね。結局は勇み足でしたが」
「初めて会った時に、あの森に居たのは?」
「あれは偶然ですね。たまたま森の方から変な魔法の波動を感じましたので」
「ああ、魔王を封印している場所があるからな。今思えば、その頃から魔王の波動みたいなのが出てたのかな?」

「かもな。実際にデスハーピーを始め、魔物はそれを感じ取ってたんだろ?」
「ああ。そんな事は言っていたな。だったら、本当に今年中に復活するのかな?」
「かもしれないな。いっぱい修行して、強くならないとな。せめて俺から一本取れるくらいにはなれよ。」
「ぐぐぐ……」



 この2週間でじじいは、また強くなった。それでも未だにニャン太に攻撃を当てる事は出来なかった。


「でもニャン太さんも本当に強いですよ。私の魔法でも捉えきれなかったですし」
「いやいや、まあそうだな。俺は精霊なんだ。そして、精霊の中でもかなり早い方なんだ」
「上位の精霊でもないのに、下手な精霊より強いよな」
「じじいは精霊をバカにし過ぎだ。俺より強い精霊はゴロゴロ居るぜ」


「さあ、もうすぐ着きますよ」



 週に1度の買い出しの日。船で町へ向かっていたのだ。


「おいじじい、あれを見てみろ」
「何か煙りが出ているな」
「何かおかしいですね。行ってみましょう」


 船が町に到着し、じじいたちが降りる頃には町の1部から火が上がっていた。町の人の悲鳴の奥には、数匹の魔物が見えた。


「おいおい。魔物が襲撃しているってのか?」
「じじい、奥を見ろ!」



 魔物達の奥には1回り大きい牛の魔物が居た。魔物はこちらを見るとニヤッと笑う。


「闘牛の魔物……まさか、デスハーピーの言っていたミノタウロス?」
「取り敢えず町の人が逃げれる様に時間を稼ぐぞ。普段は猫の真似をしているが、そんな場面でも無いみたいだな」
「おうよ!」



 手前の魔物が一斉に襲ってきた。




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登場人物紹介

【レイス】

本作の主人公。

200年前に魔王を打ち破った勇者。

光の精霊の加護を受けており、光属性の魔法や魔法剣を使用する。

【ニャン太】

勇者レイスの使い魔。

光の精霊がレイスに遣わせた精霊見習い。。

猫の姿は仮の姿である。


【ポコポコビッツ】

200年前に勇者に敗れた魔王。

封印されており、復活する時を待っている。

闇属性の魔法を使用する。

【ドーン】

ルファウスト王国の宮廷魔術師。

とある要件でとある人間を追っている。

主に無属性の爆発魔法を使用する。

【ヘンリー】

ルファウスト王国に住む魔法剣士。

世界大会で優勝するのが夢。

無属性の魔法剣を使用する。

【ポーン】

サーザリッド王国の兵士。

研修でルファウスト王国へ来ており、大会での案内等を行う。


【光の精霊】

レイスに光の加護を授け、ニャン太を遣わせた本人。

レイスに間違えて「不老不死」でなく「不死」を与えてしまったおっちょこちょいさん。

【魔王直属軍】

200年前は大きな軍だった。

レイスと戦って敗れた事でかなり数を減らしてしまった。

魔王が封印された後は、殆どの者が目的も無く過ごしている。

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