第34話
文字数 1,140文字
「魔王が封印されて200年が経つ。その間、お前……いや魔王直属軍は何をしていたんだ?」
「特に何もしちゃいないさ。勇者の目から逃げ延びるので精一杯だったし。でももうすぐ魔王様が復活なされる、という噂があるんだ」
「な、魔王が復活?」
その言葉に驚く。
「そうさ。今年に入ったくらいから魔王の様の魔力の欠片が漂うようになった。今年中には復活するんじゃないかって、魔物達はみんな言ってるよ」
「それで活動を開始したのか?」
「いや、魔王様が実際に復活するまでは、私達が出来る事なんかない。だからこんな人間の大会に紛れて参加したりして、暇を潰しているのさ」
魔王が復活……しかも今年中だと?
「魔王が復活したら、人間を滅ぼすのか?」
「さあね、それは魔王様次第さ。でも、きっとそうなるんじゃないのかい」
「デスがあの宝石の場所に居たのは、何か意味があるのか?」
「デスを知っているの? アンタやっぱり只のじじいじゃないみたいだね。でも宝石? の事は知らないけどね」
「魔王直属軍ってのは、あとどれくらい居るんだ?」
「所詮、魔王軍の生き残りだからね。私とデスとミノタウロスの三体だけさ」
「もうそろそろ良いだろう。地獄へ落ちる時間だよ」
デスハーピーは爪を振りかざした。
「まあ良い。聞きたい事はある程度聞けたか。地獄へ行く時間だよな」
「面白い相手に出会えたお礼だよ。これ以上、苦しまずに逝かせてやるよ」
「そうだな。地獄へ行くのはお前だがな……!」
姑息で申し訳ないけど、質問をして時間を稼いだ。
その間にヒールで傷を回復した。
バレないように魔力を溜めた。
デスハーピーは爪を振り下ろしたが、じじいは先読みで回避する。そして返しの一撃。
ブン!
デスハーピーはサッとかわした。
デスハーピーがじじいを見ると、じじいの身体全体がぼんやりと光っていた。
「な、何だいこれは!?」
「魔王を倒すのに、途中の魔物に負ける訳にはいかないんでな!」
じじいは素早く前へ出た。今までのどの戦いの時より早く。
「奥義・光の一撃!」
聖剣から迸った眩い光が剣閃と共にデスハーピーを切り裂いた。反応さえ出来ずに、デスハーピーはその場に倒れこむ。
「何でこんなじじいが……こんな力を……」
「ふう。これで魔王直属軍はミノタウロスのみだな」
「私どころか、デスまで倒したと言うの?」
段々と朽ち果てる身体。もはやボーっと一点を見つめるしかなかった。視線の先のじじいを見つめながら、デスハーピーはほぼ無意識に言葉を発した。
「まさか……勇者レイスの……」
残ったのはじじいだけになった。魔物は死ぬとこの世から完全に消え去ってしまう。多分デスハーピーは勇者レイスの子孫か何かかと思ったのだろうか。本物のレイスが不死の力で、未だに生きているとは知らずに。
「特に何もしちゃいないさ。勇者の目から逃げ延びるので精一杯だったし。でももうすぐ魔王様が復活なされる、という噂があるんだ」
「な、魔王が復活?」
その言葉に驚く。
「そうさ。今年に入ったくらいから魔王の様の魔力の欠片が漂うようになった。今年中には復活するんじゃないかって、魔物達はみんな言ってるよ」
「それで活動を開始したのか?」
「いや、魔王様が実際に復活するまでは、私達が出来る事なんかない。だからこんな人間の大会に紛れて参加したりして、暇を潰しているのさ」
魔王が復活……しかも今年中だと?
「魔王が復活したら、人間を滅ぼすのか?」
「さあね、それは魔王様次第さ。でも、きっとそうなるんじゃないのかい」
「デスがあの宝石の場所に居たのは、何か意味があるのか?」
「デスを知っているの? アンタやっぱり只のじじいじゃないみたいだね。でも宝石? の事は知らないけどね」
「魔王直属軍ってのは、あとどれくらい居るんだ?」
「所詮、魔王軍の生き残りだからね。私とデスとミノタウロスの三体だけさ」
「もうそろそろ良いだろう。地獄へ落ちる時間だよ」
デスハーピーは爪を振りかざした。
「まあ良い。聞きたい事はある程度聞けたか。地獄へ行く時間だよな」
「面白い相手に出会えたお礼だよ。これ以上、苦しまずに逝かせてやるよ」
「そうだな。地獄へ行くのはお前だがな……!」
姑息で申し訳ないけど、質問をして時間を稼いだ。
その間にヒールで傷を回復した。
バレないように魔力を溜めた。
デスハーピーは爪を振り下ろしたが、じじいは先読みで回避する。そして返しの一撃。
ブン!
デスハーピーはサッとかわした。
デスハーピーがじじいを見ると、じじいの身体全体がぼんやりと光っていた。
「な、何だいこれは!?」
「魔王を倒すのに、途中の魔物に負ける訳にはいかないんでな!」
じじいは素早く前へ出た。今までのどの戦いの時より早く。
「奥義・光の一撃!」
聖剣から迸った眩い光が剣閃と共にデスハーピーを切り裂いた。反応さえ出来ずに、デスハーピーはその場に倒れこむ。
「何でこんなじじいが……こんな力を……」
「ふう。これで魔王直属軍はミノタウロスのみだな」
「私どころか、デスまで倒したと言うの?」
段々と朽ち果てる身体。もはやボーっと一点を見つめるしかなかった。視線の先のじじいを見つめながら、デスハーピーはほぼ無意識に言葉を発した。
「まさか……勇者レイスの……」
残ったのはじじいだけになった。魔物は死ぬとこの世から完全に消え去ってしまう。多分デスハーピーは勇者レイスの子孫か何かかと思ったのだろうか。本物のレイスが不死の力で、未だに生きているとは知らずに。