第16話

文字数 871文字

 モエヨが退場した闘技場で、じじいは簡単なセレモニーに参加した。


「レイス選手、おめでとうございます。これが優勝トロフィーと記念メダルです」
「ありがとう」
「また、レイス選手は1ヶ月後に開催される地区大会本選に出場する権利が与えられます」


 小さなトロフィーとメダルは見た目よりも重量を感じた。大会が進んでいけば、段々と大きくなっていくのだろうか?


 達成感と倦怠感と商品を手に、じじいは家に戻ろうとした。




「レイスさん」
「え? おお、ドーンじゃないか」


 森や船で合った魔法使いのドーンが町の入り口に立っていた。


「優勝おめでとうございました」
「見てたんだな、ありがとう」
「次の本選で戦うかもしれませんからね」


 そうだった、こいつも本選に出るんだよな。森で見たこいつの魔法は結構やばかったよな。組み合わせの結果こいつと戦うかどうかは分からないが、十分に気を付けていかなければ。


「また本選で合いましょう。」
「その時はお手柔らかにな。」





~じじいの家~




「よお、おかえり。大会はどうだったよ?」
「ふっふっふ……どうよ!」


 トロフィーとメダルを見せた。


「おお、やったじゃん。頑張った甲斐があったな」
「まあザッとこんなモンよ」


 今回の大会の事を話すじじい。ニャン太は「うん、うん」と話を聞いてくれていた。


「でも今のままじゃ厳しいかもしれないんだ」
「うーん。そういう事なら港町の近くにある塔に行ってみるか?」
「塔って、あの二階建ての?」
「そう、あの二階建ての。」


 確かに港町に近くに塔みたいなものはある。二階建ての塔という変わった建物だ。入った事は無いが。


「あそこは野生の魔物が居るハズだ。しかもゴーレムだぜ」
「ゴーレムか。倒せるかな?」
「今のじじいなら倒せるだろ。あいつは魔法に耐性が無いから、何とかなるぜ」


 それは知らなかった。若い頃はそんなの関係なしに、ぶった切っていたからな。それが出来る位の力があったし。


「よし、取り敢えず塔で修行するか」
「ああ、でもまあ取り敢えずは身体を休めなよ」
「そうだな。だいぶ疲れたよ」



 その日は疲れもあったから、簡単なお祝いをした。




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登場人物紹介

【レイス】

本作の主人公。

200年前に魔王を打ち破った勇者。

光の精霊の加護を受けており、光属性の魔法や魔法剣を使用する。

【ニャン太】

勇者レイスの使い魔。

光の精霊がレイスに遣わせた精霊見習い。。

猫の姿は仮の姿である。


【ポコポコビッツ】

200年前に勇者に敗れた魔王。

封印されており、復活する時を待っている。

闇属性の魔法を使用する。

【ドーン】

ルファウスト王国の宮廷魔術師。

とある要件でとある人間を追っている。

主に無属性の爆発魔法を使用する。

【ヘンリー】

ルファウスト王国に住む魔法剣士。

世界大会で優勝するのが夢。

無属性の魔法剣を使用する。

【ポーン】

サーザリッド王国の兵士。

研修でルファウスト王国へ来ており、大会での案内等を行う。


【光の精霊】

レイスに光の加護を授け、ニャン太を遣わせた本人。

レイスに間違えて「不老不死」でなく「不死」を与えてしまったおっちょこちょいさん。

【魔王直属軍】

200年前は大きな軍だった。

レイスと戦って敗れた事でかなり数を減らしてしまった。

魔王が封印された後は、殆どの者が目的も無く過ごしている。

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