第33話

文字数 1,060文字

 デスハーピーは何度も攻撃を繰り出してくる。じじいも魔法を放ったりするが、その多くが避けられてしまう。


「たまに当たってもガードされるしな。」


 いくら魔物でも、こんなにMPが続くものだろうか。それくらい、デスハーピーは魔法を撃ってきている。


 ギィン!


 何度目かの打ち合いの末に出した反撃が、デスハーピーに掠る。たまにヒットしても掠る程度か。


「本当に……何でこんなじじいに苦戦しなけりゃいけないんだい」
「俺をじじいと侮っている内は、まだまだなんだよ」
「何を、このじじい」


 実際、デスハーピーの爪は直撃すると致命傷になる可能性がある。メンタル的にも徐々に追い詰められていく。


「本当に……何でこんな魔物に苦戦してるんだ」
「マネすんじゃないよ」


 何度も打ち合う内に、精神は研ぎ澄まされていく。気力が上がるというのはこういう事かもしれない。

 しびれを切らしたのか、デスハーピーはいつもより深く斬りこんできた。それを先読みでかわす。


「焦ったな、デスハーピー」


 すぐさま剣を振るう。会心の1撃……とはならない。何とかかわそうとしたデスハーピーの翼を斬る。相手が深く飛び込んできた分、いつもより斬れた。


「くっ、この!」


 それでも飛んで空へ逃げる。あれくらいの傷では、飛べなくならないようだ。


「もう怒ったよ。MP消費が激しいからあんまり使いたくなかったんだけど」


 そう言ってデスハーピーは魔力を溜め始める。何かキツイ攻撃がきそうだ。


「ならばその前に落とすまで。食らえ、レイ!」


 ドドドドド!


 魔力を溜めているデスハーピーは光の柱をよけれずに、全弾命中する。それでも揺らがず、魔力を溜め終えた。



「これを食らいなさい。死の羽ばたき!」


 デスハーピーの翼が光り出す。その翼から繰り広げる羽ばたきは、竜巻を起こす。


「な、なんじゃこりゃ」


 竜巻はじじいに向かっていく。この範囲の攻撃は先読みでも避けられない。


 ゴゴゴゴゴ


 竜巻の中では敵を切り刻む風の刃が、無数に飛び交っていた。


「う、動けない……!」


 暫く後、竜巻は消え去る。ガードの体制をしてはいたが、全方位からの攻撃はじじいに直撃していた。膝を着くじじい。


「はあ……はあ……」
「まだ生きているなんて、本当にしぶといじじいだよ」


 デスハーピーゆっくりと地面に降りてくる。


「悪いな。俺はちょっと特別なんだ。あんな攻撃で死んだりしないんだ」
「あんな攻撃で悪かったわね。あんな攻撃で瀕死のくせに」



 デスハーピーはゆっくりと向かってくる。


「ちょっと聞いても良いか?」
「なんだい? 冥途の土産に答えてやるよ」




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登場人物紹介

【レイス】

本作の主人公。

200年前に魔王を打ち破った勇者。

光の精霊の加護を受けており、光属性の魔法や魔法剣を使用する。

【ニャン太】

勇者レイスの使い魔。

光の精霊がレイスに遣わせた精霊見習い。。

猫の姿は仮の姿である。


【ポコポコビッツ】

200年前に勇者に敗れた魔王。

封印されており、復活する時を待っている。

闇属性の魔法を使用する。

【ドーン】

ルファウスト王国の宮廷魔術師。

とある要件でとある人間を追っている。

主に無属性の爆発魔法を使用する。

【ヘンリー】

ルファウスト王国に住む魔法剣士。

世界大会で優勝するのが夢。

無属性の魔法剣を使用する。

【ポーン】

サーザリッド王国の兵士。

研修でルファウスト王国へ来ており、大会での案内等を行う。


【光の精霊】

レイスに光の加護を授け、ニャン太を遣わせた本人。

レイスに間違えて「不老不死」でなく「不死」を与えてしまったおっちょこちょいさん。

【魔王直属軍】

200年前は大きな軍だった。

レイスと戦って敗れた事でかなり数を減らしてしまった。

魔王が封印された後は、殆どの者が目的も無く過ごしている。

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