第102話

文字数 1,205文字

 ドラゴンは各種攻撃を、上手くつなげてくる。


「ドラゴンって脳筋だと思ってたんだけど…意外と考えて攻撃して来ているな」
「魔王の側近だとしたら、頭の良いヤツなのかもよ」
「言葉は喋らないけどな」



 ドラゴンは爪で攻撃してくる。じじいは先読みでかわし、カウンターのライト斬りで腕を斬り付けた。ドラゴンは怯む事なく、炎を吐いてくる。じじいは炎をかわしながらライトボールを撃つ。ライトボールはドラゴンの目に命中し、ドラゴンは炎を中断する。


「上手く目に当たったな」
「いや、でも流石ドラゴン。失明まで行ってないのか」
「目くらましにはなったぜ」



 じじいはドラゴンに近付き、ライト斬りをその身体に放った。


 ズシャッ!



「グアオオオッ!」


 ドラゴンの胴を切り裂いた。血が迸り、辺りを濡らす。



「やったか!?」
「フラグ立てるな」


 様子を伺うじじいに、ドラゴンは炎を吐き出した。聖剣でガードするも完全には防ぎきれない。軽く火傷を受けながら横へ飛び退いた。



「何てタフなやつなんだ……ヒール」


 回復魔法で火傷を回復する。ドラゴンもダメージはあるらしく、動きが鈍ってきている。




「……魔王戦までMPを温存しておきたかったが、仕方ないか。奥義1発で決めた方が、最終的には節約になったかもしれないな」



 そう言うと、じじいは魔力を溜め始めた。ドラゴンは爪で攻撃してきた。それを先読みでかわし、なるべく近い位置で奥義を発動した。


「奥義・光の一撃!」


 聖剣から発せられた眩い光が一気にドラゴンの身体を通り切る。


「グアオオオッ!」


 ドラゴンは断末魔をあげながら、爪で攻撃してきた。


「え、まだ生きてるのか」
「断末魔じゃねえじゃん!」


 爪を後ろへ飛び退いてかわす。1番決まったのは、どうやらニャン太のツッコミらしい。



「とは言え、動き回って戦う力は残っていないみたいだな」


 ドラゴンは血に染まりながら、足を擦り近寄って来る。そして大きく息を吸い込んだ。


「また凄い炎攻撃だぞ」
「何だ、その名前は」


 じじいは聖剣を構える。





 不意にドラゴンの動きが止まった。ドラゴンの首から腕が生えていた。



「えっ!? 何か生えてますよ?」
「じじい、ボケてる場合か!」


 見間違うはずもない、魔王の腕だった。魔王が後ろからドラゴンの首を貫いていた。魔王はそのまま腕を横に振りぬいた。ドラゴンの首はそのまま切り裂かれて頭が床に落ちた。



「な、何で?」
「もうこいつに用はない。どのみち、お前に倒されていただろう」



 ドラゴンは消え去り、後には大粒の宝石が残った。こんな魔物でさえ、力の実で形成されていたのだ。



「ドラゴンの時間稼ぎのお陰で、私の力は完全に復活した。その褒美に苦しみから解放してやっただけだ」
「この悪魔め!」
「悪魔じゃなくて魔王だ」


 今のニャン太のツッコミはダメだな。そう思いながら魔王と距離を取った。



「今こそ、あの時の続きを始めよう」
「あの時……封印の洞窟か」

「いや、200年前の決戦だ」





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登場人物紹介

【レイス】

本作の主人公。

200年前に魔王を打ち破った勇者。

光の精霊の加護を受けており、光属性の魔法や魔法剣を使用する。

【ニャン太】

勇者レイスの使い魔。

光の精霊がレイスに遣わせた精霊見習い。。

猫の姿は仮の姿である。


【ポコポコビッツ】

200年前に勇者に敗れた魔王。

封印されており、復活する時を待っている。

闇属性の魔法を使用する。

【ドーン】

ルファウスト王国の宮廷魔術師。

とある要件でとある人間を追っている。

主に無属性の爆発魔法を使用する。

【ヘンリー】

ルファウスト王国に住む魔法剣士。

世界大会で優勝するのが夢。

無属性の魔法剣を使用する。

【ポーン】

サーザリッド王国の兵士。

研修でルファウスト王国へ来ており、大会での案内等を行う。


【光の精霊】

レイスに光の加護を授け、ニャン太を遣わせた本人。

レイスに間違えて「不老不死」でなく「不死」を与えてしまったおっちょこちょいさん。

【魔王直属軍】

200年前は大きな軍だった。

レイスと戦って敗れた事でかなり数を減らしてしまった。

魔王が封印された後は、殆どの者が目的も無く過ごしている。

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