第42話

文字数 1,139文字

 夜の酒場。ミノタウロス軍団を倒した4人は宴会をしていた。



「かんぱ~い!」


 4人……実際は3人と1匹だが。グラスを合わせて検討を称え合う。


「しかしグラスを持てる猫が居るとは。まだまだこの世界には不思議な事があるもんだ。」
「まあまあ、魔法がある世の中なんだ。俺みたいな猫が居ても良いじゃん」


 今まで敢えて触れてはいなかったが、改めて想像すると……とてもシュールである。



「改めまして、皆で自己紹介をしましょう。私は魔導師のドーン」
「俺は魔法剣士ヘンリーだ」
「俺は魔法剣士レイス。ってか武者じゃないのかよ」
「この鎧は家に代々伝わる、由緒正しき鎧なのだ」

「割とカッコいい鎧じゃんか。俺はニャン太……猫だ」
「猫が喋って戦ってる時点で十分カッコいいぞ」
「そうだろそうだろ」



 料理が運ばれてくる。町を救ったお礼に、無料で提供されたものだ。


「じゃあ全国大会でレイスのじいさんとは戦うかもしれないな」
「そうかもな。俺に当たるまで負けるんじゃないぞ」

「私も応援に行きます。2人が戦う時にはレイスさんを応援させて貰いますよ」
「でもこのヘンリーとやら、かなり強いぜ。今のじじいでは勝てないかもしれないぞ」
「まだ2週間くらいある。修行しまくってやるさ」


「全国大会で優勝すると世界大会に出れる。去年は世界大会の途中で負けてしまったからな。今年はリベンジしてやるぜ」
「ヘンリーさんでも勝てなかったのですね」
「まあでも、俺に勝ったヤツが優勝したからな。実質、準優勝みたいなものだ」
「いや、違うし」




「ではまた大会で会おう」
「おう、お互いに頑張ろう」
「怪我に気を付けて行きましょう」
「じゃあな」



 ヘンリーと別れ、皆は買い出しをして家に帰った。まだまだ基本能力の低さを感じたじじいは、力の実集めの割合を増やした。他にも強い参加者が沢山いるだろう。ヘンリーとの出会いに興奮・不安を覚えながらも、じじいは修行を続けた。






 そして全国大会3日前。全国大会の会場は、普段の会場より遠い王国の近くの闘技場。

 大会は3日間。大会中は専用の部屋が用意されていて、部屋と闘技会場の往復のみ。前泊やお供の者は、宿を取らなければならなかった。流れはいつもと同じ。2日掛けて闘技場へ行く。宿泊後、1日は身体を慣らしながらも休ませるのだ。



「さあ、いよいよです。行きましょう、レイスさん」
「よし。これで勝って世界大会へ行く」
「まあ頑張れよ。俺はいつも通りここで応援してるよ」
「家は任せたぞ」
「任された。心配するな、じじいはだいぶ強くなった。あのヘンリーにも後れは取らないさ……多分」

「赤い宝石に関しての調査も頑張れよ。後半は修行に熱中し過ぎて、進んで無かったんだからな」
「任せとけ……多分」



 じじいとドーンは荷物をまとめ、2人で旅立っていった。




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登場人物紹介

【レイス】

本作の主人公。

200年前に魔王を打ち破った勇者。

光の精霊の加護を受けており、光属性の魔法や魔法剣を使用する。

【ニャン太】

勇者レイスの使い魔。

光の精霊がレイスに遣わせた精霊見習い。。

猫の姿は仮の姿である。


【ポコポコビッツ】

200年前に勇者に敗れた魔王。

封印されており、復活する時を待っている。

闇属性の魔法を使用する。

【ドーン】

ルファウスト王国の宮廷魔術師。

とある要件でとある人間を追っている。

主に無属性の爆発魔法を使用する。

【ヘンリー】

ルファウスト王国に住む魔法剣士。

世界大会で優勝するのが夢。

無属性の魔法剣を使用する。

【ポーン】

サーザリッド王国の兵士。

研修でルファウスト王国へ来ており、大会での案内等を行う。


【光の精霊】

レイスに光の加護を授け、ニャン太を遣わせた本人。

レイスに間違えて「不老不死」でなく「不死」を与えてしまったおっちょこちょいさん。

【魔王直属軍】

200年前は大きな軍だった。

レイスと戦って敗れた事でかなり数を減らしてしまった。

魔王が封印された後は、殆どの者が目的も無く過ごしている。

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