第22話

文字数 925文字

「よっしゃーー! 行くかーーっ!」
「朝からうるせえよ、このじじいが」


 予選大会と同じ様な感じで、大会の2日前に出発。夜に到着して、宿を取る。次の日は体調を整えて当日頑張る、みたいな流れ。


「今回も留守番するのか?」
「ああ、面倒くさいしな。今回は大地の塔でゲットしたこの宝石を調べてみたいんだ。」
「あの宝石を?」
「微かに魔力を感じるんだ。仮にあの魔物が宝石を守っていたとしたら、きっと意味もある。」


 優勝する事を約束し、じじいは前回と同じ闘技場へ向けて出発した。


「…それに何か嫌な予感もするんだよな。今更になって野生じゃない魔物が現れるなんて。」


 魔物からしたらこっちが急に現れた、ようなものだったが。





~船~





「修行ばっかりしてて他の選手の情報とか全く分からないんだよな」


 唯一分かるのは、森や船で会った魔法使いのドーンくらいだ。あの頃は無属性の爆発魔法に驚いたが、今なら戦える気がする。


「もしかしたらこの船の中にも、本選大会に出場する選手が居るかもしれないんだよな」


 かといって声を掛ける訳でもない。通り過ぎる人をチラチラと見る、怪しいじじいが出来上がった。





~宿屋~




「前回と同じ宿屋にしてやったぜ」


 この宿は闘技場に1番近いので、ありがたい。前回の時より体力が付いているのか、まだ元気がある。酒場にでも行ってみるか?



 時間的には夕食までにも時間があったが、食堂兼酒場に入る。まだまだ一般の客が多く、ひっそりとしていた。


「夕方くらいから冒険者や大会参加者が賑わうのかな。騒がしくなる前には帰りたいものだが」


 そう言いながらカツ丼とステーキを注文。


「明日もカツを食べるぞ。そして試合にも勝つ! うん、ステキ!」



 その姿は……独語老人であった。





「おや、レイスさん?」
「ん、ドーンじゃないか」


 三度目の出会い。これが女の子であれば運命とでも言いたい所だ。


「調整の為に早く来たんですか? 私も同じですよ。」
「調子はどうよ?」



 他愛もない話をする。普段、猫と喋るしか機会がないので楽しい。しかも何度か会っているヤツだ。女の子でなくても運命と言いたくなってきた。



「じゃあまた明後日の大会で会おう」
「ええ、対戦した時は宜しくお願いしますね」



 互いの健闘を祈り合い別れた。




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登場人物紹介

【レイス】

本作の主人公。

200年前に魔王を打ち破った勇者。

光の精霊の加護を受けており、光属性の魔法や魔法剣を使用する。

【ニャン太】

勇者レイスの使い魔。

光の精霊がレイスに遣わせた精霊見習い。。

猫の姿は仮の姿である。


【ポコポコビッツ】

200年前に勇者に敗れた魔王。

封印されており、復活する時を待っている。

闇属性の魔法を使用する。

【ドーン】

ルファウスト王国の宮廷魔術師。

とある要件でとある人間を追っている。

主に無属性の爆発魔法を使用する。

【ヘンリー】

ルファウスト王国に住む魔法剣士。

世界大会で優勝するのが夢。

無属性の魔法剣を使用する。

【ポーン】

サーザリッド王国の兵士。

研修でルファウスト王国へ来ており、大会での案内等を行う。


【光の精霊】

レイスに光の加護を授け、ニャン太を遣わせた本人。

レイスに間違えて「不老不死」でなく「不死」を与えてしまったおっちょこちょいさん。

【魔王直属軍】

200年前は大きな軍だった。

レイスと戦って敗れた事でかなり数を減らしてしまった。

魔王が封印された後は、殆どの者が目的も無く過ごしている。

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