第13話

文字数 1,189文字

 闘技場にて剣士ソーザンショと向き合う。予選大会の準決勝が始まるのだ。


「それでは準決勝、第二試合を始めます。左側……その剣技で次々と強敵を倒してきた、ソーザンショ選手!」


 流石に準決勝ともなってくると、観客の盛り上がりも最高潮だ。


「右側……ご高齢ながら素晴らしい戦いを見せてくれています。レイス選手!」


 戦えるじじいというギャップが良いのか? 今日一番の歓声が上がった。



「バトル、スタート!」



「さて、最初から本気でいかせて貰う!」
「勇者と呼ばれた俺に勝てるかな?」



 ソーザンショはダッシュで向かってくる。薙ぎ払いを聖剣で受け止め…切れずに後ろへ飛ばされる。


「ぐっ、なんて重い攻撃なんだ」


 次にきた上段からの攻撃を剣先で滑らせて、剣の腹でソーザンショを打つ。ソーザンショが身に着けていたのは簡易な鎧だったが、ダメージは薄そうだ。

 この大会で殺しは禁止されていない。結果、不幸な事になってしまう可能性は十分あるのだ。だからと言って、殺し合いをする為に参加している訳でもない。今のでも、普通に斬っていれば行けたはず。

 少したじろいだソーザンショだったが、再度薙ぎ払ってくる。剣でガードしながら後ろへ下がる。幸い剣に触れる事もなくかわせた様だ。


「こいつ、やるじゃないか」
「じいさんこそ、こんな歳なのに。やっぱり二回戦や三回戦での動きはマグレじゃなかったんだな」


 少し嬉しそうにソーザンショは構えを正す。これは…強い一撃がきそうだ。若干の間が空いた後に先ほどよりも早い動きで、突きを繰り出してきた。


「必殺、疾風突き!」
「早いが…無駄だ!」


 先読みの発動で剣の動きを読み切り、ギリギリの位置でかわす。そのままお馴染みの、剣の柄での水月突きをお見舞いする。


「うわっ!」


 ソーザンショは吹っ飛ぶが、金属の鎧相手では決定打にはならなかった様だ。鳩尾を抑えながらも立ち上がった。

 流石に奥義を出すほどは、力は戻って来ていない。となれば、鎧の無い箇所に打ち込むしかないか…いや、それとも…


「あの連携は久しぶりだが、やってみるか」


 ダッシュジャンプから斬り掛かる。縦と横の連続斬りであるクロス斬りだ。縦の剣を横にかわしたソーザンショに立て続け様に、横の剣閃。それを剣でガードさせる。

 聖剣に光の魔力を込める。そのままクロス斬りの二発目と同じ位置に打ち込んだ。


 ガキイッ!!!


 吹っ飛んだソーザンショ。その目の前に折れた剣先が転がる。


「魔法剣、ライト斬り」


「ぐ…なんて攻撃なんだ。剣が折られちまうなんて」
「今のは俺が凄いんじゃなくて、この聖剣が凄いんだけどな」
「剣が無けりゃもうダメだな。じいさん、俺の負けだわ」


 ソーザンショは笑いながら負けを宣言した。



「勝負あり、レイス選手の勝利です!」


 歓声が沸き起こる。


「いや、お前も結構強かったぞ。ちょっとだけ危なかった」


 そう言い、じじいは控室へ戻っていった。




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登場人物紹介

【レイス】

本作の主人公。

200年前に魔王を打ち破った勇者。

光の精霊の加護を受けており、光属性の魔法や魔法剣を使用する。

【ニャン太】

勇者レイスの使い魔。

光の精霊がレイスに遣わせた精霊見習い。。

猫の姿は仮の姿である。


【ポコポコビッツ】

200年前に勇者に敗れた魔王。

封印されており、復活する時を待っている。

闇属性の魔法を使用する。

【ドーン】

ルファウスト王国の宮廷魔術師。

とある要件でとある人間を追っている。

主に無属性の爆発魔法を使用する。

【ヘンリー】

ルファウスト王国に住む魔法剣士。

世界大会で優勝するのが夢。

無属性の魔法剣を使用する。

【ポーン】

サーザリッド王国の兵士。

研修でルファウスト王国へ来ており、大会での案内等を行う。


【光の精霊】

レイスに光の加護を授け、ニャン太を遣わせた本人。

レイスに間違えて「不老不死」でなく「不死」を与えてしまったおっちょこちょいさん。

【魔王直属軍】

200年前は大きな軍だった。

レイスと戦って敗れた事でかなり数を減らしてしまった。

魔王が封印された後は、殆どの者が目的も無く過ごしている。

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