第49話

文字数 1,208文字

 全国大会2日目が始まった。軽く朝食を食べてゆっくりする。


「もうすぐ第1試合か。ヘンリーの出陣だな」


 テレビをつけると、試合はまだ始まっていなかった。時計を見ると、いつ始まっても良いくらいの時間だ。


「ちょっとトイレにでも行っておくか」


 じじいはトイレに行った。小の方だったが、トイレに入って直ぐに歓声が聞こえてきた。



「うわ、始まりやがった」


 急いで部屋に戻る。テレビを確認した瞬間に、ヘンリーの相手が倒れた。あっという間に試合が終わってしまったのだ。


「うわ~見逃したわ。こんなに早く終わるなんて」


 ミノタウロスの時も、じじいはヘンリーの戦いを見ていない。結局、ヘンリーの実力を見る事は出来なかった。夜に特別チャンネルで観よう。


「仕方ない、次はトイレも行かずにしっかり見よう」




 ヘンリーの3回戦を見るには、じじいがまず2回戦で勝たないといけない。第4試合ではスボイトが相手を手早く倒していた。


「Aブロックはヘンリーとスボイトの2強だな」


 どちらも実力を隠している為、どちらが強いかは分からない。でも恐らく、このどちらかが決勝まで上がってくるだろう。

 Bブロックは18番の忍者が明らかにおかしい。1回戦で超広範囲の風属性魔法をいきなり放って勝利していた。まさかの2回戦でも同じように勝利したのだった。


「あれはどうなってるんだ? まさか今までの試合、全部あのパターンだったのか?」


 確かに凄い威力ではあるが……そんなに毎回、良い様に決まるものなのか?



 そして部屋にアナウンスが流れる。


「レイス選手、まもなく試合が始まりますので宜しくお願いします」
「よし、行くか」


 相手は戦士。1回戦を見た感じでは完全にパワータイプだったが。


 じじいは魔法陣を通った。もう慣れたもんだ。




「2人とも来ましたね。準備は宜しいでしょうか?」
「おうよ。」
「良いぜ。」


「それでは第2回戦、第7試合を始めます。オッサン選手VSレイス選手」

 戦士の名はオッサン……見た目通りのおっさんじゃねえか。ここまで来ても酷い名前だぜ。



「バトル、スタート!」




 互いに構えて向かい合った。オッサンの武器は両刃の斧だ。先は槍みたいに尖っている。


「ハルバード、ってやつか」
「よく知ってるな」


 暫く対峙する。


「じいさんのスピードが勝つか、俺のパワーが勝つかだな」
「どうだろうな」



 手始めにライトボールを何発か打ち込む。オッサンは武器で器用に薙ぎ払う。こいつただの力馬鹿ではないのか?

 オッサンが振りかぶって攻撃を仕掛けてきた。斧を振り下ろす。先読みでかわすが、思っていたより距離がある。ハルバードだけあって長さはある。オッサンは更に距離をおいたまま突いてきた。剣で受け止めて流し、そのまま斬り掛かる。


 ギィン!


 斧の柄の部分で受け止められる。弾けもしないのは力の差か?



「素早いな、じいさんよ」
「パワフルだな、おっさんよ」

 じじいは距離を取った。これから1段階強くしていこう。




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登場人物紹介

【レイス】

本作の主人公。

200年前に魔王を打ち破った勇者。

光の精霊の加護を受けており、光属性の魔法や魔法剣を使用する。

【ニャン太】

勇者レイスの使い魔。

光の精霊がレイスに遣わせた精霊見習い。。

猫の姿は仮の姿である。


【ポコポコビッツ】

200年前に勇者に敗れた魔王。

封印されており、復活する時を待っている。

闇属性の魔法を使用する。

【ドーン】

ルファウスト王国の宮廷魔術師。

とある要件でとある人間を追っている。

主に無属性の爆発魔法を使用する。

【ヘンリー】

ルファウスト王国に住む魔法剣士。

世界大会で優勝するのが夢。

無属性の魔法剣を使用する。

【ポーン】

サーザリッド王国の兵士。

研修でルファウスト王国へ来ており、大会での案内等を行う。


【光の精霊】

レイスに光の加護を授け、ニャン太を遣わせた本人。

レイスに間違えて「不老不死」でなく「不死」を与えてしまったおっちょこちょいさん。

【魔王直属軍】

200年前は大きな軍だった。

レイスと戦って敗れた事でかなり数を減らしてしまった。

魔王が封印された後は、殆どの者が目的も無く過ごしている。

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