第11話
文字数 1,246文字
ここはじじいの家。庭先で1匹の猫が昼寝をしていた。
「ふにゃー、なんて良い天気だ」
じじいは今頃、戦っているのだろう。正直、心配は何もしていなかった。
「じじいは全盛期の半分も力が戻っていない。でも、そもそもあの頃のじじいは異常なくらいに強かったからな。俺ですら勝てなかったくらいだよ」
じじいになった今でも光の加護を受けておりその力は尋常ではない。たった1人で魔王と戦い勝利したバカ……いや猛者なのだ。そんなじじいがそこら辺の人間に負けるのは想像できない。
「はっきり言ってゲームスタートのじじい状態でもちょっとした若者よりは強かったんだ。みんな、野生の魔物を舐めんじゃねえぜ」
【閑話休題】
「三回戦も進んできたな。人数が減ってきたからあっと言う間だ」
三回戦に出場する選手は全員で8名。つまり4試合で終わる。控室の選手を見る。次の相手は魔法使いか。今戦っている二人……準決勝の相手はどちらが勝っても剣士系。もう決着は着きそうだ。
「あ、決まったな」
「うん、あれは立てないね」
ん? 誰だこいつ? いや、俺の対戦相手の魔法使いパッチか。
1人の剣士が戻ってきた。かすり傷はあるものの平気そうだ。こいつがパッチの次の相手になる。
「それでは、パッチ選手とレイス選手はこちらへどうぞ」
兵士も慣れてきたのか、番号じゃなく名前で呼んでくる。
「それでは試合を始めます。左側……強い魔法攻撃で勝ち進んできた火の魔法使いパッチ選手!」
歓声が起こる。魔法職は人気があるんだろうか?
「右側……二回戦で御高齢とは思えない動きで勝利したレイス選手!」
歓声が起こる。良かった、さっきの戦いで期待感を持たれたみたいだ。
「バトル、スタート!」
「さっきの動きを見ていなかったら油断してたよ」
「そのまま油断してくれてて良いんだぜ」
「申し訳ないけど、一気に決めさせて貰うよ」
パッチは火の玉を発射する。聖剣で受け止めると見た目以上の衝撃があった。なるほど、数発食らって倒れた戦士がいるのも納得出来るな。
続けざまに発射された火の玉を聖剣で切り払い、パッチの方へ走り出す。しかし更に放たれた火の玉が行く手を阻む。
「結構連射が出来るんだな」
凶悪な魔法を連発してきた魔物との戦いを思い出す。それに比べれば……!
走り出す。
いつもそうだった。そうやって勝ってきた。
火の玉が飛んでくる。一発目をギリギリで交わし、二発目を切り払う。聖剣の魔力のお陰で力負けする事はない。三発目をかわし、素早くサイドへ動く。こういうコントロールを重視する攻撃へは、正中線をずらしていくのが常套。
向きを整えようとしたパッチに光の玉…ライトボールを放つ。上手くガードしたが、勢いでパッチの杖が吹っ飛ぶ。
「あっ、しまった!」
そう言い終わる頃には終わっていた。前回と同じく剣の柄による水月突きで、パッチは倒れた。
「パッチ選手倒れた! レイス選手の勝利!」
「ったく、あんだけ魔法を撃ってこられると……疲れた」
じじいの勝利。息を少し切らせながら控室へ戻った。
「ふにゃー、なんて良い天気だ」
じじいは今頃、戦っているのだろう。正直、心配は何もしていなかった。
「じじいは全盛期の半分も力が戻っていない。でも、そもそもあの頃のじじいは異常なくらいに強かったからな。俺ですら勝てなかったくらいだよ」
じじいになった今でも光の加護を受けておりその力は尋常ではない。たった1人で魔王と戦い勝利したバカ……いや猛者なのだ。そんなじじいがそこら辺の人間に負けるのは想像できない。
「はっきり言ってゲームスタートのじじい状態でもちょっとした若者よりは強かったんだ。みんな、野生の魔物を舐めんじゃねえぜ」
【閑話休題】
「三回戦も進んできたな。人数が減ってきたからあっと言う間だ」
三回戦に出場する選手は全員で8名。つまり4試合で終わる。控室の選手を見る。次の相手は魔法使いか。今戦っている二人……準決勝の相手はどちらが勝っても剣士系。もう決着は着きそうだ。
「あ、決まったな」
「うん、あれは立てないね」
ん? 誰だこいつ? いや、俺の対戦相手の魔法使いパッチか。
1人の剣士が戻ってきた。かすり傷はあるものの平気そうだ。こいつがパッチの次の相手になる。
「それでは、パッチ選手とレイス選手はこちらへどうぞ」
兵士も慣れてきたのか、番号じゃなく名前で呼んでくる。
「それでは試合を始めます。左側……強い魔法攻撃で勝ち進んできた火の魔法使いパッチ選手!」
歓声が起こる。魔法職は人気があるんだろうか?
「右側……二回戦で御高齢とは思えない動きで勝利したレイス選手!」
歓声が起こる。良かった、さっきの戦いで期待感を持たれたみたいだ。
「バトル、スタート!」
「さっきの動きを見ていなかったら油断してたよ」
「そのまま油断してくれてて良いんだぜ」
「申し訳ないけど、一気に決めさせて貰うよ」
パッチは火の玉を発射する。聖剣で受け止めると見た目以上の衝撃があった。なるほど、数発食らって倒れた戦士がいるのも納得出来るな。
続けざまに発射された火の玉を聖剣で切り払い、パッチの方へ走り出す。しかし更に放たれた火の玉が行く手を阻む。
「結構連射が出来るんだな」
凶悪な魔法を連発してきた魔物との戦いを思い出す。それに比べれば……!
走り出す。
いつもそうだった。そうやって勝ってきた。
火の玉が飛んでくる。一発目をギリギリで交わし、二発目を切り払う。聖剣の魔力のお陰で力負けする事はない。三発目をかわし、素早くサイドへ動く。こういうコントロールを重視する攻撃へは、正中線をずらしていくのが常套。
向きを整えようとしたパッチに光の玉…ライトボールを放つ。上手くガードしたが、勢いでパッチの杖が吹っ飛ぶ。
「あっ、しまった!」
そう言い終わる頃には終わっていた。前回と同じく剣の柄による水月突きで、パッチは倒れた。
「パッチ選手倒れた! レイス選手の勝利!」
「ったく、あんだけ魔法を撃ってこられると……疲れた」
じじいの勝利。息を少し切らせながら控室へ戻った。