第106話
文字数 1,623文字
魔王は大剣を魔法で消した。
「勇者レイス。辛うじて息はしている様だな」
「魔王、このやろう!」
「ふん、お前如きに何が出来る?」
飛び掛かるニャン太だったが、1撃で壁まで飛ばされる。爪が直撃し、一気に血塗れになった。
ああ、精霊であるニャン太の血も赤いんだな。猫の姿をしているからかな?
「勇者よ、安心しろ。もう苦しむ必要は無い。その命、直々に終わらせてやろう」
魔王はじじいに近付いて爪を翳す。そのままじじいを串刺しにした。
ズシャッ!
そしてじじいの身体を床に落とす。
「はっはっはっはっは! これでこの世界は私の物だ。もう私を止める存在はこの世界にいない!」
「ぐ……くそっ!」
「ああ、猫がまだ居たな。お前も後を追わせてやろう」
魔王はニャン太へ向かって歩いて行く。
ニャン太は魔王の方を見る。そして気付く。
確かにじじいは不死だ。何をされても命が尽きる事は無い。でも何で?
じじいの身体には、まだ光の風の輝きが残っていた。
その瞬間、じじいの下に魔法陣が出来る。
「あの魔法は……じじいの最大の回復魔法?」
「……! 何だと!?」
異様な光景に魔王も気付く。すぐにじじいに向き直った。
「何だ、この魔法は!?」
「はんっ、知らねえのか? これはリザレクションって魔法なんだぜ。」
「まさか……そんな事が!?」
いわゆるHPを全回復する魔法だが……その分MP消費も激しい。どうやって発動したかは分からないが、間違いなくじじいの魔法だった。
じじいがゆっくりと立ち上がる。聖剣を構え、魔力を溜める。
「……よくは分からないが、完全に消滅させないといけない様だな。良いだろう。2度と立ち上がれない様に消し去ってやろう」
魔王は大剣を出し、魔力を溜める。そして魔王ビームを大剣に落とし込んだ。
「またあの奥義をやってくるのか」
魔王はじじいに走り寄り、魔王スラッシュを放つ。その間にじじいの下に新しい魔法陣が形成された。じじいは魔王スラッシュを先読みでかわす。剣自体はかわすが、周りの闇の魔力がじじいの身体を削ぐ。そしてじじいの身体は一瞬で元に戻る。
「あれは……光の雫!?」
奥義である光の雫で出来た魔法陣のお陰で、傷が一瞬で治ったのだ。そのままじじいは剣を振るった。
眩い光が弾ける様に魔王の身体を通る。奥義・光の一撃だった。
「ぐおおっ!?」
闇の魔力は消え去り、魔王は大剣を落とす。充分なダメージがあった。
「……魔王、俺の勝ちだ」
「ぐおお……何故だ! 何故なんだ!」
「運が良かっただけだよ」
「訳わかんねえ」
聖剣をしまい、両手に魔力を込める。
「これで最後だ! 奥義・光の波!」
空間が光の魔力に包まれる。魔王の周りに無数の光の聖気が出現し、次々に魔王を貫く。
「ぐああああっ!」
「やったか!?」
「信じられん……私が……」
魔王は倒れた。
「終わった」
魔王は徐々に消え去っていく。ふにゃにゃんや光の精霊から授かった光の力のお陰で、魔王は他の魔物と同じ様に消えて行った。後には1粒の宝石が残った。
「力の実……完全に倒した証……」
じじいは膝をつく。今度こそ光の風の輝きは消え失せていた。
「じじい! 何で勝てたんだ!?」
「いや~ヤバかった。これ覚えてるか?」
じじいはポケットから空き瓶を出した。
「あ、これは世界大会で貰って来た回復薬の瓶!?」
「ああ、今回の決戦に向かう時にポケットに入れてただろ? ギリギリで思い出してな」
意識朦朧になった時に腕に当たったのは、この瓶だった。
MP回復薬を血と一緒に飲み込んで、リザレクションを発動。
立ち上がるまでに残り全てのMP回復薬を口に入れる。
一部を飲み込む。
奥義・光の雫を発動。
一部を飲み込む。
奥義・光の一撃を発動。
残りを飲み込む。
奥義・光の波を発動。
「だから途中、全く喋らなかったのかよ」
「ああ、水なしでも飲めるタイプで良かったわ。そうじゃなくても無理やり飲んだけどな」
「……喋らなくても奥義って発動できるんだな」
「勇者レイス。辛うじて息はしている様だな」
「魔王、このやろう!」
「ふん、お前如きに何が出来る?」
飛び掛かるニャン太だったが、1撃で壁まで飛ばされる。爪が直撃し、一気に血塗れになった。
ああ、精霊であるニャン太の血も赤いんだな。猫の姿をしているからかな?
「勇者よ、安心しろ。もう苦しむ必要は無い。その命、直々に終わらせてやろう」
魔王はじじいに近付いて爪を翳す。そのままじじいを串刺しにした。
ズシャッ!
そしてじじいの身体を床に落とす。
「はっはっはっはっは! これでこの世界は私の物だ。もう私を止める存在はこの世界にいない!」
「ぐ……くそっ!」
「ああ、猫がまだ居たな。お前も後を追わせてやろう」
魔王はニャン太へ向かって歩いて行く。
ニャン太は魔王の方を見る。そして気付く。
確かにじじいは不死だ。何をされても命が尽きる事は無い。でも何で?
じじいの身体には、まだ光の風の輝きが残っていた。
その瞬間、じじいの下に魔法陣が出来る。
「あの魔法は……じじいの最大の回復魔法?」
「……! 何だと!?」
異様な光景に魔王も気付く。すぐにじじいに向き直った。
「何だ、この魔法は!?」
「はんっ、知らねえのか? これはリザレクションって魔法なんだぜ。」
「まさか……そんな事が!?」
いわゆるHPを全回復する魔法だが……その分MP消費も激しい。どうやって発動したかは分からないが、間違いなくじじいの魔法だった。
じじいがゆっくりと立ち上がる。聖剣を構え、魔力を溜める。
「……よくは分からないが、完全に消滅させないといけない様だな。良いだろう。2度と立ち上がれない様に消し去ってやろう」
魔王は大剣を出し、魔力を溜める。そして魔王ビームを大剣に落とし込んだ。
「またあの奥義をやってくるのか」
魔王はじじいに走り寄り、魔王スラッシュを放つ。その間にじじいの下に新しい魔法陣が形成された。じじいは魔王スラッシュを先読みでかわす。剣自体はかわすが、周りの闇の魔力がじじいの身体を削ぐ。そしてじじいの身体は一瞬で元に戻る。
「あれは……光の雫!?」
奥義である光の雫で出来た魔法陣のお陰で、傷が一瞬で治ったのだ。そのままじじいは剣を振るった。
眩い光が弾ける様に魔王の身体を通る。奥義・光の一撃だった。
「ぐおおっ!?」
闇の魔力は消え去り、魔王は大剣を落とす。充分なダメージがあった。
「……魔王、俺の勝ちだ」
「ぐおお……何故だ! 何故なんだ!」
「運が良かっただけだよ」
「訳わかんねえ」
聖剣をしまい、両手に魔力を込める。
「これで最後だ! 奥義・光の波!」
空間が光の魔力に包まれる。魔王の周りに無数の光の聖気が出現し、次々に魔王を貫く。
「ぐああああっ!」
「やったか!?」
「信じられん……私が……」
魔王は倒れた。
「終わった」
魔王は徐々に消え去っていく。ふにゃにゃんや光の精霊から授かった光の力のお陰で、魔王は他の魔物と同じ様に消えて行った。後には1粒の宝石が残った。
「力の実……完全に倒した証……」
じじいは膝をつく。今度こそ光の風の輝きは消え失せていた。
「じじい! 何で勝てたんだ!?」
「いや~ヤバかった。これ覚えてるか?」
じじいはポケットから空き瓶を出した。
「あ、これは世界大会で貰って来た回復薬の瓶!?」
「ああ、今回の決戦に向かう時にポケットに入れてただろ? ギリギリで思い出してな」
意識朦朧になった時に腕に当たったのは、この瓶だった。
MP回復薬を血と一緒に飲み込んで、リザレクションを発動。
立ち上がるまでに残り全てのMP回復薬を口に入れる。
一部を飲み込む。
奥義・光の雫を発動。
一部を飲み込む。
奥義・光の一撃を発動。
残りを飲み込む。
奥義・光の波を発動。
「だから途中、全く喋らなかったのかよ」
「ああ、水なしでも飲めるタイプで良かったわ。そうじゃなくても無理やり飲んだけどな」
「……喋らなくても奥義って発動できるんだな」