第75話

文字数 1,062文字

「おう、余裕だったな」
「おう、当たったらヤバかっただろうけどな」
「1回戦突破、おめでうございます」
「ありがとう」

「まあ、こんなモンだろ」
「可愛げないな、お前」

「まあ、刺華は去年の俺がぼちぼち戦えるヤツだったからな。今の俺をあしらえるじいさんには物足りなかっただろ」
「ん? 去年当たったのか?」
「いや、当たりはしなかったけどさ。見てれば大体分かるって」



「第3試合はフレアさんが勝ちましたね。どちらも魔法使いの面白い戦いでした」
「次は、あのポーンの試合だな」
「ポーンは去年は出ていなかったからな。どれくらい出来るのか分からねえな」
「兵士とは言え、ケーオの件を知っている位には上の立場なんじゃないの? 案外、結構やるかもよ」




「第1回戦、第4試合。アサシン・ピュマ選手VS兵士・ポーン選手」


「ポーンはちゃんと兵士になって良かったな。あの名前で騎士なんて笑えない」
「本選大会の時に戦士って名前の剣士も居ましたけど……」



「覚悟しろ」
「そちらこそ。アサシンなのによくこの大会に来ましたね」
「最近は依頼が少なくてな」
「なるほど。でもこっちは貴方の様な人を相手にするのは慣れています」


「バトル、スタート!」



 ピュマは素早い動きでポーンの周りを動く。アサシンか……隙をみて一気に仕留めに行くのだろうか?


「なかなか素早いですね」


 兵士は槍を構える。



「短い槍だな。剣でも良くないか?」
「それに切っ先も普通の槍より大きいですね。あれなら普通に斬りにも使えそうです」
「……剣で良いな」



 横に大きく動いた後、ピュマはポーンへ詰め寄った。ポーンは上手く反応し、ピュマの剣を槍の胴で受け止める。ピュマはすぐに後ろへ飛び退く。ポーンはそれを追って突きを出す。


「なかなか良い試合だな」
「ポーンのヤツ、隙が少ないな。そうとう戦いなれているぞ」


 何度かの打ち合いの後、ポーンがピュマに勢いよく体当たりした。槍と剣がぶつかる。


「やりますね。でも!」

 ポーンは身体を捻り、ピュマを横へ払いのける。ピュマはバランスを崩す。


「うわっ、危ない」


 何とかコケるのを我慢したが、ポーンの追撃が肩に刺さる。ポーンは槍を刺したまま、ピュマを投げ倒した。そして槍の先端をピュマの喉元に宛がう。



「どうですか?」
「ぐ……ま、まいった」


 投げを使う選手はあまり見た事が無かった。いや、その前の崩しが上手い。


「それまで。ポーン選手の勝利」




「身体の捌きが素晴らしいですね」
「ああ、やり辛そうだな」
「兵士なのに、下手な騎士より強いんじゃないか?」



 Aブロックの1回戦が終了。次はBブロックが始まる。




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登場人物紹介

【レイス】

本作の主人公。

200年前に魔王を打ち破った勇者。

光の精霊の加護を受けており、光属性の魔法や魔法剣を使用する。

【ニャン太】

勇者レイスの使い魔。

光の精霊がレイスに遣わせた精霊見習い。。

猫の姿は仮の姿である。


【ポコポコビッツ】

200年前に勇者に敗れた魔王。

封印されており、復活する時を待っている。

闇属性の魔法を使用する。

【ドーン】

ルファウスト王国の宮廷魔術師。

とある要件でとある人間を追っている。

主に無属性の爆発魔法を使用する。

【ヘンリー】

ルファウスト王国に住む魔法剣士。

世界大会で優勝するのが夢。

無属性の魔法剣を使用する。

【ポーン】

サーザリッド王国の兵士。

研修でルファウスト王国へ来ており、大会での案内等を行う。


【光の精霊】

レイスに光の加護を授け、ニャン太を遣わせた本人。

レイスに間違えて「不老不死」でなく「不死」を与えてしまったおっちょこちょいさん。

【魔王直属軍】

200年前は大きな軍だった。

レイスと戦って敗れた事でかなり数を減らしてしまった。

魔王が封印された後は、殆どの者が目的も無く過ごしている。

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