第19話

文字数 875文字

 修行は順調に進んでいった。スライムよりも力の実が多く、ゴブリンよりも強い。充実した時間が流れて行った。週に1度、家に戻り魔法陣を使用する。そうやって3週間が経った。



「何で魔力で出来てるのに魔法に弱いんだ?」
「魔力って言っても、詳しく言うと魔法力と精神力っていうステータスに分かれるんだ。生物ならば魔法を使う時、多かれ少なかれ両方使用しているんだ。でもゴーレムは元々無機物だから、魔力は宿ってても精神力は皆無。だからそっちの耐性が全くないんだよ」
「そうなのか。」
「本来、属性とかもあるんだけど。この世界では3竦みってう簡単なものじゃないしな」



 ゴーレムは慣れると大した敵ではなくなっていた。それでも対峙すると緊張感はあるし、その一撃自体は強烈だ。先読みなしで如何に上手くかわし、反撃を与えていくか。そういった地力を上げるように意識して戦っていた。



「ん、あれ?あそこに何かないか?」
「あの隅の辺りか? 別に何も……」


 ニャン太がヒョイっと塔の隅の方へ行く。


「おい、これ隠し階段じゃないか?」
「本当だ。今まで気付かなかった」
「戦いの衝撃とかで徐々に分かるようになってきたのかもな」



 床をよく見ると、部分的に外せるようになっていた。それをのけると下り階段が現れた。


「おいおい……200年ぶりの大冒険が待っているのか?」
「どうだろうな。何もないかもしれないぜ」
「行ってみるか?」


 階段を下りていくと、見た目にはあまり変わり映えのしない光景が広がっていた。地下になり明かりはない。


「ランプの燃料が切れる前に戻らないとな」
「最悪の場合、じじいの光の魔法で照らせばいいじゃん」
「その度に壁を破壊し続ける事になるけどな」



「この塔って通路とかないよな」
「上も下もだだっ広いフロアだけだもんな」
「あ、また階段がある」
「うむむ、意外と深いのか?」



 地下3階に入ると軽く迷路のような場所に出た。


「おお、これこそダンジョンだよな」
「いや、塔だろ。ボケたのか?」
「良いんだよ。ダンジョンって冒険家の浪漫だよ」



 少し進んだ所で少し開けた場所に出た。その奥に一匹の魔物が立っていた。




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登場人物紹介

【レイス】

本作の主人公。

200年前に魔王を打ち破った勇者。

光の精霊の加護を受けており、光属性の魔法や魔法剣を使用する。

【ニャン太】

勇者レイスの使い魔。

光の精霊がレイスに遣わせた精霊見習い。。

猫の姿は仮の姿である。


【ポコポコビッツ】

200年前に勇者に敗れた魔王。

封印されており、復活する時を待っている。

闇属性の魔法を使用する。

【ドーン】

ルファウスト王国の宮廷魔術師。

とある要件でとある人間を追っている。

主に無属性の爆発魔法を使用する。

【ヘンリー】

ルファウスト王国に住む魔法剣士。

世界大会で優勝するのが夢。

無属性の魔法剣を使用する。

【ポーン】

サーザリッド王国の兵士。

研修でルファウスト王国へ来ており、大会での案内等を行う。


【光の精霊】

レイスに光の加護を授け、ニャン太を遣わせた本人。

レイスに間違えて「不老不死」でなく「不死」を与えてしまったおっちょこちょいさん。

【魔王直属軍】

200年前は大きな軍だった。

レイスと戦って敗れた事でかなり数を減らしてしまった。

魔王が封印された後は、殆どの者が目的も無く過ごしている。

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