第9話

文字数 766文字

 軽くストレッチをしながら対戦の様子を見守る。誰でも参加出来る予選大会なだけあって、その力量は様々。


「ちなみに、俺の職業は魔法剣士だからな」


 一応、普通のRPGで言うならば勇者になるのだが。実際に勇者という職業は存在しないのだ。


「これくらいのレベルだと、やっぱ魔法系が有利か」


 遠距離から攻撃できる魔法攻撃を対処するのは、多少コツと慣れが要る。ちょっとした村の力自慢程度だと、そこら辺が難しいのだろう。



 Aブロックの戦いが終盤になってきた。もうすぐこっちのBブロックが始まる。控室を見渡すとウォームアップを始める選手もチラホラ。こいつらは出番が近いのだろう。


「俺はシードだから、まだまだ出番は先だな」


 正直、誰が何番なのか覚えていない。戦士系が多い様に見える。



「えー、それではまもなくBブロックの戦いが始まります。17番と18番の選手は、こちらへどうぞ」


 選手が二人、兵士に連れられて奥へ進んでいく。両方戦士、迫力のある戦いになりそうだ。とは言え、実践となるので早ければ数秒で終わってしまうだろうが。



……思った通り、三合程で雌雄が決す。技術というより単純に力で勝負がついた様子だな。


「野生のスライムよりは強いか。まあ毎日ニャン太の相手をしている俺の敵ではないな」


 こうやって見てみると、ニャン太の強さが分かる。


「見た目は猫だけどさ」



 勝った選手は控室に戻り、負けた選手は裏口から帰っていく。今回は思ったより大した怪我ではない様だ。怪我をした場合でも、救護班の回復魔法である程度は治して貰える。すぐ隣には病院もある徹底ぶりだ。


「魔法ってすごいよね」




 そうして次々と戦いが進んでいき、一回戦が終了した。



「Aブロックの魔法使いが危険そうだな。こっちは……特に問題なさそうだ」


 二回戦からはついにじじいの戦いも始まる。残った参加者は16名!




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登場人物紹介

【レイス】

本作の主人公。

200年前に魔王を打ち破った勇者。

光の精霊の加護を受けており、光属性の魔法や魔法剣を使用する。

【ニャン太】

勇者レイスの使い魔。

光の精霊がレイスに遣わせた精霊見習い。。

猫の姿は仮の姿である。


【ポコポコビッツ】

200年前に勇者に敗れた魔王。

封印されており、復活する時を待っている。

闇属性の魔法を使用する。

【ドーン】

ルファウスト王国の宮廷魔術師。

とある要件でとある人間を追っている。

主に無属性の爆発魔法を使用する。

【ヘンリー】

ルファウスト王国に住む魔法剣士。

世界大会で優勝するのが夢。

無属性の魔法剣を使用する。

【ポーン】

サーザリッド王国の兵士。

研修でルファウスト王国へ来ており、大会での案内等を行う。


【光の精霊】

レイスに光の加護を授け、ニャン太を遣わせた本人。

レイスに間違えて「不老不死」でなく「不死」を与えてしまったおっちょこちょいさん。

【魔王直属軍】

200年前は大きな軍だった。

レイスと戦って敗れた事でかなり数を減らしてしまった。

魔王が封印された後は、殆どの者が目的も無く過ごしている。

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