第108話
文字数 1,721文字
~ルファウスト王国~
「ヘンリー、お久し振りです。元気でしたか?」
「ようドーン、久し振り。見ての通りだぜ」
レイスがこの世界から居なくなって暫くの時が流れた。今日はこの年の全国大会が始まる日だ。
「この大会、今年も俺が貰うんで宜しく」
「どうでしょうね。ルーキも今年はだいぶ強くなっていますよ」
「みたいだな。あいつには一昨年やられてるからな。まあ、去年は俺が勝ってやったんだけどな」
そう喋りながら組み合わせを確認する。今年はシードだ。
「まだ、レイスのじいさんの強さまでは達していない。俺はまだまだ強くなってやるんだ」
「貴方ならまだ強くなれますよ」
「お前も出れば良いのに。強いのに勿体ないぜ」
「私は王様を守る使命がありますから」
「そう言えば、あの件は考えてくれましたか?」
「ああ、この王国にふさわしい独自の剣技流派を創るってやつだろ?今俺は修行に忙しいんだよ」
「そうですか」
「そうだ、もしお前がこの大会に参加して俺に勝てたら考えてやるよ」
「今から参戦は出来ませんよ」
「そうか? お前ならコネでねじ込めそうだけどな」
「3年前の事を言ってます? あれはケーオを捕まえる為の捜査だったから出来る事です。というか実際には不正参加はしなかったですし」
ドーンは少し考えこむ。
「では私がヘンリーさんと戦ってみるのはどうですか? 大会は出れませんが、バトルする事は可能です」
「面白いな。大会が終わったらやってみるか?」
「ええ。その代わり、私が勝ったら協力してもらいますよ」
「お前が勝てたら、な」
~サーザリッド王国~
「隊長、報告します。例のクスリを開発している組織の工場を発見しました。」
「よくやった、ポーン。すぐに準備して制圧に入るぞ」
「はい。」
あのケーオも使用していたクスリ。あれを開発している、とある組織を段々と追い詰めていく王国。ポーンは国王より勅命を受けて、組織の制圧に動いていた。
「あれから3年。ようやく尻尾を掴んだな」
「そうですね。今までのような末端の施設じゃ無く、大きな工場です」
「これで一気に片を付けれそうだな」
「よしっ、皆聞いたな。各自準備を行い、1時間後に持ち場に付くように」
「今回で決めるぞ。敵を逃がすんじゃないぞ!」
「おーーーっ!」
「ルファウスト王国の助力も大きかった。何よりケーオを捕まえる事が出来たのが大きい。レイスさんのお陰、なのかもしれない」
~天界~
「あら、精霊王様。どうされました」
「久しぶりだな。いや、そろそろ私も引退を考えていてな」
「以前からおっしゃっていましたけれど、ついに引退するのですね」
「私の跡にあの者を、と考えておるのだが」
「ええ、良いと思いますよ。そろそろ頃合いだと考えておりました」
「何れまた魔王と呼ばれる存在は現れる。次代の勇者を探し出さなくてはいかん。勇者レイスを超える程の逸材をな」
「そうですわね。でもまだ先のお話では?」
「今の内に目ぼしい血筋を探しておく事だ。私が安心して引退していられる様にな」
「そう言えば、天界と精霊界を分ける話はどうでしたか? 神とお話になられたんでしょう?」
「神からはOKが出ている。あの神はそんなに考えていないからな」
「そうですね。でも引っ越しが大変ですね」
「ニャン太、とかいう精霊はどうした? 勇者レイスの護衛からは離れたのだろう」
「あの子は今、休暇中です。長年頑張ってくれましたから」
「そうか。まあアイツも人間に情を移してしまった1人。暫く休ませてやるのも良いか」
精霊王はそう言って地上を眺める。
「精霊界へ移動となると、この景色も見納めだな」
「そう考えると少々寂しいですね」
「確かにな……ここからの景色は悪い物では無かったからな」
~地上~
後に世界はルファウスト王国で統一される。
しかしそれは武力による物では無かったとの事だ。
ドーンやヘンリー、その他の有志のもと「聖光剣」という剣技が誕生した。
後年のレイスが亡くなる間際まで、ヘンリーに聖剣流を教え込み意思を伝承した。
レイスの聖剣流が素となり、この聖剣流はかつての勇者レイスの技や特性が活かされているという。
永らく続く、ルファウスト歴が始まったのだ。
レイスは亡くなったが、その意思はずっと残っていくだろう。
「ヘンリー、お久し振りです。元気でしたか?」
「ようドーン、久し振り。見ての通りだぜ」
レイスがこの世界から居なくなって暫くの時が流れた。今日はこの年の全国大会が始まる日だ。
「この大会、今年も俺が貰うんで宜しく」
「どうでしょうね。ルーキも今年はだいぶ強くなっていますよ」
「みたいだな。あいつには一昨年やられてるからな。まあ、去年は俺が勝ってやったんだけどな」
そう喋りながら組み合わせを確認する。今年はシードだ。
「まだ、レイスのじいさんの強さまでは達していない。俺はまだまだ強くなってやるんだ」
「貴方ならまだ強くなれますよ」
「お前も出れば良いのに。強いのに勿体ないぜ」
「私は王様を守る使命がありますから」
「そう言えば、あの件は考えてくれましたか?」
「ああ、この王国にふさわしい独自の剣技流派を創るってやつだろ?今俺は修行に忙しいんだよ」
「そうですか」
「そうだ、もしお前がこの大会に参加して俺に勝てたら考えてやるよ」
「今から参戦は出来ませんよ」
「そうか? お前ならコネでねじ込めそうだけどな」
「3年前の事を言ってます? あれはケーオを捕まえる為の捜査だったから出来る事です。というか実際には不正参加はしなかったですし」
ドーンは少し考えこむ。
「では私がヘンリーさんと戦ってみるのはどうですか? 大会は出れませんが、バトルする事は可能です」
「面白いな。大会が終わったらやってみるか?」
「ええ。その代わり、私が勝ったら協力してもらいますよ」
「お前が勝てたら、な」
~サーザリッド王国~
「隊長、報告します。例のクスリを開発している組織の工場を発見しました。」
「よくやった、ポーン。すぐに準備して制圧に入るぞ」
「はい。」
あのケーオも使用していたクスリ。あれを開発している、とある組織を段々と追い詰めていく王国。ポーンは国王より勅命を受けて、組織の制圧に動いていた。
「あれから3年。ようやく尻尾を掴んだな」
「そうですね。今までのような末端の施設じゃ無く、大きな工場です」
「これで一気に片を付けれそうだな」
「よしっ、皆聞いたな。各自準備を行い、1時間後に持ち場に付くように」
「今回で決めるぞ。敵を逃がすんじゃないぞ!」
「おーーーっ!」
「ルファウスト王国の助力も大きかった。何よりケーオを捕まえる事が出来たのが大きい。レイスさんのお陰、なのかもしれない」
~天界~
「あら、精霊王様。どうされました」
「久しぶりだな。いや、そろそろ私も引退を考えていてな」
「以前からおっしゃっていましたけれど、ついに引退するのですね」
「私の跡にあの者を、と考えておるのだが」
「ええ、良いと思いますよ。そろそろ頃合いだと考えておりました」
「何れまた魔王と呼ばれる存在は現れる。次代の勇者を探し出さなくてはいかん。勇者レイスを超える程の逸材をな」
「そうですわね。でもまだ先のお話では?」
「今の内に目ぼしい血筋を探しておく事だ。私が安心して引退していられる様にな」
「そう言えば、天界と精霊界を分ける話はどうでしたか? 神とお話になられたんでしょう?」
「神からはOKが出ている。あの神はそんなに考えていないからな」
「そうですね。でも引っ越しが大変ですね」
「ニャン太、とかいう精霊はどうした? 勇者レイスの護衛からは離れたのだろう」
「あの子は今、休暇中です。長年頑張ってくれましたから」
「そうか。まあアイツも人間に情を移してしまった1人。暫く休ませてやるのも良いか」
精霊王はそう言って地上を眺める。
「精霊界へ移動となると、この景色も見納めだな」
「そう考えると少々寂しいですね」
「確かにな……ここからの景色は悪い物では無かったからな」
~地上~
後に世界はルファウスト王国で統一される。
しかしそれは武力による物では無かったとの事だ。
ドーンやヘンリー、その他の有志のもと「聖光剣」という剣技が誕生した。
後年のレイスが亡くなる間際まで、ヘンリーに聖剣流を教え込み意思を伝承した。
レイスの聖剣流が素となり、この聖剣流はかつての勇者レイスの技や特性が活かされているという。
永らく続く、ルファウスト歴が始まったのだ。
レイスは亡くなったが、その意思はずっと残っていくだろう。