第43話

文字数 926文字

 王国へ来たのは200年振りだ。魔王を封印して王様に挨拶へ行った以来、ここへは来ていない。時が経ちすぎていて、じじいを知っている人はもう居ない。じじい自身も歳を撮り見た目もだいぶ変わってしまった。

 闘技場もリニューアルされている様で、古さはそこまで感じなかった。


「以前に増して栄えているじゃないか」
「王国に1番近い町ですからね。第2の城下町とも言われている程です」
「そう言えば、ドーンは普段何処に住んでるんだ?」
「私は城の中に住んでいます。国に抱えられると城の中の小さな住宅街での生活が許されるのです」
「へぇ、凄いな。」



 闘技場のすぐ近くの宿屋にチェックインする。


「ドーンの紹介で会場に近い宿屋が予約できた。これは有難いな」
「私に勝って本選で優勝した以上は、この大会でケーオと戦って貰わないと」
「例のクスリの奴か。戦っている間に使うんだろうか?」

「分かりません。でも追い詰めればきっと」
「案外、ヘンリーがそいつと当たってクスリを使わせてくれるかもな」
「まあ、それはそれで良いですが」



 部屋に着く。思った以上に良い部屋だ。


「では、私は1度王国に戻ります。また明後日、闘技場で会いましょう」
「有難う。じゃあまた明後日」



 明日は1度、闘技場を見に行ってみるか。そう思いながらじじいは眠りについた。





~闘技場~



「うわぁ、広いな」


 大会前日の為、入れる場所は限られている。ロビーや闘技会場(実際に戦う場所)くらいだ。他にも何人か人が見える。観光客と……選手っぽい奴も居る。他の奴から見たらこんなじじいが選手だとは思わないだろうな。自分の事ながら笑えてしまう。



 ……と、奥に居るエルフと目が合った。


「おや、貴方はレイスさんでは?」
「ん?俺を知っているのか?」
「ええ、私も大会に出ますので。他の大会もチェックしてあるんですよ」
「なるほど……」


 もしかして他の大会をチェックしていないのって俺くらいなのか?


「私はスボイト。ハーフエルフの槍使いです。宜しくお願いします」
「宜しく。俺は魔法剣士のレイスだ」


 握手をする。軽く挨拶だけをしてスボイトは去っていった。


「あっさりしてるな。あまり眼中にない感じか?」



 一瞬、奴がケーオだったらどうしようと焦ってしまったじじいだった。




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登場人物紹介

【レイス】

本作の主人公。

200年前に魔王を打ち破った勇者。

光の精霊の加護を受けており、光属性の魔法や魔法剣を使用する。

【ニャン太】

勇者レイスの使い魔。

光の精霊がレイスに遣わせた精霊見習い。。

猫の姿は仮の姿である。


【ポコポコビッツ】

200年前に勇者に敗れた魔王。

封印されており、復活する時を待っている。

闇属性の魔法を使用する。

【ドーン】

ルファウスト王国の宮廷魔術師。

とある要件でとある人間を追っている。

主に無属性の爆発魔法を使用する。

【ヘンリー】

ルファウスト王国に住む魔法剣士。

世界大会で優勝するのが夢。

無属性の魔法剣を使用する。

【ポーン】

サーザリッド王国の兵士。

研修でルファウスト王国へ来ており、大会での案内等を行う。


【光の精霊】

レイスに光の加護を授け、ニャン太を遣わせた本人。

レイスに間違えて「不老不死」でなく「不死」を与えてしまったおっちょこちょいさん。

【魔王直属軍】

200年前は大きな軍だった。

レイスと戦って敗れた事でかなり数を減らしてしまった。

魔王が封印された後は、殆どの者が目的も無く過ごしている。

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