第29話

文字数 913文字

 選手の数も減った。今、じじいの次の対戦相手が戻ってきた。それでも、このAブロックはこの2人のみ。次にこの2人で対戦し、勝った方がBブロックの勝ち残りと決勝を行う。


「剣士の方が勝ち残ったか」
「次はアンタだな、じいさんよ。俺の名前は戦士、宜しくな」
「おお、宜しく。って、戦士って名前で剣士かよ」


 ある意味、そんなに変わらないのかもしれないが……



「名前は俺がつけた訳じゃねえからな。まあ気にすんなよ。」
「確かに。酔っぱらいのヘーベレッケやモブキャラのブーモに比べればマシなのか?」


 もはや感覚が狂って来ていた。



「あっ、Bブロックの1試合目が終わった」
「やっぱりあの魔法使いか……今まで被弾ゼロだぜ。強え~わ。正直勝てる気がしないぜ」
「魔法が少々使えたとて、あのスピードはヤバイだろ。ニャン太よりは遅いけど。世界でも上位に入る強さじゃないか?」



 その魔法使いと準決勝で当たる選手……かわいそうに。


「おっ、魔法使いの対戦相手が決まったな」
「あれは、あれこそが戦士だな」
「こりゃ相性が悪そうだな。とは言っても、あのコザって選手も中々やりそうだぜ?」


「コザ……ザコじゃねえか!」
「あ、本当だな。こりゃ駄目そうだな」




「それでは準決勝を行います。2人とも奥へどうぞ」
「よっしゃ、いきますか!」
「取り敢えずは目の前の敵、だな」



 闘技場はだいぶ盛り上がっていた。そろそろ大会自体の決着も近くなってきている。

 実際に、この戦士って剣士も中々やるし。超強い魔法使いも居る。挙句の果てにじじいまで居るんだから。コザは知らん。



「それでは、準決勝第1試合を行います。左側……優勝候補の1人と言われていたドーン選手を見事に打ち倒しました。魔法剣士レイス選手!」


 ドーンのヤツ、優勝候補だったのか? 道理で強かったハズだ。


「右側……大胆ながらも繊細な剣裁きで、危なげなく勝ち進んで来ました。剣士の戦士選手!」


 俺は一瞬吹き出しそうになるが、観客はお構いなしに盛り上がっている。きっと、もう慣れたんだろう。



「戦士だろうが剣士だろうが、どっちでも同じ事。この俺に勝てると思うなよ」
「今までの戦いでアンタが強いのは分かった。でも勝つのは俺だぜ」


「バトル、スタート!」




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登場人物紹介

【レイス】

本作の主人公。

200年前に魔王を打ち破った勇者。

光の精霊の加護を受けており、光属性の魔法や魔法剣を使用する。

【ニャン太】

勇者レイスの使い魔。

光の精霊がレイスに遣わせた精霊見習い。。

猫の姿は仮の姿である。


【ポコポコビッツ】

200年前に勇者に敗れた魔王。

封印されており、復活する時を待っている。

闇属性の魔法を使用する。

【ドーン】

ルファウスト王国の宮廷魔術師。

とある要件でとある人間を追っている。

主に無属性の爆発魔法を使用する。

【ヘンリー】

ルファウスト王国に住む魔法剣士。

世界大会で優勝するのが夢。

無属性の魔法剣を使用する。

【ポーン】

サーザリッド王国の兵士。

研修でルファウスト王国へ来ており、大会での案内等を行う。


【光の精霊】

レイスに光の加護を授け、ニャン太を遣わせた本人。

レイスに間違えて「不老不死」でなく「不死」を与えてしまったおっちょこちょいさん。

【魔王直属軍】

200年前は大きな軍だった。

レイスと戦って敗れた事でかなり数を減らしてしまった。

魔王が封印された後は、殆どの者が目的も無く過ごしている。

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