第50話

文字数 1,196文字

「ライトボール!」


 ライトボールを放ちながらオッサンに駆け寄る。オッサンは上手く捌いていく。


「こんなもの、何回やっても無駄だぜ」


 じじいは正面からクロス斬りを放つ。1撃目はかわされるが2撃目はガードする。クロス斬りに続いてじじいはライト斬りを放つ。


 ギィン!


 ガード。流石に後ろへ押されるオッサン。


「もういっちょいくぜ」


 再度ライト斬りで追いかけて行く。




 聖剣を振り下ろし切る前に、オッサンがこちらへ突っ込んできた。つば競り合いの状態になるが、力ではオッサンには勝てない。じじいは後ろへ飛ばされた。


「ぐっ、流石に強い」


 オッサンの追撃の突きを弾いて距離を開ける。



「ふう、なかなかやるじゃないかじいさん。結構危なかったぞ」
「お前こそやるなおっさん。あそこで切り返してくるなんて思わなかった」


 オッサンはパワーも凄いが、意外と器用だ。一気に畳みかけるしかない。


「うおおおっ、レイ!」


 ドドドドド!


 光の柱がオッサンを襲う。その間に、ライト斬りで逆袈裟に斬り掛かる。


 ガギィン!


 ガードしていた斧を大きく弾いた。


「し、しまった!」
「これでどうだ! ソードレイン!」


 もの凄い速さで連撃を食らわせた。オッサンは後ろへ吹っ飛んで倒れた。


「う、うぐぐぐ……」


 致命傷にはならなかったが、もはや立つことは出来ないだろう。




「……って、立つんかい!」


 オッサンはフラフラと立ち上がり、斧を投げてきた。先読みで難なくかわす。オッサンはそのまま前のめりに倒れた。どうやら最後の足掻きだった様だ。今度こそじじいの勝利だ。


「それまで。レイス選手の勝利です」


 結果だけでみれば、パワーに押される場面はあったがノーダメージでの完勝だった。でも1歩間違えればやられてしまうような危ない試合だった。


「全国大会に出るだけはある。ただのパワー野郎じゃ無かったぜ」






 魔法陣で部屋に戻る。疲れもあるが、すぐにテレビを点けた。今から次の対戦相手を決める試合が始まるのだ。剣士VS勇者の構図。この自称勇者がどれだけやるのか、気になった。

 対峙する2人。剣士が斬り掛かるが、自称勇者のルーキはかわしていく。


「あっ!」


 次の瞬間、ルーキの魔法剣が炸裂した。情報通りの雷属性の魔法剣。雷を扱う時点で勇者度が増すように感じられるのは何故だろう。

 直撃を受け動けなくなる剣士。雷で痺れてしまっているのかもしれない。その首元に剣をあてがうルーキ。一瞬後、剣士はギブアップした。


「あんまり見れなかったな。でもこいつはかなり強いぞ」


 あの魔法剣だけでも強力だろう。その上に、もっと強い技も隠していると思われる。


「少しでも情報が欲しかったんだが……」


 技を1つ見れただけでも良かったのだろうか。気合を入れ直していかなければ。



 これで第2回戦は終了した。少しの時間をおいて、第3回戦が始まるのだ。


「最後の試合だから、第4試合だな。まずはヘンリーの試合からだ」




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登場人物紹介

【レイス】

本作の主人公。

200年前に魔王を打ち破った勇者。

光の精霊の加護を受けており、光属性の魔法や魔法剣を使用する。

【ニャン太】

勇者レイスの使い魔。

光の精霊がレイスに遣わせた精霊見習い。。

猫の姿は仮の姿である。


【ポコポコビッツ】

200年前に勇者に敗れた魔王。

封印されており、復活する時を待っている。

闇属性の魔法を使用する。

【ドーン】

ルファウスト王国の宮廷魔術師。

とある要件でとある人間を追っている。

主に無属性の爆発魔法を使用する。

【ヘンリー】

ルファウスト王国に住む魔法剣士。

世界大会で優勝するのが夢。

無属性の魔法剣を使用する。

【ポーン】

サーザリッド王国の兵士。

研修でルファウスト王国へ来ており、大会での案内等を行う。


【光の精霊】

レイスに光の加護を授け、ニャン太を遣わせた本人。

レイスに間違えて「不老不死」でなく「不死」を与えてしまったおっちょこちょいさん。

【魔王直属軍】

200年前は大きな軍だった。

レイスと戦って敗れた事でかなり数を減らしてしまった。

魔王が封印された後は、殆どの者が目的も無く過ごしている。

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