⭐︎.  Given Instruct ”キリストに倣う”。

文字数 5,655文字

地元の千里中央駅から天王寺までは地下鉄の御堂筋線で約40分。近鉄線に乗り換えて
妻の実家のある恵我ノ荘まではさらに40分を要する。月に一度、生活費を渡す目的で
訪問をしていた。乗り換え前に、天王寺駅前のMIOによって本屋で少し時間を潰すのが
気晴らしだった。

この時は、やっと採用された会社を解雇されてすぐのころ。意気は消沈、肺は病んでて、
意識は朦朧としていた。先行きが、又もやまったく見当がつかなくなってしまっていたから。

本屋で強い誘導に会う。聖書関連のブースへだった。
”これら”の内から一冊買いなさとのことだった。
文庫も含めて同じ書名のが四種類。
そして、「えいやっ」で一冊選んだ。
小型のハードカバー本で真っ赤な背表紙のやつ。



『キリストにならって』(訳:萩原晃)とあった。
聖書でさえ全部読み切れてるとは言えないのに、無用な出費に怖気もあったが、
まあいいやとばかりにレジへと向かった...。

後に、この本を読んでボクは仰天することとなる。なぜなら、事細かに、また厳しく、
そしてとてつもなく含蓄のある言葉で、今自分に起こっていることの意義/意味/理由、
そのすべてが説明されていたのだから。

8年を超えて今なお携帯は続けられている。毎度どこを読んでも、初読のように思われてしまう。
いつもその文言は、心に沁み入り、どこか深くに触れてくるように感じてしょうがない。
その癖、すぐに日常に紛れて忘れてしまうのだが...。

今回も、仕切り直しということで一編掲載させて頂きます。よろしくお願いします。


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 第40章:”人の善なるものはすべて神から。決して彼自身からではない”。
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「主よ、貴方が心にとめ置かれる人間とは、どういった人なのでしょうか?
 もしくは、貴方が訪れようと思う人の子とは一体どんな人間なのでしょう?」(詩篇8・5)

貴方が恵みを与えるにたりる何事を、私たちは行なっただろう?
貴方が私から離れ去り、一人ぼっちにされたとしても、なんの文句をこちらは言えるでしょう?
もしくは、願いが叶えられないからといって、なんの不満をどうして抱くことができるのでしょう?

本心より私が思うことがありますので、どうかこれをお聞き入れ下さい…。

主よ、貴方なしでは、私はただの抜け殻でしかありません。何も出来やしません。
私の内には善いものなど何もありはしません。あらゆる面で欠陥だらけ。
そして、いつも無意味なことばかりしてしまいます。
貴方の助けや指導が(私の存在の深みにおいて)なされなければ、
私は、無神経で、ダラシのない人間でしかおれません。

しかし『貴方におかれましては!』です…

主は、いかなる時も絶えず同じ、全く変わられる事はありません。
永遠に渡って、常に、『善』『正』そして『聖』にてあられます。
貴方は、『正しき』を基に、また『純粋なる』を尺として、すべてを見事に整えられる。
貴方の計らいはすべて賢明なるものです。

されど「私は…」だ!

前進するより後退するに易く、一つの状態からアレやコレやへと漂い移ろうが常のこと。
(人生における)七つの季節のめぐりは、私に損害/打撃/混乱を与えるばかり。
けれど、貴方が救いの手を伸ばされると物ごとは不思議と改善していきます。

「ただ貴方のみです!」。

誰からも助けがもらえない状況において、私を支え、そして補強して下さったのは。
私は、縋るべき何かを探して、次から次へと関心を移すことはもうありません。
貴方だけに心を向け続けます。そこだけに安らぎは見出されたのですから。

もし、私が貴方以外から来るすべての慰め楽しみを脇に追いやれたらなら…。
もしくは、貴方からの助けを叫び求めざる得ない事態となってしまったのなら…。

そうなれば、私は心の底から真剣に貴方からの救いが受けられるよう祈るでしょう。
(なぜなら、私を慰めてくれる人、助けてくれる人など、どこにも誰もいないのですから)
そうすれば、私は新しい霊的な恵みが与えられ、再び喜びに帰れるようになります。

私は貴方に感謝いたします。貴方が送られたすべての物事において。
どれもが、やがては、良き結末へと至りました。

私はといえば、中身なく、そしてなんの価値もない。
一人の、心落ち着かない、弱いだけの人間です。
そんな私に、何か誇るべきものがあるでしょうか?。
 もしくは、こんなんで人からの評価を何故に求めようとするのか?。

「自分がカラッポであるが故に!」。そんな道理は絶対にありますまい。

今、そこにあるのは「虚栄心」なるもの。
「夜郎自大」かくの如き自己意識こそが悪しき疫病なり。自尊心としての最たるもの。
何故ならば、それこそが! 我々を『真の誉れ』から引き離すものなのだから。
そして『天来の恵み』を我々から奪い去るものである。

人が自己に満足している限り、主が彼に喜ぶことはない。
そして、まわりの人達からの評価を求め続ける限り本当の美徳なるものが彼に備わることはない。

『真の栄光』そして『聖なる喜び』は:

神を賛美することにおいてであって、決して自分を誇ることにおいてではない。
主の名を誉め讃えることにおいてであって、己が強さにおいてではない。
創造されたものでしかない物事に楽しみを探し求めることにではなく、
  御身だけを楽しみとすることにである。

御名が賛美されますように。(私のなどではありませんように)
御技が誉め讃えられますように。(私の行いなどにではありませんように)
聖なる御名に感謝が寄せられますように。(そして私には誰からも評価など起こりませんように)

貴方は私の栄光です。
そして心の喜びそのもの。 
貴方につながれたなら、私は一日中祝福を受けることになります。

私に関しましては、私は自分の弱さ以外に何も誇るべきではないでしょう。

「然らば!」、

他の人達には周りの同じような人々からの評価を求めさせ給え。
私は、御身からの「お褒め」のみを求めてまいります。
貴方が賜われる『永遠なる栄光』と比べれば、
   人の与えよこす誉れ、一時〈とき〉のみの表彰、そして社会的な地位など
      虚しく愚かなものでしかありません。

「ああ偉大なる我が神よ! 
    至聖なる三位一体よ! 我が真実、そして我に憐れみをよせてくださる方よ!」
 
「貴方のみにおいて、賛美が、誉が、力が、そして栄光が、永遠にいつまでも続きますように」。

〈了〉

Imitation of Chiristi, book II, Chap.40

[意訳:byMe]




追記:

この訳出は、読まれる方を想定してなのですが、同じくこれは自分の為でもある。
英文からなので味わいはまた格別。
誰かの訳を読むだけとは違った印象を、いつも受け取る。

皆さまには本当に感謝しております。いつもありがとうございます。(トーカー)


[原文]

Chap.40, That All a Person’s Goodness Comes from God, Not from Himself.

Lord, what is man that you are mindful of him or the son of man that you visit him?
What have we done that you should give us your grace?
Lord, how can I complain if you leave me or what can I say if you fail to do what I ask?
Surely I may truly think and say this: Lord, without you, I am nothing ; I can do nothing; I have nothing of myself that is good. I am flawed in all things, and I always tend to nothing, and unless I am helped and instructed by you in the depths of my being, I become cool and lax.
But you , Lord, are always the same; into eternity you remain always good, just and holy.
You do all things well with justness and holiness, and you manage all things wisely.
But I, who am more inclined to go backward than forward, constantly drift from one state to the next, for seven seasons wreak havoc over me.
Yet, things get better when you reach out your helping hand.
Only you, without help from anyone else, can so assist and strengthen me that I no longer look from one thing to the next, but I turn my heart to you and find rest in you alone.
So, if I knew how to put aside all other comfort, either for the sake of devotion or because I felt compelled to seek you—because there is no one else who can comfort me—then I might rightly hope for your grace and rejoice again in your gift of new spiritual comfort.
I thank you, for all things that go well for me come from you.
For my part, I am hollow and worthless, a fickle and weak person.
What do I have to boast about, then, or why do I wish to be held in high regards?
Surely not for my nothingness? Now there is vanity!
Such an inflated sense of self is an evil plague, the apex of pride, because it draws us away from true glory and robs us of heavenly grace.
As long as a person is pleased with himself, he is displeasing to you, and as long as he after other people’s praise, he is deprived of real virtures.
True glory and holy joy are found in glorifying you and not in boasting of one’s self; in rejoicing in your name and not in one’s own strength; in not finding pleasure in any created thing except for your sake.
Let your name be praised, not mine; let your work be extolled, not mine; let your holy name blessed, and let no one’s praise fall on me.
You are my glory and the Joy of my heart. In you will I be blessed all the day long.
As for myself, I shall boast of nothing but my weakness. Let other’s seek praise from others; I shall seek praise from God alone.
The compared to your eternal glory, all human glory, and temporal honor, all worldly eminence are vain and foolish.

O my God, Blessed Trinity, my truth and my mercy, to you alone be praise, honor, power, and glory forever and ever.

















オモクソチョクヤク。ミヤビサゼロ。チカラハイリスギ。
「だってこれかなり切実に響くんだもん」
オマエノカッテ。ヨムヒトメイワク。アリガタクナイ。ニドヨマナイ。
「GANTZみた~い」
モウハヤクネロ !
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