☆. The Sermon   山上の垂訓(全正文)

文字数 24,408文字

*閲覧ハ縦にて文字寸「大」なりしヲ推奨に候う。
*是れ、叩き台にされして、各自、好みにて改稿されたし。

課題とされしは擬文語の体裁とりての自在なる意訳。
無謀なるの自覚ありしても尚も再翻訳せんと欲せしの結果なりし。かしこ。
序列:[崇/KJ/ラゲ]

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イエズスはガリレアの全地を巡り、諸会堂にて教へ、御國の福音を宣べ、又民の間の
凡ての病、凡ての患を癒し給ひければ、其の評判、洽くシリアに播がり、患へる者、
様々の病と苦とに罹れる者、惡魔に憑かれたる者、癲癇癱瘋に悩める者を皆彼に差出し
けるに、イエズス之を癒やし給ひ、ガリレア、デカポリ、エルザレム、ユデア又は
ヨルダン河の彼方より、夥しき群衆來り從へり…。





【山上の垂訓】


イエズス群衆を見て、山に登りて坐し給ひしかば、弟子等是に近づき側控へたる、
口を開きて、集いたる等、凡てに教へて曰ひ賜ひけるハ…


こころに欲、煩い、執着、なかりしければ、これ清められしものなり。祝福あれ。
彼ら天の王国そのものならんや。
Blessed are the poor in spirit: for theirs is the kingdom of heaven.
福なるかな心の貧しき人、天國は彼等の有なればなり。


嘆き悲しむるに、祝福あれ。彼らは慰めと癒しをいずれに受くる。
Blessed are they that mourn: for they shall be comforted.
福なるかな泣く人、彼等は慰めらるべければなり。


従順に逆境忍びたるらに、祝福あれ。
彼等、新たに到来する御国ホば相続せん。
Blessed are the meek: for they shall inherit the earth.
福なるかな柔和なる人、彼等は地を得べければなり。


正義、是行うこと見ることに飢え渇きしに、汝ら祝福あれ。
いずれの時には大いなる充足知られん。
Blessed are they which do hunger and thirst after righteousness:
for they shall be filled.
福なるかな義に飢渇く人、彼等は飽かさるべければなり。


情け深きこころによりて他者の窮状思ひやるるらに、祝福あれ。
彼ら天によりて慈悲たる恵み授からん。
Blessed are the merciful: for they shall obtain mercy.
福なるかな慈悲ある人、彼等は慈悲を得べければなり。


こころ純真なるに、祝福あれ。いずれの時にか、汝ら神の実在目見えん。
Blessed are the pure in heart: for they shall see God.
福なるかな心の潔き人、彼等は神を見奉るべければなり。


和平を呼びかけ到来せしむるに、祝福あれ。彼ら神の子等と呼ばれ得ん。
Blessed are the peacemakers: for they shall be called the children of God.
福なるかな和睦せしむる人、彼等は神の子等と稱へらるべければなり。


御国より知らされしての義、是れ奉じてが故に迫害遭わされしに、祝福あれ。
天の王国はその人たちのもの也しかば。
Blessed are they which are persecuted for righteousness' sake:
for theirs is the kingdom of heaven.
福なるかな義の為に迫害を忍ぶ人、天國は彼等の有なればなり。


我を奉じてが故に、罵られ、迫害され、根も葉もなき棘ある口に曝されし時、
汝ら祝福されん。
Blessed are ye, when men shall revile you, and persecute you,
and shall say all manner of evil against you falsely, for my sake.
我が為に人々汝等を詛ひ、且迫害し、且僞りて、汝等に就きて所無き惡聲を放たん時、
汝等は福なるかな、


喜び、なおもて歓喜するが佳し。天にて汝が受ける報ひたるハ大きなりて。
汝の前に来訪せし預言者等も迫害同じく受けたり。
Rejoice, and be exceeding glad: for great is your reward in heaven:
for so persecuted they the prophets which were before you.
歓躍れ、其は天に於る汝等の報甚多かるべければなり。
蓋汝等より先に在りし預言者等も斯く迫害せられたり。


汝等は、地におきたる塩なり。もし塩、その塩味失のふたなら、
如何に其、取り戻さるる?。もはや、なんの役に立つハあるまい。
ただ路上にて捨つられ、通れる人等に踏みつけにされるるだけとならん。
Ye are the salt of the earth: but if the salt have lost his savour, wherewith shall it be salted?
it is thenceforth good for nothing, but to be cast out, and to be trodden under foot of men.
汝等は地の塩なり、塩若其味を失はば、何を以てか是に塩せん、最早用なく、
外に棄てられて人に踏まるべきのみ。


汝等、世の光にありけれ。丘の上の町を隠すことなどできはしない。
Ye are the light of the world. A city that is set on an hill cannot be hid.
汝等は世の光なり。山の上に建てたる街は隠るること能はず。


また、蝋燭に火つけして、それを鉢の下にするなど有らず。
当然、燭台に置きて室内に居る皆にその光ゆき届かんようされん。
Neither do men light a candle, and put it under a bushel,
but on a candlestick; and it giveth light unto all that are in the house.
人は又燈を點して枡の下に置かず、家に在る凡ての物を照らさん為に、
之を燭台の上に置く。


然也て、汝の光、人々眼前にて燦然と輝かし給へ。
然すれば、人々、汝等の行為するに感化され、
天国におられる汝等の父たるを、称揚さるるようならんや。
Let your light so shine before men, that they may see your good works,
and glorify your Father which is in heaven.
斯の如く、汝等の光は人の前に輝くべし、然らば人は汝等の善業を見て、
天に在す汝等の父に光榮を歸し奉らん。


既に渡されし戒律を、もしくは預言書を、廃するために我来こしめしと思ふでないぞ。
それら廃せんとして来したるに非らず。否、それら全て成就せんがため也。
Think not that I am come to destroy the law, or the prophets:
I am not come to destroy, but to fulfil.
我律法若くは預言者を廃せんとて來れりと思ふこと勿れ、
廃せんとて來りしには非ず、全うせんが為なり。


真実なりしこと汝等に宣べん。天地の滅び去るまで、すべての成就なさるるまで、
定められし戒律の一点一画、廃るるハ有り得じ。
For verily I say unto you, Till heaven and earth pass,
one jot or one tittle shall in no wise pass from the law, till all be fulfilled.
蓋我誠に汝等に告ぐ、天地の過ぐるまでは、
律法より一點一画も廃らずして、悉く成就するに至るべし。


戒のうちにて最も小さいものの一つでも破り、また同じゅう人に行う教えるものは、
天の国では最低と呼ばわれん。
却って、これを行ない遵守するもの、そしてこれらの戒の意義人に指南するものは、
天の国にて立派と評されん。
Whosoever therefore shall break one of these least commandments, and shall teach men so,
he shall be called the least in the kingdom of heaven: but whosoever shall do and teach them,
the same shall be called great in the kingdom of heaven.
故に彼最も小き掟の一を廃し、且其儘人に教ふる者は、
天國にて最小き者と稱へられん、
然れど之を行ひ且教ふる者は、天國にて大なる者と稱へられん。


語り宣べおく。
汝の義なるもの、律法書士、パリサイ人等の義よりまさっておらずんば、
天の王国に入ること決して叶わじ。
For I say unto you, That except your righteousness shall exceed the righteousness of
the scribes and Pharisees, ye shall in no case enter into the kingdom of heaven.
蓋我汝等に告ぐ、若汝等の義、律法學士ファリザイ人等の其に優るに非ずば、
汝等天國に入らざるべし。


遠の昔、モウゼ民に向かいて、
『殺すな』『如何なるものなれど、殺せば審判を仰がねばならない』と伝へせし。
是れ、汝等聞き知りてのこと。しかし、我、汝等に尚もて宣べ伝ゑん。
Ye have heard that it was said by them of old time, Thou shalt not kill;
and whosoever shall kill shall be in danger of the judgment: But I say unto you,
「殺す勿れ、殺す人は裁判せらるべし」と、古の人に云はれしは汝等の聞ける所なり。


我ヲ認め、集ひしたる、これみな兄弟なり。その兄弟たるに、もし叫怒あびせしもの
あらば、此れ審議の的に相応しきかな。更に、兄弟たるに「白痴」など悪口あびせし
たらば、最高法廷にて審判かけられよう。しかして、此れ「汝阿呆」などと言ひ
ければ、誰かまわずして火焔の地獄【gehenna】へと投げ込まれん。
That whosoever is angry with his brother without a cause shall be in danger of
the judgment:and whosoever shall say to his brother, Raca, shall be in danger of
the council: but whosoever shall say, Thou fool, shall be in danger of hell fire.
然れど我汝等に告ぐ、総て其兄弟を怒る人は裁判せらるべし、
其兄弟を愚者よと云ふ人は衆議所の處分を受けん、
狂妄者よと云ふ人は地獄の火に當るべし。


然によりて、もし汝、神へ供えもの捧げにおりてで、その場にて
兄弟との諍い燻りありたる思ひ出したれば、
Therefore if thou bring thy gift to the altar, and there rememberest that
thy brother hath ought against thee;
故に汝若禮物を祭壇に献ぐる時、其處に於て、
何にもあれ兄弟に怨まるる事あるを思出さば、


供えもの、そのままに残し置き、行って、先ずハその兄弟と和解果たさん。
供えの捧げハ其れからだ。
Leave there thy gift before the altar, and go thy way; first be reconciled to thy brother,
and then come and offer thy gift.
其禮物を其處に、祭壇の前に措き、先往きて兄弟と和睦し、
然る後に來りて其禮物を献げよ。


汝ヲ訴え、裁かんとす係争、定められして、やがて逼りて立ち現れん。
これ肝に銘じおき、咎ありたれば、急ぎにて解消さるるべし。
正に、その時への道行き半ばに、彼(神)身近に未だありての内に、
急ぎ和解執り持つこと、是れが正に肝要ならんや?。
然もなくば、汝、裁定に儘もて委ねられん。
然すれば裁定者、違わず、汝を警吏に渡し、終いには獄へと投げ入れられん。
Agree with thine adversary quickly, whiles thou art in the way with him; lest at any time
the adversary deliver thee to the judge, and the judge deliver thee to the officer,
and thou be cast into prison.
汝敵手と共に途に在る中に早く和解せよ、恐らくは敵手より判事に付され、
判事より下役に付され、遂に監獄に入れられん、


真実なるを汝に言いおく。
最後の一部一厘一銭の、其の支払い仕終わるるまで、決して其処より出るは叶わじ。
Verily I say unto thee, Thou shalt by no means come out thence,
till thou hast paid the uttermost farthing.
我誠に汝に告ぐ、最終の一厘を還す迄は其處を出でざるべし。


『不義密通を禁ず』と伝えられしして、是れ汝等聞き知りたるところ。
しかし、我、尚付け加えて宣べん。情欲掻き抱きて婦女子見たるらば、
心中既に姦淫犯したるも同然なりと。
Ye have heard that it was said by them of old time, Thou shalt not commit adultery:
But I say unto you, That whosoever looketh on a woman to lust after her committed
adultery with her already in his heart.
「汝姦淫する勿れ」と古の人に云はれしは汝等の聞ける所なり。
然れど我汝等に告ぐ総て色情を起さんとて婦を見る人は、
既に心の中に之と姦淫したるなり。


もし右の目、汝を罪へと誘うなら、それ刳り出し投げにて捨てん。
体の一失うは、全身ゲヘナへ投じらるるよりましにありて。
And if thy right eye offend thee, pluck it out, and cast it from thee:
for it is profitable for thee that one of thy members should perish,
and not that thy whole body should be cast into hell.
若汝の右の目汝を躓かさば之を抉りて棄てよ、其は汝に取りて、
五體の一の亡ぶるは、全身を地獄に投入れらるるに優ればなり。


そして、もし汝の右の手、罪たるヲ叶ふるなら、それ切りにて捨て去りなむ。
五体の一失おうとも、全身これ地獄へと落ちゆくより汝にとりて
遥かに幸いとなりしかば。
And if thy right hand offend thee, cut it off, and cast it from thee:
for it is profitable for thee that one of thy members should perish,
and not that thy whole body should be cast into hell.
若汝の右の手汝を躓かさば之を切りて棄てよ、其は汝に取りて、
五體の一の亡ぶるは、全身の地獄に行くに優ればなり。


『妻を離縁するもの、ことに関わる証書、女に託せよ』との命じあるに、
然れど我、これに加えて述べん。不義働きしたる故除きて!、縁によりて婚姻したる
にも関わらず、その妻離縁するハ、其に姦通行わしむるに等しき也。
更に、離縁されし、此れ妻と迎ふるハ姦通行うに同じく等しからんや。
It hath been said, Whosoever shall put away his wife, let him give her a writing of divorcement:
But I say unto you, That whosoever shall put away his wife, saving for the cause of fornication,
causeth her to commit adultery: and whosoever shall marry her that is divorced committeth adultery.
又「何人も妻を出さば是に離縁状を與ふべし」と云はれたる事あり。
然れど我汝等に告ぐ、総て私通の故ならで妻を出す人は、之をして姦淫せしむるなり、
又出されたる婦を娶る人も姦淫するなり。


また、古きより民らに語り伝ゑられして、汝ら聞き知りてのこと。
『嘘、偽り、証言するべからざれ』
『宣誓せし破るるべからず』
『況してや主に誓いし果たすハ、これ必定にして絶対なり」と。
Again, ye have heard that it hath been said by them of old time,
Thou shalt not forswear thyself, but shalt perform unto the Lord thine oaths:
又「僞り誓ふ勿れ、誓ひたる事は主に果すべし」と古の人に云はれしは、
汝等の聞ける所なり。


然れど、我、汝らに加へて伝えん。誓ひする、是れ一切為すべからず。
天によりて誓ふ、ならぬ。其處は神の玉座なるによりて。
乃至、大地において誓ふ、ならぬ。その足台なるによりて。
乃至、エルサレムに向かって誓ふ、ならぬ。それ至聖所なる処によりて。
また、或いは、自己の名誉にかけて誓ふも、ならぬ。
自身の髪の毛一本さえ、白くも黒くも自在にすること叶わぬが故なりて…。
But I say unto you, Swear not at all;
neither by heaven; for it is God's throne:
Nor by the earth; for it is his footstool:
neither by Jerusalem; for it is the city of the great King.
Neither shalt thou swear by thy head,
because thou canst not make one hair white or black.
然れど我汝等に告ぐ、断じて誓ふ勿れ。
天を指して[誓ふ勿れ]、其は神の玉座なればなり。
地を指して[誓ふ勿れ]、其は神の足台なればなり。
エルザレムを指して[誓ふ勿れ]、其は大王の都なればなり。
汝の頭を指して誓ふ勿れ、
其は一縷の髪だも、白く或は黒くすることを得ざればなり。


ただ単純に、ただこころ素直なりて覚へらるる侭もてで足らん。もし汝、
佳きと思わば『肯』なりと、そしてもし、否と思わば『否』なりとのみ答ゑん。
これ越えて言の葉継ぐるは、如何なるにても、悪しき顕れなりたるに。
But let your communication be, Yea, yea; Nay, nay:
for whatsoever is more than these cometh of evil.
汝等唯、然り然り否々と云へ、是より過ぐる所は惡より出るなり。


『他人の目潰さば自身の目同じく、歯折らば自身の歯同じに』の掟、
汝ら聞き知りたるに、
Ye have heard that it hath been said, An eye for an eye, and a tooth for a tooth:
又「目にて目を[償ひ]、歯にて歯を[償ふべし]」と云はれしは汝等の聞ける所なり。


然しながら我汝らに告げん。悪しきたる、是れ敵と思ふて関わること勿れ。
もし、汝の右の頬打ちて貶めんとすあらば、却って、
それに向けて左の頬をも差し出さん。
But I say unto you, That ye resist not evil:
but whosoever shall smite thee on thy right cheek,
turn to him the other also.
然れど我汝等に告ぐ、惡人に抗ふ勿れ、
人若し汝の頬を打たば、他の頬も是に向けよ。


訴え起こし、汝の着て所有せる其の衣、奪ひとらんとすあらば、
外套ヲも含めて、取らせて去なせしめん。
And if any man will sue thee at the law,
and take away thy coat, let him have thy cloke also.
又汝を訟へて下着を取らんとする人には上着をも渡せ。


もし誰か汝に一里の距離、歩くの無理じいすらば、其の二倍ヲも彼と共に行き給ゑ。
And whosoever shall compel thee to go a mile, go with him twain.
又汝を強て一千歩を歩ませんとする人あらば、尚二千歩を彼と共に歩め。


求めるたるに与えん。
又、なんぞ汝より借りんと求め来しあらば、決して是れに背向くる勿れ。
Give to him that asketh thee,
and from him that would borrow of thee turn not thou away.
汝に乞ふ人に與へよ、
汝に借らんとする人に身を背くること勿れ。


『同胞を愛して、敵は憎めよ』是汝ら聞き知りたるに、
然れど、我、汝ら斯くあるべきなるヲ、新たに告げん。
『汝に敵あらば、是ヲ愛しもて』
『苛め虐げ貶めんとするあらば、此れ、やがてに回心されん、
 救わるるよう、父へと祈り遣り給ゑ』
Ye have heard that it hath been said,
Thou shalt love thy neighbour, and hate thine enemy.
But I say unto you,
Love your enemies,
bless them that curse you, do good to them that hate you,
and pray for them which despitefully use you, and persecute you;
「汝の近き者を愛し、汝の敵を憎むべし」と云はれしは、汝等の聞ける所なり。
然れど我汝等に告ぐ、
汝等の敵を愛し、
汝等を憎む人を恵み、
汝等を迫害し且讒謗する人の為に祈れ。


汝、このように在りてにこそ、天の父の子たる分限ヲば得ん。
彼は、所有さるる太陽なりし、心邪なる、心正しきなる、その分け隔てなくして
そハ登らせ、そヲ輝かせにして賜わらるるなば。
また、恵みの雨たるを、公正なるに、公正なきらに、違わずして賜われんこと思へば。
That ye may be the children of your Father which is in heaven:
for he maketh his sun to rise on the evil and on the good,
and sendeth rain on the just and on the unjust.
是天に在す汝等の父の子等たらん為なり、其は父は善人にも惡人にも日を照らし、
義者にも不義者にも雨を降らし給へばなり。


もしに、愛されにして、汝、愛行いたとて、如何なる報いヲば期待出来る?
仲間より搾取するらでさえ、そのように行ひするにて有らずや?
尚に、汝、挨拶なるは輩のみ行ふとせんなら、他と比して何の違ひあらんや?
あれら、我らの神知らぬらでさへ、そうするでないか?
極善なり給えよ!
天に座す汝等の父たるが、非の打ち所なき完全たる存在なれば。
For if ye love them which love you, what reward have ye? do not even the publicans the same?
And if ye salute your brethren only, what do ye more than others? do not even the publicans so?
Be ye therefore perfect, even as your Father which is in heaven is perfect.
汝等己を愛する人を愛すればとて、何の報をか得べき、税吏も然するに非ずや。
又己の兄弟等にのみ挨拶すればとて、何の勝れたる事をか為せる、
異邦人も然するに非ずや。
故に汝等の天父の完全に在す如く、汝等も亦完全なれ。


良く肝に命じて行ふべからざるハ、『義行う』に是れ人前にて見られんと願いして
為すること也。もし汝、是れすらば天の父よりの報い無かりしかば。
Take heed that ye do not your alms before men, to be seen of them:
otherwise ye have no reward of your Father which is in heaven.
人に見られんとて人の前に汝等の義を為さざる様慎め。
然らずば天に在す汝等の父の御前に報を得じ。


故に汝、貧しきより乞われ求めらして施しすらば、其の善行、喇叭吹きもてすること勿れ。
是れ、偽善者等の我知られんとして為すがものになりて。
民集会また大通りにて、評判得たいが為に行われたるに。是よく見受けらるる…。
我、真なりけるヲば述べん。彼ら、既に十全に報いなりしハ得したり、受けたりと。
Therefore when thou doest thine alms, do not sound a trumpet before thee,
as the hypocrites do in the synagogues and in the streets, that they may have glory of men.
Verily I say unto you, They have their reward.
然れば施を為すに當りて、僞善者が人に尊ばれんとて會堂及衢に為す如く、
己が前に喇叭を吹くこと勿れ。我誠に汝等に告ぐ、彼等は既に其報を受けたり。


然れど、施しするに、左の手、右手の行いするるの知られまじ。
然すれば、汝の施しするるハ内密とされん。
隠れてなされしこと観給ふが汝の父なりて、
然らば、彼、違うことなく汝に報ひてくださらん。
But when thou doest alms, let not thy left hand know what thy right hand doeth:
That thine alms may be in secret:
and thy Father which seeth in secret himself shall reward thee openly.
汝が施を為すに當りて、右の手の為す所、左の手之を知るべからず。
是汝の施の隠れん為なり。然らば隠れたるに見給ふ汝の父は汝に報い給ふべし。


また汝祈るにおいて、偽善者ノようあるべからず。
是れ等、公会堂や通りの角に立ちて祈りにけるハ、民に見られん好みたるが故なり。
我、汝らに宣べん、彼ら既に、報いなりし得したるなるヲ。
And when thou prayest, thou shalt not be as the hypocrites are:
for they love to pray standing in the synagogues and in the corners of the streets,
that they may be seen of men. Verily I say unto you, They have their reward.
又祈る時僞善者の如く為ること勿れ。彼等は人に見られんと會堂に衢の隅に
立ちて祈る事を好む。我誠に汝等に告ぐ、彼等は既に報たるは受けたり。


然して、汝等、祈り捧ぐるにては、自室に入り、戸ば閉めに切りて、
それから不可視不可触不可侵たる、汝の父に向けて、祈り捧げられん。
然すれば、秘されて為されし凡て、見賜う汝の父、違うことなく報ひて下さらん。
But thou, when thou prayest, enter into thy closet, and when thou hast shut thy door,
pray to thy Father which is in secret;
and thy Father which seeth in secret shall reward thee openly.
汝は祈るに己が室に入りて戸を閉ぢ、隠れたるに在りて汝の父に祈れ、
然らば隠れたるに見給ふ汝の父は汝に報い給ふべし。


また、汝等、祈りにおきて、異教徒等する如く繰り言すること勿れ。
其れ等、言葉の多きによりて聞き届けらるるヲ信じておらば也。
But when ye pray, use not vain repetitions, as the heathen do:
for they think that they shall be heard for their much speaking.
又祈るに異邦人の如く繰言を為すこと勿れ、彼等は言の多きに由りて
聴容れられんと思ふなり。


『彼等の如く在るべからず!』
Be not ye therefore like unto them:
故に彼等に倣ふこと勿れ、


汝等の父たるは、願い起さるる前、既に汝の要りたる知りにて居らるる。
for your Father knoweth what things ye have need of, before ye ask him.
其は汝等の父は、汝等の願はざる前に其要する所を知り給へばなり。


然らば、汝等ノ祈り斯くあるべし:
After this manner therefore pray ye:
然れば汝等斯く祈るべし。


『父よ!、願わくハ、御名、その至聖なりしもて崇め讃えられんことヲ』
『御国ノ来らんことヲ』
『御胸、天に行われる如くして、地にても行ひ賜ゑ』
『糧たるを、日々に我らに与へ賜ゑ』
『我らノ犯したる罪咎ヲ赦し賜へ、我ら既に、我らに罪なしたるを許し給へしならば』
『我らヲ試みに引き渡されすること勿れ』
「我らヲ悪より遠ざけ、安全ならしめ、守り賜ゑ」
「国と力と栄ゑハ永遠に汝のものたれば也 」
Our Father which art in heaven,
Hallowed be thy name.
Thy kingdom come.
Thy will be done in earth, as it is in heaven.
Give us this day our daily bread.
And forgive us our debts, as we forgive our debtors.
And lead us not into temptation,
but deliver us from evil:
For thine is the kingdom, and the power, and the glory, for ever.
天に在す我等の父よ、願はくは御名の聖と為られん事を、
御國の來らん事を、
御旨の天に行はるる如く地にも行はれん事を。
我等の日用の糧を今日我等に與へ給へ。
我等が己に負債ある人を赦す如く、我等の負債をも赦し給へ。
我等を試に引き給ふことなく、
却て惡より救ひ(出し)給へ、

エ〜イ・メン(ヌ)
Amen.
アメンと。


もし、汝に罪ノ行いたる、汝、赦し給ふなら、汝等の天の父、汝にも赦し賜わらん。
然して、もし、汝、罪犯せし赦し与へざれば、父、汝等の罪赦し賜わる、是れ成らず。
For if ye forgive men their trespasses, your heavenly Father will also forgive you:
But if ye forgive not men their trespasses, neither will your Father forgive your trespasses.
蓋汝等若人の罪を赦さば、汝等の天父も汝等の罪を赦し給ふべく、
汝等若人を赦さずば、汝等の父も汝等の罪を赦し給はざるべし。


汝等、食断ち行いするに、陰気なる面、周りに晒すこと勿れ。
是れ、偽善者等ノ為することに也て。
其れ、見掛けの態、損なうに依りて、周りに食断ち行ひたる知らしめんとす行為也。
我、汝等に真を宣べん。彼等、既に十分に報いたるハ得したりと。
Moreover when ye fast, be not, as the hypocrites, of a sad countenance:
for they disfigure their faces, that they may appear unto men to fast.
Verily I say unto you, They have their reward.
汝等断食する時、僞善者の如く悲しき容を為すこと勿れ。
即彼等は、断食する者と人に見えん為に其顔色を損ふなり。
我誠に汝等に告ぐ、彼等は既に其報を受けしなるヲ。


然れど、汝等、食断ち行ひすらば、油頭に付け、顔は洗ひて清ふして保たれん。
然すれば、汝の食断ちするは周りに明らかならざりし。
然して、隠れたるに在す、汝の父のみノ知り賜りたるとならん。
然すれば、隠れて在りし知り賜う汝の父、汝に報ひ賜ひて下されん。
But thou, when thou fastest, anoint thine head, and wash thy face;
That thou appear not unto men to fast,
but unto thy Father which is in secret: and thy Father,
which seeth in secret, shall reward thee openly.
汝は断食する時、頭に膏を附け且顔を洗へ、
是断食する者と人に見えずして、
隠れたるに在す汝の父に見えん為なり、
然らば隠れたるに見給ふ汝の父は汝に報い給ふべし。


己が為に、蓄へするに精だすこと勿れ。
秘蔵されたる、ここ地上にては、衣蛾やら錆やらによりて蝕まれん。
また、盗人打ち破りに入りて盗りにて去りなむ。
Lay not up for yourselves treasures upon earth,
where moth and rust doth corrupt,
and where thieves break through and steal:
汝等己の為に寳を地に蓄ふること勿れ、
此處には錆と蠹と喰ひ壊り、
盗人穿ちて盗むなり。


然して、汝等の宝たる、天にて積みて、増やして、蓄えん。
其処にては、衣蛾もて錆もて損なわるる有らずにして。
また其処ならば、盗人、打ち破りに入りて、宝奪ふる、是れ適わじにして。
But lay up for yourselves treasures in heaven, where neither moth nor rust doth corrupt,
and where thieves do not break through nor steal:
汝等己の為に寳を天に蓄へよ、彼處には錆も蠹も壊らず、盗人穿たず盗まざるなり。


汝の宝、有るところ、汝の心もまた在りしかば。
For where your treasure is, there will your heart be also.
其は汝の寳の在る處に心も亦在ればなり。


眼、是れ体の光明なりし。若し、汝の双眼、曇りなく純粋たれば、
汝、全身隈無くに、光、十全に備わりたる。
The light of the body is the eye: if therefore thine eye be single,
thy whole body shall be full of light.
汝の身の燈は目なり。若し汝の目清くば全身明にならん、

然して、若し汝ノ双の眼、邪まなれば、汝の体、全て闇満つるにやがて至らん。
然すれば、若し汝の内にての光、其れ暗くば、闇たるの何と大きいもので有ることか!
But if thine eye be evil, thy whole body shall be full of darkness.
If therefore the light that is in thee be darkness, how great is that darkness!
汝の目惡くば全身暗からん。然れば汝の身に在る光すら暗黒ならば、
暗黒其物は如何あるべきぞ。


誰も、二君に仕える、是れ叶わじ。一憎みて、他愛されん。
もしくは一堅く守りて、他見くびりて捨て置かれん。どちらかならんや。
汝等、神と富、共に仕える、是れ叶わじ。
No man can serve two masters: for either he will hate the one, and love the other;
or else he will hold to the one, and despise the other.
Ye cannot serve God and mammon.
誰も二人の主に兼事ふる事能はず、其は或は一人を憎みて一人を愛し、
或は一人に從ひて一人を疎むべければなり。
汝等は神と富とに兼事ふる事能はず、


然るによりて、我、汝等に宣べん。生きるに心煩いすること勿れ。
何食せんや?何飲せんか?、若しくは、体に何まといするや?。
飲み食い、是れ人生より要也しか?。然して、体、衣服より大切ならんや?。
not serve God and mammon.
Therefore I say unto you, Take no thought for your life,
what ye shall eat, or what ye shall drink; nor yet for your body, what ye shall put on.
Is not the life more than meat, and the body than raiment?
故に我汝等に告ぐ、生命の為に何を食ひ、身の為に何を着んかと思煩ふ勿れ、
生命は食物に優り、身は衣服に優るに非ずや。


空ゆく鳥等見やれ。彼れ等、種撒くせず、刈取りせず、蔵に収めるもない。
然るにて、汝等の天の父たる、彼れ等養ひ育て賜ひておられん。
汝等、彼れ等より遥か優れたるならんや?。
Behold the fowls of the air: for they sow not, neither do they reap, nor gather into barns;
yet your heavenly Father feedeth them.
Are ye not much better than they?
空の鳥を見よ、彼等は撒く事なく、刈る事なく、倉に収むる事なきに、
汝等の天父は之を養ひ給ふ、汝等は是よりも遥に優れるに非ずや。


汝等の内にて、誰、心配するによりて生き在るに一時を加ゑ得る?
また、何故に衣のこと思ひて悩み給ふ?
野の百合、如何にして育つか思ひ給ゑ。
勤労なくして、糸紡ぐもせずなり。
Which of you by taking thought can add one cubit unto his stature?
And why take ye thought for raiment?
Consider the lilies of the field, how they grow; they toil not, neither do they spin:
汝等の中誰か、思煩ひて其生命に一肘だも加ふる事を得る。
又何とて衣服の為に思煩ふや、
野の百合の如何にして育つかを看よ、
働く事なく紡ぐ事なし、


然れど、我汝等に告げん。
かの名高き壮麗たる都ソロモン、その全盛期も、
野百合ノ一輪にも及ばざりき也。
And yet I say unto you, That even Solomon in all his glory
was not arrayed like one of these.
然れども我汝等に告ぐ、
サロモンだも、其榮華の極に於て、
此百合の一ほどに装はざりき。


何故に、神、野の草花さへかくの如く粧ひ賜れるか、若し汝等知りたれば…
其れら、今日ありても、明日は炉の火へと投じ入れされん身たるものなるぞ。
Wherefore, if God so clothe the grass of the field, which to day is,
and to morrow is cast into the oven,
今日在りて明日炉に投入れらるる野の草をさへ、
神は斯く装はせ給へば、


彼、汝等の粧ひ、更に豊かなりてに賜れんことなどあらんや?
shall he not much more clothe you,
况や汝等をや、


嗚呼、汝等斯くも信仰、少、也しか?
O ye of little faith?
信仰薄き者よ、


然るにて、『何食みて?』、若しくは『何飲むに?』、
若しくは『何をまといし?』などと曰ひて悩みすること勿れ。
Therefore take no thought, saying, What shall we eat? or, What shall we drink?
or, Wherewithal shall we be clothed?
然れば汝等は、我等何食ひ何飲み何を着んかと云ひて思ひ煩ふこと勿れ、


是れ等、全て神知らざる異邦人らが、心砕きて好んですること也。
更に、汝等の天に在したる父たるハ、汝等が其れら要されしもちゃんと存知たる。
(For after all these things do the Gentiles seek:)
for your heavenly Father knoweth that ye have need of all these things.
是皆異邦人の求むる所にして、汝等の天父は、
是等の物皆汝等に要あるを知り給へばなり。


然れど、第一に求むるべきハ彼の王国たるにぞ。
そして、彼にある『義』ヲば尊びにて生くることにあらん。
然すれば、要されてある全て汝等に良くにして彼賜れん。
But seek ye first the kingdom of God, and his righteousness;
and all these things shall be added unto you.
故に先神の國と其義とを求めよ、
然らば是等の物皆汝等に加へらるべし。


然るにて、明日につきて思い煩うこと勿れ。
明日は、それ自身が自らにて考ゑするに依りて。
日々に悪しきハ起こりして、其れのみにてで十分足るる。
Take therefore no thought for the morrow:
for the morrow shall take thought for the things of itself.
Sufficient unto the day is the evil thereof.
然れば明日の為に思煩ふこと勿れ、
明日は明日自己の為に思煩はん、
其日は其日の勞苦にて足れり。


裁くこと勿れ。然もなくば、汝も裁かれてに有らん。
Judge not, that ye be not judged.
人を是非すること勿れ、然らば汝等も是非せられじ、


汝が輩ヲ裁くに依りて、汝も同じく裁かれん。
そして汝、用いたる同じ物差にて、汝も測られん。
For with what judgment ye judge, ye shall be judged:
and with what measure ye mete, it shall be measured to you again.
其は人を是非したる如くに是非せられ、量りたる量にて亦量らるべければなり。


何故に兄弟の眼に、おが屑あるの認め得るに、
汝自身の眼に、梁ノ張り出したるに注意払ふせん?。
己が眼に、張り出したる梁の絶えず備わりあるに関わらず、
如何して、兄弟に向かいて、汝の眼よりおが屑取らせよなどと曰い得る?
And why beholdest thou the mote that is in thy brother's eye,
but considerest not the beam that is in thine own eye?
Or how wilt thou say to thy brother, Let me pull out the mote out of thine eye;
and, behold, a beam is in thine own eye?
汝何ぞ兄弟の目に塵を見て、己が目に梁を見ざるや。
四或は汝の目に梁あるに、何ぞ兄弟に向ひて、我をして汝の目より塵を
除かしめよと云ふや。


汝、偽善者ならんや!
Thou hypocrite,
僞善者よ、


先ずハ、己が眼より張り出したる梁ヲばとりて除き給ゑ。
然すれば、汝、事物明白に見ること得んしかば。
兄弟の眼よりおが屑取り除けるは、それからにせい。
first cast out the beam out of thine own eye;
and then shalt thou see clearly to cast out
the mote out of thy brother's eye.
先己の目より梁を除け、
然らば明に見えて、
兄弟の目より塵をも除くべし。


聖別さるるべき尊きもの、犬に与ふること勿れ。
また汝に備わりし其の真珠、豚に投げ与ふる勿れ。
若しに、汝、是れ行わば、彼のものども足もて踏んで躙りてヲせん。
然して、やがて振り向き返りて、汝牙もて引き裂かん。
Give not that which is holy unto the dogs,
neither cast ye your pearls before swine,
lest they trample them under their feet,
and turn again and rend you.
聖物を犬に與ふること勿れ、
又汝等の眞珠を豚の前に投ぐること勿れ、恐らくは足にて之を踏み、
且顧みて汝等を噛まん。


頼みにて求めよっ、然らば、与えられん。
探しにて求めよっ、然らば、見つけられん。
打ちにて叩けよ、然らば、扉、汝に開かれん。
Ask, and it shall be given you;
seek, and ye shall find;
knock, and it shall be opened unto you:
願へ、然らば與へられん、
探せ、然らば見出さん、
叩け、然らば[戸を]開かれん、


求めしは誰もが受くるによりて、探すは見つけ、そして叩くに戸バ開かれん。
For every one that asketh receiveth; and he that seeketh findeth;
and to him that knocketh it shall be opened.
其は総て願ふ人は受け、探す人は見出し、
叩く人は[戸を]開かるべければなり。


汝等の内にて、誰が食む求めし己が子おりて、石をば与えんや?
若しくは、彼の子が魚を求めしに、蛇与える真似だれするぞや?
Or what man is there of you, whom if his son ask bread,
will he give him a stone? Or if he ask a fish, will he give him a serpent?
或は汝等の中、誰か其子麪を乞はんに石を與へんや、
或は魚を乞はんに蛇を與へんや。


若し、其あらば、汝等、邪まな侭に在りしても、
自身の子らに良きもの給ふは、如何してかヲ知りたるにあらん。
天国に座す汝の父たれば、彼、求め給いし子等に尚更に、
素晴らしく良き贈り物、賜れんこと確かにして明らかならんや!。
If ye then, being evil, know how to give good gifts unto your children,
how much more shall your Father which is in heaven give good things to
them that ask him?
然れば汝等惡き者ながらも、善き賜を其子等に與ふるを知れば、
况や天に在す汝等の父は、己に願ふ人々に善き物を賜ふべきをや。


然すれば、全ての、凡ゆるに於て、汝自身が人から『我為されたし』と、
願い、請い求め、祈念さるるを、皆に同じく為し施されん。
是れこそ、律法と預言者の預かりしの真髄なりき。
Therefore all things whatsoever ye would that men should do to you,
do ye even so to them:
for this is the law and the prophets
然れば総て人に為されんと欲する事を、汝等も人に為せ、
蓋律法と預言者とは其なり。


*然りにて、すべてに於いて、されたしとの願い、周りの他にて行われん。
 是れが、法律の肝要なる精神そして預言者の預かりての要旨なりける。


狭き門より入れ。
広きなるは彼の門なり。それ幅広ふにてして破滅へと導き往かさんとす道なり。
多くの者、其れ潜りて入らん。
Enter ye in at the strait gate: for wide is the gate,
and broad is the way, that leadeth to destruction,
and many there be which go in thereat:
汝等窄き門より入れ、
蓋亡に至る門は濶く、其路も広くして、是より入る人多し。


厳しきなりが彼の門たり。
然して、此の狭きの道、命へと汝ら導かん。
ほん僅かしか、是れ見つけるヲ得じ。
Because strait is the gate,
and narrow is the way, which leadeth unto life,
and few there be that find it.
嗚呼生命に至る門窄く、
其路も狭くして、
之を見出す人少き哉。


偽りの預言者に用心せん。
其れ等、羊の皮被りて汝等の元來たるも、
然れど、心中に於きてハ残忍にしてなる狼たりける。
Beware of false prophets,
which come to you in sheep's clothing,
but inwardly they are ravening wolves.
汝等僞預言者を警戒せよ、
彼等は羊の衣服を着て汝等に至れども、
内は暴き狼なり、


持ちて寄らるる『実』に依りて、汝等、彼等ノ見分けされん。
荊棘の茂みより、葡萄なる、人が摘みて取り出せるや?
若しくは、無花果、薊に依りにて、その実たる出づれ得るや?
Ye shall know them by their fruits.
Do men gather grapes of thorns,
or figs of thistles?
其結ぶ果によりて彼等を知るべし。
豈茨より葡萄を採り、
薊より無花果を採る事あらんや。


如此の理に依りて、凡て良き樹々よりハ良き実結びして現われ出で給ふ。
然れど、悪しき樹々なれば、そのままに、悪しきの実結ばれして出ずらん。
Even so every good tree bringeth forth good fruit;
but a corrupt tree bringeth forth evil fruit.
斯の如く、総て善き樹は善き果を結び、惡き樹は惡き果を結ぶ、
善き樹は惡き果を結ぶ能はず、惡き樹は善き果を結ぶ能はず。

*良い木は悪い実を生み出すことはできず、腐敗した木も良い実を生み出すこともできません。
 A good tree cannot bring forth evil fruit, neither can a corrupt tree bring forth good fruit.


良き実、結ばざる木々、すべて切り倒されして、やがて炎の中へと投じ入れられん。
Every tree that bringeth not forth good fruit is hewn down, and cast into the fire.
総て善き果を結ばざる樹は、伐られて火に投入れらるべし。


斯様なるにして、其れのもたらす実に依りて、汝等、彼等の真実何たるか知るを得ん。
Wherefore by their fruits ye shall know them.
故に汝等其結ぶ果によりて彼等を知るべし。


我に向かひて、『主よ』『主よ』と呼びかけされんものら。
其のことごとく天の御国入るハ成らず。
然れども、だた我父たるの御意志たる行ひたるのみにてハ此れなされん。
Not every one that saith unto me, Lord, Lord, shall enter into the kingdom of heaven;
but he that doeth the will of my Father which is in heaven.
我に主よ主よと云ふ人皆天國に入るには非ず、
天に在す我父の御旨を行ふ人こそ天國に入るべきなれ。


其の日、大勢のものら、我に向かいて、
『主よ、主よ、我等、御名に依りて預言せしにあらずや?』そして、
『御名によりて悪魔払いて、多くの奇跡行ひせしにあらずや?』と訴へせん。
Many will say to me in that day, Lord, Lord, have we not prophesied in thy name?
and in thy name have cast out devils? and in thy name done many wonderful works?
彼日には、多くの人我に向ひて、
主よ主よ、我等は、御名によりて預言し、
且御名によりて惡魔を逐払い、且御名によりて
多くの奇蹟を行ひしに非ずや、と云はんとす。


然して、我、向かいて宣言せん、『我、汝等知りたるヲ得ず』と率直なる想いもて。
『我より離れ、去りて往ね! 汝等、悪しき行いたるらよ!』
And then will I profess unto them, I never knew you:
depart from me, ye that work iniquity.
其時我彼等に宣言せん、我曾て汝等を知らず、
惡を為す者よ我を去れ、と。


然るにて、凡ての我語りし言葉聞き入れして、そして其れ実践したるハ、
岩の上に家建てたる賢ひ男に似たり。
Therefore whosoever heareth these sayings of mine, and doeth them,
I will liken him unto a wise man, which built his house upon a rock:
然れば総て我此言を聞き且之を行ふ人は、
磐の上に其家を建てたる賢き人に比せられん、


雨降りて、大水下りて來たらん。
流れ高まりて襲ひしせん。風ハ強ふに吹き付け來らん。
其の家、連打にて損なわんとす。
然れど、其れ倒るるは有らざりし。
其れの基礎、岩の上に据えて置かれたるが故なりしかば。
And the rain descended, and the floods came,
and the winds blew, and beat upon that house;
and it fell not: for it was founded upon a rock.
雨降り河溢れ風吹きて其家を衝きたれども、倒れざりき、
其は磐の上に基したればなり。


然れど、我語りし是れ等言葉、聞きしても、尚も、実践せぬは、
凡て、砂上に彼の家建てたる愚かな人に似たらん。
雨降りて洪水押し寄せし。
流れ高まりにて、風強く吹き付けし、其の家を蝕み打ちてを重ぬん。
此の様ありにて、其の家、軈てに激しく崩れたり。
And every one that heareth these sayings of mine,
and doeth them not, shall be likened unto a foolish man, which built his house upon the sand:
And the rain descended, and the floods came, and the winds blew, and beat upon that house;
and it fell: and great was the fall of it.
又総て我此言を聞きて之を行はざる人は、砂の上に其家を建てたる愚なる人に似ん、
雨降り河溢れ風吹きて其家を衝きたれば、
倒れて其壊甚しかりき、と教へ給へり。


イエスの、言ノ葉語らるを終へ仕まいしに、群衆、彼の教えに甚く驚き当惑されし。
故なりしは、彼、権威備ゑたる人の如くして在るに、そして語るに教へ賜いしに。
然して、其れ等、彼等の既に知りたる四角四面の教師の如く悉くにあらざれば也。
And it came to pass, when Jesus had ended these sayings,
the people were astonished at his doctrine:
For he taught them as one having authority, and not as the scribes.
イエズス是等の言を宣畢り給ひければ、群衆其教に感嘆し居たり。
其は彼等の律法學士とファリザイ人との如くせずして、
権威ある者の如くに教へ給へばなり。


    〈了〉


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