8. Object-Oriented  析出という名の方法論。

文字数 3,383文字

   Object-Oriented:
   在ることを疑いえないものに準拠する。
   誰にとっても承認しうる客体を導きとする。*数字が妥当。

  母は、経営者としては素人さんであったと思う。でも、そうであってくれたお陰で、ボクは”分”を超えて、臆することもなく、色々と行動にでれたのだと思う。トップのレベルが分かっていたからこそ、大胆な企画を自分から積極的に進めることができたのだ。また、時を急がねばならないとの危機意識も持たざるを得ない状況もそこにはあった。「ほんと〜に良くできていた」と後になって思ってしまう...。

  僭越なれど「お金とは何か?」を改めて考えてしまう。何故、会社は利益の追求、拡大を求めなければならないのか?。『デカイ借金があるから!』は、さて置いといて...。無理に、方便として、考えだしたのは「可能性としての贈与」というものだった。これから新たなことを始める為の軍資金、市場からのお墨付きである。かなり罪悪感が薄まってくれる。「営業利益を如何に拡大していくか?」に、無い知恵を絞り倒していた。

  社員のやる気、意識改革を、見えざる枠にはめ込むことによって成し遂げるという思惑もあった。構想は以下のようなものである。

原価計算を柔軟に実態を写すものとする⇨生産も合理的に行わなう(市場動向に合わせてPunctualに)⇨事業ユニットを適正に分けて収益の情報を迅速に上げる⇨この実体に基づく賞与制度を作る。

これも「めっちゃ」素人発想。でもシンプルで、もし成されるならば、これに勝るものはないのではないでしょうか?。結論としてERPの導入をボクは推進していく。

自己の仕事においは、好きなように試行錯誤を行うことができた。
三つほど出来上がった考案を述べさせていただきます。

(1)「ストック・アンド・フロー表」
エクセルを使ったもの。縦は、その月での日割り。横には、三列あり生産量、出荷量、そして在庫が表される。内はバッチ生産なので、一回作りゃ〜ドカンと在庫が出来上がってしまう。生産量がこれに当たる。計画として【現場予約】も兼ねて、その月内の製造は全部先に入れてしまう。実施されたものは色が変わるようにした。ボクは、これをモニターと呼んでいた。現場情報も鑑み、日々の変動をこれで確認しながら、生産計画を、繰り上げ、追加、キャンセル等を工場に、細かな指示を行っていた。ゲームみたいなものです。課題は機会損失を無くす、要らぬ在庫を極力抱え込まないようにするの二点だけ。追記:季節の変わり目は、在庫に対して特に注意が必要だった。気温の変化に合わせて製品の組成が変わる体。売り切ることが課題であった。とても、やりがいのあるゲームだった。

(2)「スプリット」
毎年値下げ交渉が起ってくる。これから右肩上がりでの販売が見通される場合、コストダウンへの対応を、新たな仕切り値の決定後、即座に技術課員に入らせた。来年に向けてである。ギリギリまで低価格の原料も使ってみて、物性の確認を「もの」として行う。やっぱ、限界はありました。また、原料メーカーへも直接ネゴを行う。実績ベースが何より強い。説得力が違う。これらをスプリットと、ボクは呼んでいた。利益がね...、スプリットされて最大化されるわけです(w)。

(3)「発砲ボンド」
どこもかしこも値下げを言ってくるわけです。ある時、とあるケーキ屋がえらく流行っていて、大儲けしている話ををテレビで見た。そして、ふとボクは思ったそうだ...。「そうだ《空気》売ったろ!」と。考えてみれば、低反発の枕がいい値段で売れているではないか。いざ探索を行ってみると、これへのニーズに巡り会うこととなった。どうしても二液混合は避けられず、その為のミキシングヘッドのアイデアまで考えつくこととなる。要は、二つのドリルの形状の工夫です。二つの螺旋が、お互いの回転によって、クリーニング”し合う”というもの。ヘッドに付着して固形化する樹脂をこそげ落とす。金型のコストが掛かり過ぎて試作には進めなかった。

コヘレト:
『昔あったものは、これからもあり、昔起こったことは、これからも起こる。日の下には新しいものは一つもない』。
ボク:
「え〜分かっていますとも。でも、これらの再誕はスリリングな体験でした」。

 Re:【結晶化】 析出という名の方法論

  会社には年度計画なるものがある。要は『売り上げのノルマ』の分配だ。当然にボクにも、これは割り振られてしまう。みんな渋々、了承をしていた。できる訳もないのに...。根拠のない販売計画ほど虚しいものはない。
  このやり方を『形』から始めるとボクは呼ぶ。例えば『去年の実績の10%増しを売り上げ目標とする』。例えば『100億の企業になる為には、まず100億の企業の体裁』等 。だから駅前のビルに管理部を移した。だから組織横断的なプロジェクトを多数同時に行った。だから社員の福利厚生を兼ねて、食堂を自前で備えた。だから新橋の駅前ビルに支店を構えた。だから...。いいんだけどね。でもみんな何処かの真似でしかなかった。自称、元松○出身の顧問の提案を行っていただけ。マネ事に成果が着いてくる訳は無いと思うんだけど。体裁なんかどうでもいいと思うんだけどね〜。

  閑話休題。個人的に、この「外形から入る」は性に合わない。姿形は結果として現れてくるものだと思う。仕事で定めるのは大枠だけでいい。計画は、簡素で単純なものであるべきだ。確かに、要約する、まとめるは返って大変なことではあるが...。

  タイプ4が新規事案において、経験をもとに方法論を表すと以下のようになる。
注)字数を割愛すべく、あくまでイメージとしての表現としました。具体的な内容がないので訳がわからないとは思います。あくまで雰囲気だけ...。

  まず、ざっくりと大枠を決めます。この中で、活動する。密やかに、誰に知られることなく。速く、いかなるものも追いつくことかなわぬまでに。
時に沿っての織りをイメージし、反応を促進したり留めたりする。モチーフ(主題)を変奏しなおしたり、再帰させて印象を深めたり、あらぬ角度から新たなモチーフを差し込んでバランスを乱したりして、自ら軋轢をしょいこんだりをあえてする。
潜熱としての長い長い長い ”夜” である。この場に、時に対して、必要になるのは一片
の結晶の種である。自身の思い。本心からの願い。印を結び、噛み切った、指先から滴り落とした血の一滴。時の流れの中、ある臨界点を越えてくると、X項が洗い出されてくる。解が出現する。場の中に結像してくる。ボクは、これを ・析出・ と呼んでいます。

これは『解を導き出す、召還する』が方法論になります。
とにかく間違っても、“考えだす” とかは言わない。
自然と現れてくるのが不思議。


補記:
  例えば、発泡ボンド。何処に、そんなもののニーズがあるのか皆目分からなかった。執念深く探すと、マンションの内装工事の仕上げにおいて、ニーズが見つかった。コンクリートの躯体と壁面ボードの接着である。結露、防音、断熱の目的で、開発への期待を集めてしまう。*これはウレタン発泡による充填とはまた違う。PC壁に小山をいくつか作り、ボードを押し当てて、これを面接着で止める。

  発泡→硬化後に、体積収縮が起きないことが一番難の課題であった。土台無理な話ではある。独泡で、発泡反応では熱が発生することは避けられない。そこで、ボクは2段階での硬化というものを『空想』し、技術に対応を求めた。要は四成分の混合でる。AとBはメラミン樹脂である。先行して硬化を行い、ガラス質のジャングルジムを形成する。これは硬いが折れやすいといった特性がある。骨格の形成がその役目となる。そして、CとDが後追いで硬化して、折れたメラミンを縫合しつつ自身の硬化を強力に果たす。
  これであれば、事後の収縮は少なくなると思った。かなり強引なシステムではある。丁度メラミンの特許が切れていることが確認できたので、研究の意義はあったとは思う。しかし課員の技術は、従来発想からの検討から外れることはできず。アイデアは棚上げとなる。
  
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