2. CaseByCase やっと始動。

文字数 5,175文字

さて、執念で中途採用にこぎつけるも、その会社をクビにされてからのこと。時にボクは47歳である。
会社都合だったので給与は一ヶ月分まるごと先払いとされる。これは得した気分。また失業保険における
基本手当も再開される。振り返れば、所得給付日数は270日がスタートだっので呑気しようと思えばできた。だが、これは危険な選択と直感される。だから、再就職への努力は全力を上げたものとされていた。
侮ってはいけない。「即時、働く」が最善である。滅ぼしのドライブ、左回転に巻き込まれたなら、
絶対に、立ち止まってはいけない…。


Re: 集いの再開

糟谷先生のところでの集いが、また再開となる。先生のお店は、相談者がほとんどいない状態が長く続いていたので、訪問は、話し相手として十分歓迎はされた。ボクが行けばヨネちゃんも間違いなく来るので場は賑やかになる。先生にとってしゃべることが健康の秘訣であった。京極堂ばりの含蓄ある話をされる。あの方にとって、日がな一日中、あの個室で独り黙って過ごせば気も狂わんばかりのこととなろう。

先生は、ボクが[クビ]になったことに『それ見たことか』との見解を口にされた。『今日日、採用されても使い捨てされるのが関の山』であると。平成21年の頃は確かに就職氷河期で、まともな再就職が叶う次節ではなかった。「なんて時に!」の思いもボクを苦しめてた。だが『求めよさらば与えられん』が別途拠り所としてある。これを頼りとして頑張ってた訳だ。「少し、事情は違うのだが…」と内心思ったが、先生のおっしゃる通りでしたと神妙にしていた。またご指導をよろしくおねがいしますと伝える。

この会合は少し続いてゆく。求職の再度のチャレンジは、受けたダメージが大きかったこともあり即座にはできる心境ではなかった。従来発想を変えなければいけないと考えていた。以前と同じく、ほぼ毎日通いは行われる。このころ聞けた話で、ヨネちゃんからだったが、社長の右腕であった”彼”が会社を辞めたがあった。次期社長となる事を目論んでいた、ボクにとって最も面倒くさい存在であった人間がだ。理由は定かではないが、間違いなく彼女の存在が絡んでいたのだろう。これはえらく明るいニュースとしてボクには受け止められていた。ただし、退職するにあたり、彼の所有していた株式の引取額がとんでもない条件であると聞かされる。「あくまで風聞として聞けよ」と前置きされて、その金額を聞かされた時はショックだった。どれだけ彼が裏方の全般を引き受けていたかが察せられた。経理はボクにとって全くのブラックボックスであった。破格の優遇もいいとこだったのだ…。


この頃、先生は介護サービスの利用をされていた。生活援助の名目で、内容は掃除や買い物の代行である。この出入りのヘルパーが先生からすれば、気に入らない人間の類であったそうだ。あまり詳しくは話されはしなかったのだが、ケアマネに言って「変えてもらった」と話されてた。そして、ケアマネも介護職員も
”ロク”なのがいないとこぼされていた。この辺の事情があったればこそ提言の起点になったのだと思う…。

ある時、先生は介護業界で仕事に就くことをボクに勧められる。『人員が足りていない…』『事業所を起こし、親となれば、そこそこの身入りが期待できるでー』との誘い文句だった。その理屈には眉唾なものを感じたが、これが[定められたレール]なのだと直感していた。かなりの失望感/屈辱感を覚えたが、御心である以上、了解とせざる得なかった。事業所を立ち上げるためには、介護福祉士の資格が必要になる。これの受験資格は三年間の実務経験である。つまりはこの期間は仕事に拘束される。低賃金であろうが、なんであろうが、明日を夢見て頑張るしかない。「分かりました」と即座にアクション。ハローワークにてヘルパー二級の職業訓練を申し込む。競争率は低く、補欠も含めて全員が合格していた。期間は3ヶ月間。失業者なので無料。暑い夏の頃の話し…。

追記:

G の話したことの中で、彼がくどくしく説いた内容がある。[あの本]の中でも二回も語られている。
また別の機会に、年配の女性に直接語ったもの...。この二つが、ボクが介護職を選択するにおいて特に重要な示唆となっていた。要旨は以下のようなもの…。

誰もが予測をもって生きている。各自の常識に従って物事の進展を信じている。だが、もし通常ではないと思われるようなことが起き、ことごとく自分の読みが外れてしまうといった事態が起こったなら、これは何か大いなる力の干渉であるが故に、と見なさなければならない。自分の世界観、価値観からすれば、ひどく外れるものであっても、これに逆らってはいけない。下手な足掻きや反抗は、絶対に避けなければならない。そんな事をすれば、余計窮地へと運ばれていってしまうことになる。どこへ向かうやも知れないが、
全く未知なる領域に投げ込まれることになっても『素直に』状況の流れには沿わなければいけない。

We must not oppose forces higher than our own but submit and receive all their results with reverence, praising and glorifying the wonderful and providential works of Our Lord Creator.
( Belze., B1, p.59-60)

天が振舞われる力に逆らうべきではない。
すべて恭しく受け入れ、畏怖もって従え。
ほめ称えよ、賛美せよ、我らの創造者たる『神』を。
その深き愛もてなされる数々の技を。

もう一つの方:
人生において、「不幸な目にばかり会う」と嘆く年配のとある女性の話を聞いて、Gが語ったことが同じく思い出された。出典は分からなくなってしまったので、うろ覚えではあるがその内容を再現してみよう。

原因は、先祖の誰かが犯した罪によって血筋に入ってしまったもののせいであると。そしてあなたはこれを一族の代表として解消するべく選ばれたのだと。名誉のある立場と思わなければならない。責任をもってあなたはその悲しみを乗り越えて、罪の清算を果たさなければならない。すべては鎖の如くつながっている。
あなたの子孫は、あなたに感謝を寄せることになるであろう。


付録:

以下は完全にボツとされて、放置されていた内容です。
申し訳ありませんが未完成です。
お暇な方だけ、読んで頂ければいいかなと思います。

+++++++++++++++++++++


”身内に裏切られて立場を盗られた” が事の要点となろう。
当然に【怒り】を託つこととなる。
それも家族にまで被害が及ぶに至り”強大”なものとなる。
これにボクはとても苦しめられた。

「立場を取り戻すべくの戦い」としての選択もありえた。

考えるにおいて影響があったのは聖書とバガヴァットの教えである。
両者は真逆の内容であった。
しかし、ボクが従ったのはイエスの山上の垂訓の方であった。


Re: 回顧録

結婚で一旦家を出た●が実家に舞い戻ってきた。
旦那の不祥事で生活に困りはて、◇に泣きついた。
これがことの始まり。

寂しく独り住まいであった◇にとっては、これは喜ばれる展開であった。
そして、●は、その▲▲共々、会社に立場を◇の庇護の元で構えることとなった。
そしてボクは、社長である◇に会社を追ん出される。

*事情においてのすべてを、ボクが知り得たのはだいぶ後になってから。

この期間における◇のボクへの対応はそれは酷いものだった。
別人の如く、赤の他人の如くへと変わり果てていた。
非情なる存在だった。

「会社は●のもの!」と、ことあれば怒鳴りつけるようにして宣われる。
そうすることにおいて、唯一の障害が、ボクの存在だったが為に。
元来の「血縁に根ざすところの信頼関係」は、物の見事に反故にされていた。
「会社を追い出す」ことの結果、ボクの家族が陥るであろう苦境に関しての考慮は一切なかった。
そのことへの想像力は一切働かない。
「自分で考えなさい。あんたもいい歳なんだから…。」
「お◼️さんも、お◇さんも、そうして生きてきたのだから。」
自分がしていることが、どんだけ残酷な行為であるか分からない。
「ライオンは自分の子を千尋の谷に突き落とす」。
どこかのインチキペテン占い師にでも吹き込まれたのであろう。

*但し、彼女個人においては「孫たちにだけには会いた」が強く残る。

すべて背景にあるのは自分勝手な[エゴ]でしかない。

[自分]しかない。

『本質は嫁姑問題である』は、◽️◽️先生の見解だった。

「あまりに幼稚で低次元」が、ボクの感想だった。


Re: 『バガヴァット・ギーター』と『イエスの教え』

ボクは、怒りに関しては「スロー・スターター」。本性は「すぐカッとなるタイプ」なのではあるが…。
(あの両親二人の子であって、そうでない訳が無い。)でも、なぜだか…、即座の反応は起こらない。
ゆっくりと、時をおいて、怒りは込み上げてくる。そして蓄積されてゆく…。

何をされても、何を言われても、その場においては途方に暮れる、(思考は停止され)息を飲むのが精々だが、時が過ぎてから、事が済んでから後々に、ことの詳細についての理解がなされ、怒りは充満することになった。とてもタチが悪く、おいそれとこれが去る事はない。思わぬ時に込み上げてきては煩悶させられた。全容について理解するためののピースが欠けていて、これが埋められていくのに時間がかかった。これは考えようによっては良かったと言える。バカな事をしでかさずに済んだのだから…。主のご采配に感謝。

退任した取締役への慰労手当なるものがあった。これの承認は、クビにされた翌年の6月の株主総会でなされる。かなりの金額が規定されていたので、これは喉から手が出る程欲しかった。これも”抑え”として機能してくれていた。下手な意思表示は禁物であったのだ。


Re: こうした窮地において行動の指針とされた教えについて。

面白いのは『バガヴァット・ギーター』と『聖書』の〈メッセージ〉があの頃受け取られていたことだ。

ギータは「後先を考えず、戦うことを名誉として、立場を取り戻す為に戦う」を奨励する。

聖書は「悪と戦うことなかれ」「盗りたい者あれば、それに盗らせなさい」が示唆であった。

ボクにおいては、状況の判断において、後者を取るしかなかった。慎重なタイプであるがだけ。

構成される要素を見渡せば、『違法』なるは**猶予**実行**を●●で●●させている部分にしかない。取締役としての立場があったことは法務局にて記録がある事を確認したが、これは直ぐ外され、実家勤め(家政婦さん)とされていたので、追求するには弱い。しかしだ…〈あれの存在〉は屁みたいなもんで、力を注いで関与する事自体がバカらしい。兎に角、他には一切弱点らしきものはなかった。絶望的なまでに立場を挽回/奪取する道は、備えられていなかった。株式の半分をはるかに超えて所有する現社長たる母が敵に回っているのだ。勝ち目はあるまい。すべては「主の思し召しのままに」でしかなかった…。』

『バガヴァット・ギーター』の方だけ内容を〈しゃべログ〉に上げさあせて頂きました。一章と二章だけ。未読の方がおられましたら、これだけは目を通す価値があるとお伝えしておきます。
  

蛇足:

Re: 独り言

すべては、ボクが ”あの選択” をしたことによる。主はご自身についてを体験として語りうる人間を求められたのだ。振り返ってみれば、発端となったあの体験は呼びかけだった。白羽の矢が立てられたのだ。
そして、それなりに試練が潜り抜けられたなら、経験を外に向けて語る機会を与えようと考えられた。
また、それなりに「その語り」が頑張れたなら、更に、今度は彼の楽しみとなるであろう”SF”の創作の機会を100%フリー時間と一緒に与えようとも考えられていた…。

そして…トーカーは介護編をとうとう書くところまできた。
これから登場する方々は皆、舞台における演者でしかない。
選りすぐりの名俳優でしかあられない。

舞台を降りた今なれば、ご自宅で、悠々たる生活を送っておられるに違いない。
もしくは、天に戻って、『アイツアキマヘンデー』と主に嘆かれておられることだろう...。

” サレンダー” この語は今回使わなかった...。


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