15. Reminiscence アネクドーツ10。

文字数 4,438文字

  ○○工場に行った。まだ最初のころ。○○インターで長距離バスを乗り降りする。帰りに事務所勤の女の子が車でバス停まで送ってくれた。車中なんか話さなくてはと思い、実家のリリちゃん(マルチーズ)がこないだ手術を受けて帰ってきたが、お腹のおっぱいがミンナ無くなっていたことを話した。彼女は、あそこの主(ヌシ)の一人。

  同じく○○工場。社員は殆ど全員地元の人。本社と比べれば人間はまた違う。訳の分からんのがいたな..。それも立場は主任格。ボクはその頃、生産の合理化(原価の低減)に取り組んでいた。そんなの簡単。営業からの受注見通し(予測)を元に生産計画を立てればいいだけの話。精度が課題にはなるが...。とにかく無駄な残業、無駄な在庫を減らしたかった。副次的な効果として、仕損じも無くしたかった(余裕が大事)。
  現場を覗けば、生産主任の課長さんが、椅子に座り込んでゼイゼイやっている訳さ...。まるでボクサーが死闘の果てに最終ラウンドを迎えたかのように。まわりでは、みんな(暇なのか?)彼を取り囲み、「休んでてください」みたいなことを声かけしている。何でも彼は、無理な生産依頼に答えんがために一人で奮闘してきたらしい。さぞかし立派なことなんだろうけど、ボクには茶番に観えてしょうがなかった。彼は何かの漫画の読み過ぎなのだと思った。(ただのええカッコしいやん)。
  生産は営業に対して強くなければならない。営業が、お客様の立場をもって、無理難題を聞かそうとしようとも、それは断固跳ね除けられねばならない。営業は不測の受注でさえ、ソレ込みで、受注予測が立てられなけばならない。そういった厳しさを持ってくれてこそ、工場は無理も聞いてやれるようになれる。これが理想。
  ERPと連動する生産管理システムがある以上、これは必達だった。それがだ、ネット経由での情報に基づくことは一切なく、旧来通りの営業からの電話一本で現場は容易く回されていた。彼の誤った義侠心によって!。システムへの入力は、ただの体裁繕いの、些事に落ちていた。社内ルールの厳格化と彼を現場から外すことが課題と心に刻み、ボクは現場を立ち去った。追記:「ええ顔したい」。その動機がまたバカらしい。劣等感と虚栄心からだ。

  ある時、社長(母)が訳の分からんことを言ってきた。何でも方位が良いのでアメリカへ行きなさいと。大いに抵抗があるも従う。目的もなくサンフランシスコで二泊してトンボ帰り。何の収穫もありがたみもなかった。

  中国市場への足場を作るべく機会をうかがっていた時期がある。名古屋の繊維加工場さんとの縁が元で、これが整う。関係者、皆が旅券も宿の手配も済まされ、まさに出立の前日になって、社長が方位が悪いからその話を中止しなさいとの声が入る。即座に、(国際も含め)電話のかけまくりとなる。「ごめんなさい」に「すみません」ばかり。理由を語る段ではその内容の、あまりの「つまらなさ」に歯が浮いてしまってた。

  不思議なことに、ボクの在籍中には歳近い社員が多くいた。父が亡くなり、母による粛清の嵐の後は、彼らが主要なる部署を統べる。当然にボクへの対抗心は強力だ。とどのつまり、母は現場への依存を強める。彼等を大いに庇護し、可愛がる傾向となる。このことによっても彼等の攻勢には拍車がかかってた。ボクにすれば、やりにくいことこの上なし。社長たる母への批判をボクが強めれば、彼等彼女らは、母へのバックアップとして阿吽の呼吸で大勢を整えてた。徹底的なイエスマンとして彼女に寄り添い従っていた。まるで『太母』を取り囲む兄弟姉妹間の争いか!。具体的な話は省くが、中には行く行くは社長になること目論んでいた人間もいた。彼は母の右腕だった人間。信頼も厚かった。彼も、どういった事情でかは知らないが、妹の登板の結果、会社を辞めることになったらしい。これはボクが去ってからの話し。

  彼に関しは、ボクには興味深い話がある。いやある意味ショックを受けた話し。個人的な術式がある。これは「正しき論理は全てを支配する」と言うもの。要は正義は勝つみたいなもんかな。兎に角、ことの顛末においては見えない力としてそれは作用する。これの効果においては、幾度もいろんな現場で確認してきていた。それがだ、破られたのだ。彼においては。彼にはプライドと個人的な欲しかなかった。これは事実。だけど、ボクの作っていた檻は見事に砕かれてた。無敵が無敵でなくなった瞬間であった。*なんのことか分からないでしょうが、これで勘弁してやってください。追記:生前、父は、彼がいなくなると、うちの資金繰りがめちゃめちゃになると言っていた。

  また、母の左腕としての女の子がいた。これも只者ではなかった。向日葵おじさんを筆頭に、熟年男性社員に大いに人気があった(影で)。ジーパンの着こなしが素晴らしいとかなんとかw。あのフェラーリと肉体関係にあった娘。ボクにとっては、彼と同じく天敵としての配役。とてつもなく優秀ではあったのだろうが、育ちが悪いのは分かってしまう。サイキック張りの精神力の持ち主。めッちゃキツい娘だった。ボクを落とさんとまでしよった。ありがたいことに不倫を理由に退職させられた。

まだまだ山ほどありますが、この辺でAAA編は完全終了といたします。
長のお付き合いに心より感謝いたします。
誠にありがとうございました。

PS.
残りは[しゃべログ]でやるかもしれません(なんせ17年ありましたから)。
おヒマな時は覗いてやってください。
あれってアクセスがどうなっているのか皆目分からないんです。



付録:*以下は、偏狭な了見にて個人が感じたこととして聞いてやってください。

  Re: Damned !

  その一)紀元前13世紀、エジプトで奴隷として使役されていたヘブライ人たちは、モーゼに率いられてエジプトを脱出する。ファラオは連れ戻そうと軍隊を差し向けた。そして奇跡が起きた。モーゼが手を上げると“海が割れ”、道ができたのだ。ヘブライ人が渡りきったところで海は元に戻り、追いかけてきていたエジプト人はすべて溺れて死んだ。(旧約聖書より)

  テレビの特番だったか、上記における奇跡が、海底火山の活動を原因とした地殻変動によるものだとの報告があった。どこぞの埋れた記録を引っ張り出してきて、さも大変な発見であるかの如く、年配の外人さんは語っていた。.....何を言いたいのだろう?何をしたいのだろう?。番組の全体のトーンは抑制されていたとは言え、奇跡を只の自然現象へと引き摺り下ろさんとするものだった。視聴者の気を引くことが叶えば、それで目的は達成とするものだった。そして、全体としてのメッセージは、そのこと以外何にも無かったのだ。
  ボクは怒りを感じながら思ったのさ、「それになんの問題があるのか?」と。その奇跡が自然法則に則ったものであって、何が悪いのか?と。奇跡は奇跡として尊ぶべきである。タイミングがすべてだ。
  

  その二)『ダ・ヴィンチ・コード』は、2003年、アメリカで出版された。ダヴィンチの作品であるウィトルウィウス的人体図、モナ・リザ、岩窟の聖母マリア、最後の晩餐の謎に始まり、多くの【流言】とを結びつけた内容は世界的にヒット。44言語に翻訳され7000万部の大ベストセラーとなった。日本では、2004年5月に刊行された。日本国内での単行本・文庫本の合計発行部数は1000万部を突破した。(Wiki)

  読んじゃいない。でもなんとなく分かる。キワモノもいいとこ。イエスが、あのマグダラのマリアをだいて子を残したがキモだろう。Provocative かつ Controversial なだけの狂言。信じられないほど売れたことに絶望する。知的に装ったエロ暴露じゃん。これも高みにあるものを地に引き摺り下ろさんとする真似でしかない。語る価値もない。


  その三)『宣教師の立場 マザー・テレサの理論と実践』、1995年に刊行。マザー・テレサの慈善活動を極めて否定的に扱った書籍。彼女は、実際は偏狭で、有力者には媚びる姿勢を見せ、金集めに奔走する人物として描写される。(Wiki)

 これも読んじゃいない。しかし概要はザッとは読んだ。組織の政治力学(権力闘争)をまず念頭におかなければならない。それも『カトリック』なる国を超えた巨大政治機関としてのものを。どえらい金と地位名誉が割り振りされるとこ。
  マザーテレサがメディアに取り上げられ、世界中でその存在が知られるようになったのは冷戦時代の真っただ中だった。マザーは「カトリック教会」の広告塔としての役目を与えられていた。これは彼女がインドにて行った慈善事業での成果があったればこそ。敵は共産主義、ソビエト陣営。この抜擢は、理由目的があったとしても、組織内における軋轢を引き起こしたであろうことは想像に難くない。女性であることは、外に向けては良いが、内においては要らぬ反発を呼んだことだろう。組織内での、その手の男たち(神父)との見えざる格闘は大変辛いなものであったと思う。
  しかし、マザーも出来上がりがただの淑女であるわけがない。彼の地(アウェイ)で、無一文で、組織を、居場所を獲得してきたのだから。また部下(シスター)は、みんな女性。見目麗しい方ばかりであったろうが、その内にあるもの(嫉妬心)がまたややこしいこと、ややこしいこと…。取りまとめには理屈ではなく威をもって、カリスマをもってであったに違いない。一人一人に『貴方だけが、真実わたしの...』等の言葉をかけていたのではないか?w。また、何においても先立つ物は資金だ。どうやって確保できたのだろう?当然にヤクザ紛いの修羅場は避けられまい。タフなネゴシエーターである必要があったであろう。彼女は内戦下、難民救済のための会議に参加する。約束事として「戦争が止めば」の条件を引き出し、そしてこれを『為す』。どれだけの度胸と根性が必要であったか想像してみてください。この方、女性ですよ。
  生存としての環境が厳しいと、ある種の『存在』が獲得される。これは力を備えている。ただ、「気難しさ」も周りの未熟なる人間には感じられてしまうようになる。戦略的に広められたあのイメージは、確かに彼女の一面でしかない。だが安易なる批判の的にされるべき存在では絶対にありえない。(ボクにとっては永遠に、○○の目を持つ女性にすぎない)。

これでも思うのさ… ただ単に、高みにある存在を地べたに引き摺り下ろさんとする人間の悪しき『業』を、『性』を、...。

「お前は一体何がしたいんだ?」

「何が楽しいんだ?」

「お前は誰だ?」


Ab hoste maligno defende me.

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