1. Hello Checker アネクドーツ12。

文字数 4,072文字

天王寺から近鉄の準急で東松原。そこからは各停乗換えで恵我ノ荘へと至る。駅舎は小さくいが一応自動改札機はある。駅前の狭い商店街を抜ければ府道12号線。その向こうは住宅街が延々と広がっている。このあたりは平野になる。それも広大なやつ。坂一つ見当たらない。ニュータウンと比べると環境はまったく違う。人の住まいとしての歴史が長い。なので地縁はかなり濃いようだ。近くには大塚山なる古墳がある。
前方後円墳。一応言っておこう。駅から25分ほど歩けば、やっと妻の実家に到着となる。

初めて歩きで訪問した時は、最後のこの道行きで迷ってしまった。そんでえらい目にあった。延々あっちやこっちやらへとうろつき回るはめとなっていた。方向だけで足りると思ったのだが甘かった。ぶらぶら歩くうちに何処に居るのか全く分かんなくなってしまう。途方に暮れる羽目となった。やがては高速道路へとぶつかり、やっと見慣れた景色と相成った。ここからならなんとかなる…。次節も次節だったので、これは
致し方ない話ではある。先天性迷子は健在である。

着いたなら以前とは違うアクセスで門前に立つ。ばつの悪さを覚えつつ、ピンポン鳴らして来訪を告げる。そして閂外して中へと入る。玄関を上がれば、左手には縁側が続き、正面には無垢の木の一枚板の衝立。
これは奥の空間を分断している。正面、左側壁沿いに二階へと続く急で長い階段があり、これを登らなければならない。(皆の生活空間は二階に固まっている。)なかなかにきつい。実家のもそうだ…。

大概、妻はなかなか現れない。いつも不思議なことに思う。その代わりに義母が相手をしてくれる。でもこちらは立つ瀬がないのでぎこちなくて間がもたない。義父は部屋に閉じこもりで、たまにふらっと現れはするが、素っ気ない態度ですぐに消えていってしまう。*(一応挨拶でこちらは顔を出しはするが、お邪魔のようである。)やっと現れた妻は、気を効かせて車でボクを外に連れ出してくれた。少し離れたところにあるショッピングセンターへ行く。久しぶりに家族水入らずでの昼食だった。

約一年と数ヶ月、この月一の訪問は続けられた。離れてからの家族の様子をここにまとめます:

妻は家事の殆どを任され大変であったらしい。居住まいするに気は楽なんだろうが、以前のようにのんべんだらり勝手もできない。実際は窮屈な思いで過ごしていたそうだ。全く自由が無くなってなってしまってた。これに辟易となる。義父はいたく外向的かつ活動的なタイプで、彼女に求めることが何やらかんやらでてくる。昔からそうで、両親とも、彼女にはものが頼みやすかった。家が広いので毎日の掃除が大変だったそうだ。義母は是幸いに社交に精を出していた模様。(*)

息子(小六)においてドラマは多々あった。羽曳野という土地柄が彼には幸いしたようだ。おっとり無垢なる彼の性質が、こ地域の子供達には受け入れられていた。実家が小学校に近く、放課後には子供達の溜まり場と化していた。まったく気取りがなく善良なままの彼を気に入って受け入れてくれたそうだ。しかし、これは最後の方の話で、当初からは散々な目にあっている。聞いててとても辛い内容だった。皆からの苛めの的にされていた。でもいつの頃からか、ある少年が彼に親しく寄り添うようになっていった。この彼との良好なる関係性が、自然に周りにも派生していったのだ。聞けば、この少年の祖父は、うちと同じ羽曳野霊園に眠っているそうではないか。何故かボクは”ピン”と来るものがあって、やがての墓参りの折に、その名の墓石を探してみた。うちのから遠くない場所にそれはあった。そしてボクは想ったのだ、真夜中の集会を…。みんな親族の様子をよくご存知で、色々心配をされている。これを集まっては、ああだこうだと話し合っている。父の話を聞いて内の一方が『うちの孫に協力してもろたろか~』と言ってくださった…。不思議と、お膳立てがなされて、ことは整っていった。二人は、いつの間にやら親友とも呼べる仲となっていた。こんな感じであったのだと思う。(**)

娘(小四)には特段難しい内容はなかったようだ。クラスではピアノが少し弾けるというだけで一目置かれてたらしい。彼女にとって羽曳野は気に入らなかったようだ。「早くお家に帰りたい」と求められている。「パパ頑張って」だった。

やがて、妻は子供達を連れて自宅に帰ろうという思いになる。そういう向け先になったのだろう。
ことの了承を義父からもらうのに彼女は苦心する。義父は大反対であった。しかし「ばあば」が協力者になってくれている。父と娘して、それなりに緊張感のある話し合いがもたれた。その間、ボクはその家にはいない。子どもらを近くの河沿いに車で連れ出して、凧揚げ(ゲイラカイト)を寒風吹き荒ぶなかでしている。凧はアホ程舞い上がり、これを息子に手渡している。娘は怖がって取ろうとはしなかった。やがて凧は彼方へと落下してしまい、慌ててボクは取りに走っていってる。このへんの話は後に改めてしよう。抜けがいっぱいある…。

Re: ハローワーク。

最寄りは池田にある。歩きだとバスと電車の乗り換え含めて片道1時間少し。
それは辺鄙な界隈にある。近くの商店街も古くて、えらく寂れてしまってる。

荒野系…こんな言葉は通じが悪いだろうが、ボクの中には確りとある。
時々、定期的にこう言った場所に赴くように仕組まれている。
門真の自動車教習所、身内の遺体確認で赴いた警察署もそんな感じの場所になる。
目的に関連した建物は、みんな近代的、どれも立派。
やけにお金がかかっているのはせめてもの償いなのかw?。

ハローワークさんに、失業認定で初めてきた時は、心細くって情けなかった。
何より自分が、このような所に来なきゃならない身となったことに実感が持てなかった。
誰よりも会社のことを思い、仕事も頑張ってきたという(身勝手な)自負があったればこそ。
そこに居揃う人々は皆、辛気臭さかった。今の自分も他者から見れば、同然の顔をしているのだろうなと
思う。いやボクはもっとひどかっただろう。茫然としている。全く芯が失われてしまっている。
白痴同然の顔ではないか...。

朝一に来たのだが、やたらに人は多かった。ここでは、いつもかなり待たされる。
窓口の職員さんたちは皆若い。愛想は良いのだがあくまで事務をこなすの域を一切出ることはない。
すべては不適合、ルール違反者を洗い出すことだけに意識は傾けられている。
ここに職務の肝要はあるのだろう。
問題がなければ、後は機械的な事務作業を川下に託すだけ。

お役所とはなんたるかを実際初めて知ったのがここ。
あくまで仕組みにおいて事案を捌くだけに留まる。
鉄の意志の貫徹の元、数多の事案として、人々が機械的に処理されてゆく。

「 So so so cool !」

一度、健康面の事情において健康保険からの救済がないものか尋ねたことがある。
テリトリーの話しではないとわかった途端、切り捨てるも同然の対応となった。
心情的な意味おいては、なんの思いやりも、サポートも、ここに期待することはできない。
そんなものに答えていたら時間がいくらあっても足りなくなるんだろうね。

ここのことを話題としたのには訳がある。もうすぐボクは、介護保険なるものの下での仕事につく。
お役所仕事の延長線上にある業務だ。これが持つ建前と現場の矛盾において心は萎え細っていくのだから。少し前哨戦をと思った...。



追記:


*彼女は次女さんなんだけど…少しボクの見立てを述べておこう。
彼女は家の犠牲になるタイプだ。親からすると ”便がいい” 娘になる。この手の人達は、結婚がしずらい。
何故か”虚”(ウロ)が入りやすく、心に備わる性向に沿ってしか行動ができない。意識がどこかまだ未発達?。幼いのかも知れない(善く言えば純粋)。頭の良し悪し、勉強ができるできないは、成熟とは関係がない。ただの便利屋となりやすく、暗に酬いへの期待があるならば、ストレスをかこつだけとなりやすい。当人は、この矛盾を最後まで噛み砕けない。おっとりさんだから。偽善的な傾向にあることには最後まで
気付くことはあるまい。若い新人の政治家さんたちにチラホラ見かける。
家の犠牲になる娘... ”あの娘” もまたそうだ。

**こう言った感じで、お膳立てがスムースに整うということがある。もう一つ不思議な話し。仏壇を買ったのね。小ぶりだけどしっかりしたやつ。位牌がないので短冊に「■■家先祖代々の霊位」と妻に書いてもらいこれに毎朝手を合わせていた。最初に玩具みたいな厨子を買って、これでやってた。ちゃんと続けることができるとなってから仏壇は買った。サイズは横44高50奥20。

短冊立てを梅田で買った。これをどこで手に入れいいものか分からなくて困っていた。自然と導かれるよにして、そのお店には辿り着いていた。また、仏壇を見た妻はひどく癇癪を起こしていたが、なぜか急にこれは止んでた。後で聞いたところでは、「これは好しとせよ」と心に訴えがあったそうだ。冥界からの関与は、現実世界にもやはり及んでいるだろうと思う。
(この時節の話では、みたらし団子を買ってきて「どこにそんな余裕がるのよー」と怒られたがある。
ボクは極楽トンボで、心中、今からそんなに渋チンにならなくても...なんとかなるもんだよと思ってた。)

もう一つ、息子の親友となった子も含めて、家族して串カツを食べたことがある。全く予定外で、流れ的には勝手にそうなってた。場所は動物園前から通天閣に向けての商店街にて。これはボクの勤めとして準備されたイベントであったのだろう。つまりは、お返しである。

つけたり:

今年一年、大変お世話になりました。
今後ともよろしくお願いします。
皆様にとりまして2019年が良い年になりますように。

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