Just altered 04「時間つぶし」の噺。

文字数 2,577文字

ふた~つ(二人目):

頃合い同じくして、なんか忘れ越しけり…与へざりき(ワッパ)の噺なり。

年の頃ならば寺子屋四年かと。
身の丈においてハ、某と比ぶれば、やや低きにありたり。
毎度、想念なしの相貌、面構へにて、無性に不安ホバ掻き立てられぬん。
誠に不憫この上なしの坊主にありてで御座候。

此の(ワッパ)ホば、屋敷より連れ出で、待合まで送るが勤めでありにて候う。
朝に寺子屋へと通わんと、専門馬車に乗り込みて、(こぞ)って行かれん。
乗り込むヲ見届けするまでが勤めでありてに御座候。
月より金、週の五にての御用で、ありなむ(南~無~)。





早朝に、早駆けもって当地へ参りてにし候う。
やや新興の地所なれば、戸建ばかりが散見される。
山の箕面の、遥かるかな展望、近くとばかりに仰ぎみられん。
道の奥まった、隅も隅の端っこに、馬は繋ぎ止めておかるん。

当家へと至らんとしての直前に、総石造りの階段ありけり。
短けれど傾きキツく、コレ登るハ、毎度気重にして憂鬱の極みなりし。
その訳ハ、これから知られん…。

戸口の呼び鈴、勇もて鳴らされん。
毎度、応答乏しくして、待ちてに待ちてを重ねらるん。
やがてに遅くして、ご母堂童、連れ立ちて奥より現ハるん。

女子心労故の窶れ恒久的にして久しきなるがご様子。
童かぼそき体に徹底的に鉄面皮たるの面構え備へん。

此の折に、ご母堂より放たれおる、悲しみの粒子、瞬く間に玄関に満ちて溢れてゆかん。
心配の、恥辱の、先行きの憂慮の念、恒常のもの也ければ。
その強きが故に、深きが故に、心に遮るものなく、瞬時に同じゅうして染められん。

得苦醋符露惹啞(エクスプロージャー)され給ひ~しの、感じ取られてしまひ~しの…。

是れが誠に辛きことの一つでありけり。
ただ居た堪れなさのみ覚へ控ひしておれり。
急ぎ去ることばかり祈念しておったり。

彼を引き取りて屋敷をば足早に後にせん。
待合場へと手を繋ぎて共に行かん。
ものの五分ほど。
ここにさしたる苦労はありもうさん。

()れど、(しか)してで、ござる…。
本件、早めに屋敷を出立するが要件とされておれり。
その故たるハ、報償たり得るの単位刻をば勘案してのことでありけり。

要は、不必要なありて、彼(とも)ないて、是れを潰す必要ありてに候う。
その実際申しますれば、近隣の散歩なりてに御座候!。

大通り沿いにしばし歩みて、道越えて、今度は遡って、ずっと参って、
また道跨ぎて、折り返して、元の場所へと戻りくる。
つまりは道沿いにぐるっと回って戻るの行程~。

言わずもがなの噺をするなれば、彼ホば引き取りするの意味ハ、
以降の、安否のみならず、近隣近所への迷惑全般、其の責任を負うに如かず。
彼ヲ率いて塊になりてゆかんとせるも、分断/脱線ノ起こるが必定にして多かりき。

その道は広き道也けり。
行き交う車は少なけれど飛ばして来やらん…。
そしてある区画に、数階立ての長屋が接してあれり。

とある某の番の時でござる。

童、不意に側を離れ、集合長屋の奥へと踏み込みゆかんと欲す。
裏側に入り込みて、そしてそこにある階段登りて、上がりての気ままを行ハれん。
是れは所定の恒例の行程には全くあらじ。 

時の定まりが有る(よし)にて、
某、慌てて、止めひしいの、引き戻さんと試みるも甲斐のなかりしこと甚だしけり。
本格的な抵抗、本心からの振り解き、われ自由を此処に得たりの強情さに遭遇させらるん。

「剛力招来~「超力招来~」の歌声、彼心に聞きおりしておりしかば?…。

当然の噺、既に先逹らがするのヲ見習ひて作法は心得しておれり。
然れど、同じゅう振る舞いても結果ハえろうに違へてこれり。
それも段々と、大きく()れてゆけり…。

赤の他人の戸口ほば、ガチャガチャゆわし、どんどん叩き、ピンポン・ピンポン…。
そして更にその動きの素早きこと、素早きこと…。

夢遊病者の如くの徘徊はその一区画に至れば即座に始まりぬ。
そして段々と逞しく、高く高くへと変わってゆかん。
若きが故に、その足さばきは誠に良かけり。

嗚呼、嗚呼、毎度の毎回、たんとに、詠嘆の込み上げ、肝冷えるをば味わされん。
毎度に思うは、某の脆弱、押しの弱わさ、制圧力の乏しきことなりけり。
それら生来より備わっておらんことを残念に思ひ、
また是れこそ我が十字架たりると思ひにて御座候。

数度も当たれば当方にも匙加減の妙案、工夫の会得乃ありえしか?。
ね~しかば

時間に余裕があってよかったねーにしかず…。
規定の道行(みちゆき)ホば大幅に割愛せる乃、、繰り出せり。

某の担当の翌日、改めて任に着いた者は驚嘆せり。
従来の行動範囲を外れる強力な癖、彼に現れておりしが故に。

この者、夕刻番所に戻って直ぐ、
某に問うて言うハ、なんら異常なかりしか?。
がっ某の口より出し言葉は” いや…別に ”のみ也けり!。

疑い(くすぶ)りて去らじ。
風聞、少なき同胞らの間にて囁かれん。
某の番所での風評評判立場、この件が故にても、益々細りてゆかん…。

〈了〉


追文、

憎きこと一つありけり。
童、馬車に乗り込みて後は、某を一顧だにもせず忘れておるが当たり前なりしこと。
流石、天晴れ、天然の子也…。


あの歌は「稲妻男」の主題歌であったような気がする…。


〈まだまだ続くよアルタ〜ド〉



介入:

え〜とねー、
今後の方針として一つ決めましたのご報告しときます。
まずは玉を揃えるわ。Just altered の体裁で。可能な限り。

そんで、やがてには、みんなに糸を通すつもりで本編再開します。
是れしか道はない。

ついでに言っときますとー、
他の作品群は、バックアップの為にやってます。
要は、軍団構成をモチーフにしてんの。

主幹はどっちになるか分からないけど。
効果はやがて、複合的になる。
読んでくれる方がいればの話しだが。

長くのお付き合いに感謝しております。

アーメン。







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