12. Ecclesiastes 阪神淡路大震災。

文字数 1,733文字

1:1 エルサレムでの王、ダビデの子、伝道者のことば。

1:2 空の空。伝道者は言う。空の空。すべては空。
   Nothing is worthwhile; everything is futile.
(Vanitas vanitatum omnia vanitas)
8:7 何が起こるかを知っている者はいない。
  いつ起こるかをだれも告げることはできない。
8:8 風を支配し、風を止めることのできる人はいない。
  死の日も支配することはできない。この戦いから放免される者はだれもいない。
9:2 すべての事はすべての人に同じように起こる。同じ結末が、正しい人にも、
  悪者にも、善人にも、清い人にも、汚れた人にも、いけにえをささげる人
  にも、いけにえをささげない人にも来る。善人にも、罪人にも同様である。
  誓う者にも、誓うのを恐れる者にも同様である。
9:12 しかも、人は自分の時を知らない。悪い網にかかった魚のように、わなに
  かかった鳥のように、人の子らもまた、わざわいの時が突然彼らを襲うと、
  それにかかってしまう。



  Re:『一期一会』

  平成7年に、阪神・淡路大震災がある。「震度7」。被害は甚大。犠牲者は六千名を
越えていた。1月17日5時46分に発生とのことだ。ボクはベッドの中でかなりの横揺れ
を感じた。しかし震源はここ大阪ではなく、彼方であろうなとなんとなく思った。
もしかしたら関東からのものではないのか?...。であれば「トンデモナイことに
なっている」と不安に思った。少し覚悟をして、また眠りに落ちた。

  丁度、そのころボクは兵庫県の明石にあるとあるユニットバスメーカーさんに
新規の営業開発をおこなっていた。大惨事についての映像、ニュースを知るとこれ
も一つのチャンスなのだとの思いがあった。今ならば、他社は誰もアソコへの売込み
を行うものはいないであろうと...。ボクは敢えてこのタイミングでの訪問をおこなう。
もろに震災地を突き抜ける道程であった。

  電車は途中までで、あとは臨時バスや歩きで目的地まで行った。踏破の途中、
メチャクチャになった神戸の市街を目の当たりにする。ビル・マンション・駅舎など
が広範囲にわたって倒壊・全半壊している。かって、神戸の中心市街、三宮、元町は、
よく散策したり、デートで使った場所である。ここいらは震源に近いこともあり、モロ
に被害を受けていた。そのあまりの変わり様には、目を見張るものがあった。何もかも
が瓦礫と化している。道行きには、只又、巨大で無骨なだけのオブジェが延々と広がり
続いていた。「もうあそこはなくなってしまったのだ...」。
『無常ならざるもの』は何一つないのだ。すべては果敢(はか)ないことを、
すべては〈想定外に〉〈突然に〉に起こりうるものなのだとこの時思い知る。


  

8:15 私は快楽を賛美する。日の下では、食べて、飲んで、楽しむよりほかに、
  人にとって良いことはない。これは、日の下で、神が人に与える一生の間に、
  その労苦に添えてくださるものだ。
9:7 さあ、喜んであなたのパンを食べ、愉快にあなたのぶどう酒を飲め。
  神はすでにあなたの行ないを喜んでおられる。
9:9 日の下であなたに与えられたむなしい一生の間に、あなたの愛する妻と生活を
  楽しむがよい。それが、生きている間に、日の下であなたがする労苦による
  あなたの受ける分である。
10:19 食事をするのは笑うため。ぶどう酒は人生を楽しませる。
   金銭はすべての必要に応じる。


12:1 あなたの若い日に、あなたの創造者を覚えよ。
  わざわいの日が来ないうちに、また「何の喜びもない。」と言う年月が
  近づく前に。


12:8 空の空。伝道者は言う。すべては空。
   All is futile, utterly futile.
12:13 結局のところ、もうすべてが聞かされていることだ。神を恐れよ。
   神の命令を守れ。これが人間にとってすべてである』。



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