★. Confession to make. 懐かしき毒薬。

文字数 2,043文字

  サブタイトルの邦題はかってボクが高校生の時に作った本のタイトルだ。いつの頃からか日記をつけていたのだが、内容がだんだん変わっていった。なにかの創作のノートになってしまっていた。大体深夜、家族が寝静まった頃に書いていた。やがて、そこそこのボリュームになったので本にでもしてみようと思ったわけだ。更には自筆のイラスト入りで。なにせ、創作というよりも自動書記に近いものだったので、何か貴重なもののように思ってしまっていた。まあ、実例をあげたほうが話が早い。二つ程、問題のない範囲で再現してみよう.....。

•『ロッドのしないの遥か先、見事な貫き。長き針金、宙を裂く。撓(しな)って
  切り裂け内蔵筋肉。金属音が辺りに響き、すべての蒼さ、朱に滲む』。
  *釣りキチ三平のサーフキャスティング競技会篇にインスパイアーされている。

•『●●が呼ぶので行ってみると、『じっと、しといてね』と言う。
じっとしていると●●は、ボクの◯に指をめり込ませ、そして弄(いじ)り始めた。
何かを引き抜き、何かを埋め込む、何かを断ち切り、何かを繋げる.....(略)』
   *タイトルは「呪われた時間」だった。

  こんなのが延々と書き綴られていた。内攻的に自身に向けられるサジズムと性エネルギーの濫用誤用が特徴だと思う。後のなんか、100号キャンパスの油絵にもしている。それは、誰も居ない夏休みの部室で何日にも渡って、密かに描き上げられた。よほど気に入っていたのだと思う。(それもあるだろうが、なにかを残したかったのだ)。

  イラストも、空虚でうつろなものが、なにかの形態を自ずからまとって、彼方より現れてきたようなものだった。モダーンなデザイン的なもの、またギーガー張りの何かの幼体であろう生き物を横から見た姿のものもあった。*A4の緻密な作品であったが、完成はされなかった。これらのイラストも珍しく思えたので文章に一緒に添えてみた。

  ボクは、こういったものの創作に心の底から魅了されていた。導体として、ここに彼方のものを結像させることに陶酔していた。きっと、創作作業中のボクは、あのマダムキルケーの、ドンファンの立ち去った異界、その青白き光のオーラを発していたに違いない。

  また思考において、「してはいけないこと」をキーとした思考パターンを自分の中にあえて組上げることにも血道をあげていた。つまりは、色んな状況下で道徳的な行動イメージを反転させたものを先ずは意識に上がらせるというプログラムを作った。なぜって、暇ダッタからさ。また、異常な興奮をともなう快感がそこにはあったからだった。

  もうお分かりであろうかと思いますが、このエピソードはボクの犯した罪としての内容の記述である。ここに置くことが妥当と判断しました。読んでみて、なんのことかさっぱり分からないと思われる方が多いとは思いますが、ご容赦をお願いします。ここまでといたします。悪しからず。

              【毒麦のたとえ】

  イエスは語られた。「天国は、良い種を自分の畑(心)に蒔いてそれを実らせた人たちのものだ....。今から語るたとえを、よく心に留めておきなさい.....。

  よき収穫を願い、ある農園の主人(神様)が畑に麦の種を撒いた。しかし人々が眠っている間に敵(悪魔)が来て、麦の中に毒麦を混ぜていってしまう。芽が生え出て実を結ぶころ、同時に毒麦も現れてきていた。これを知ったしもべ達(天使たち)は慌てて、家の主人に報告をした、『ご主人様、畑にお蒔きになったのは、良い種ではありませんでしたか。どうして毒麦が生えいでてきたのでしょうか?』。すると主人は言った、『それは敵の仕業だ』と。しもべ達は『では行って、それを急ぎ抜き去りましょう』と言った。しかし主人は、『それはするな、今、毒麦を抜こうとすれば、麦も一緒に抜いてしまうやも知れぬ。両方とも、このまま育つに任せておけ」と言われた。「収穫の時になったら、刈り取る者に、まず毒麦を刈り集めて束にして焼き払い、麦の方は集めて倉に納めるように、言いつけよう』」。  マタイ 13:24–30 [意訳:byMe]

補記:

あの100号の絵は、卒業式の後で友達に手伝ってもらい家にもって帰って燃やした。
高校の三年のときの選択科目であった美術は10段階で9をもらう。あげたらあかんやつ。普通科なんだから。のりのりで生み出された石膏彫刻は返してもらってない。
組上げた自己内のプログラムは作るのは一時だったが、30年越しでも消すことができない。かなり後悔しています。

畑を個人の心とするならば、種が実を結ぶとはどういった意味だろうか?あの状態に至ることだろうか?なぜ、毒麦を抜こうとすると、よい麦まで抜くことになってしまうのだろうか?根が絡(から)まっているからか?未だボクには分からない。







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