3. The Lord’s Prayer 罪顕在をせり。

文字数 2,155文字

  帰って来てからしばらくはやることがなかった。家の近所に聖公会の教会があったので、日曜日にはミサに行った。ここはカソリックとプロテスタントの中間の立場らしい。(憐れみの歌の旋律は、ここのが一番好きだ)。以前には見向きもしない縁なき場所だった。初めてのミサへの参加の後、集会があって豚汁が振る舞われた。寒くなりだしていたのでありがたかった。おいしくいただいた。来ていた人たちは地味で大人しく感じられた。(何回目かのミサへの参加後、牧師さんが後で部屋にきませんかと誘ってくれた。沢山、本があるとのことだった。ボクは、このお誘いにはのれなかった。通えるのも今しばらくだと思ってたからだった)。

  家の近所には、そこそこ広い公園がある。昼過ぎにここを訪れ、気に入った場所で腰を下ろす。辺りには誰も居ない。少し気が整うのを待つ。そしてボクは目を瞑り、祈りをおこなった。声には出さない。心の中での祈りだった。ゆっくりじっくり一語一語の意味を呼び起こし、噛みしめ、味わい、そして我が思いとして渾身の力で彼方へと送りだす。

        【The Lord's Prayer】 (主の祈り)

”Father, may your name be honored for its holiness. Please, send your Kingdom soon. Please give me food day by day. Please forgive our sins for we have forgiven those who sinned against us. Don't let me allow to be tempted. Amen”

どこまで保(も)つか分からないが最後まで最大限の力を込めてみる。念の高まりのなか上昇感があった(頭に血が上っていっているだけなのかもしれない)。どこまで行けるか分からないが更に念を高めていく(とても苦しい)。更に上へ上へと.....。ある所からは、流石にヤバいとの予感があったので、これまでとして力を抜いて祈りを終えた。

  事後、体に変化があった。「なんだこれは?」。おかしなモノが体の中に存在していた。大脳を覆うようにそれは広がり、下に降りていっている。左脳の下部(脳梁?)奥に多く場を占めるが右脳下にもそれはあるはある。更にそこから喉を下り、心臓にアンカー、左右の肺の表面を下り左右の腹(丹田?)に深く潜っていっている。両肺下に大きなシコリ(ブロック)を形成していている。左半身の方が多い(厚い)ように感じる。とにかく脳を離れては、体の前面に所在し、脊髄などの背面には関係してはいない。「コイツはなんなんだ?」...。動く...。まるでヘビのように....。「コイツはなんだ?」。

      祈りは覚醒状態でのフルパワーで行われた。

  「コイツはなんだ?」...。。「意識がある」。その中枢は左脳だ。ある種の善くないと思われる想念をボクがもつと、これが強く存在を表してしてくる。「知性がある」。信じられない程よく練られた演出でボクの思考を誘導する。「悪意がある」。コイツにとって何か気に入らない時は左脳の表面に爪をたててくる。「チクッ」「コリコリ」っと。*こういう時は祈りで押さえる。しばらくすると大人しくなる。

  「命ある力場」? 「精神寄生生命体」? それとも....「彼」?。

  ある程度の期間における観察として、ボクは、これは自分の罪が実体化したものではないかと推測している。顕在化の理由は(あくまでも仮説だが)、祈りにより上部階層に突入したせいではなかろうかと。そのことによりメタ物質との接触があって、これが起ってしまったのではないかと....。もしくは只の脳障害(ダメージ)が原因なだけかもしれない。*数年後MRIで検査をしてみたが何も異常は確認はされなかった。
もともと居たのだと思う。【これ】は...。それが絶えず対象化されうる存在に、状況に替わったのであった。

  「コイツはなんだ?」....ボクは仮にではあるが、これを【エゴ】と呼んでいる。


補足:

上の主の祈りは、どこで憶えたのか分からない。(ルカのものであるが、なんの流派なのかが分からない)。ネットで調べても出て来ない。だが、一番シンプルなものだと思う。最後の”Don't let me allow to be tempted.”の内容は最近になってやっと分かった。単なる「誘惑、試みに会わせないでー」なんてものではない。
”ヨブ”のように、彼に許しを与えないでねーだ。つまりは ”Don't let him allow to tempt me” が背後にあるのだと思う。*だから”悪しきものから我らを守り賜え”がない。主は、かな〜りをさっ引いてではあるが、彼に少し許しを与えたようだ。ボクの場合だけどね。これは大部先の話しになる。ある時から祈りは日本語のものに代える。

このとき限りだ。あれほどのエネルギーを祈りにおいて使うことが出来たのは。まだ特殊な状態だったから可能だったのだ。






  
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み