第84話 そうなることだったかのように

文字数 884文字

 アジラナ。あの単細胞。こんな所に勝手に来てどういうつもりなのか。
 全くバカの考えることは理解できない。

 だからお前は上に立てないんだよ。

 ああいう奴がいるとせっかくの作戦に傷がつく。
 はぁ…どうかおとなしくしていてほしいものだ。

 ところでさっきの関西人…

 あの3人は一体誰だろう。どうやらあの子の名前をずっと呼んでいたみたいだけど…





 戦国原は帰りの支度をすると1人歩き始めた。すると校門の所に2人の女が座りこんでいる。

 驚くほど綺麗な顔。そしてよく似ている。姉妹だろうか。

『あ"~!えらいこっちゃえらいこっちゃ。どないすんねん、こんな右も左も分からんとこで誘拐されてもーて。あ"~えらいこっちゃ~』

『姉さん、落ち着いて。とりあえず警察に行きましょうよ』

 さすがに煌も頭を抱えている。

(ちっ、アジラナの奴…今警察に行かれたら面倒だな…)

『あの~、どうしたんですか?』

 眩と煌は小動物のような少女の戦国原に気付くと一瞬チラッと見たがすぐにまた頭を抱えて右往左往した。

『あ、あの!どうしたんですか!?』

 戦国原は少しムキになって言った。

『見たら分かるやろ、今ごっつう深く悩んどんねん。ちょっと放っといてくれ』

 確かに何も考えられないといった状況らしい。

 戦国原は質問を変えた。

『…今日は、こんな所に何の用があったんですか?』

 それを聞いて2人がはっと我に返った。

『そうよ!あなたここの学校の生徒よね?アカツキアイハってガキ…じゃなくて名前の子知らない?』

『あぁ、愛羽さん』

『知っとんのか!?すぐに呼んでくれ!急いどんねん!』

 戦国原はこれみよがしに困った顔をした。

『愛羽さんは友達です。でもあなた方はどこのどなたですか?得体の知れない人を友達に会わせるのはちょっと…』

『あぁ~!ほんならパパっと説明するさかいに』

 そうして戦国原は3人のことに加え神奈川での目的を次々に聞き出していった。

(大阪喧嘩會の天王道姉妹?何故このタイミングでここへ?ふふ、話ができすぎだ。まるで、最初からそうなることだったかのように、か…)

 戦国原は言われた通り2人と愛羽たちをすぐに引き合わせた。
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