第34話 企み
文字数 1,354文字
あれはなんという車だろうか。
左ハンドルなので外車らしきことは分かるが、愛羽たちは見たこともない車だった。
すると1人の女が降りてこちらに向かってくる。
驚いたことに車が外車なら乗っている人間も外人のようだった。
『ナニヤッテルノ?』
どうやら学ラン女たちの仲間のようだ。
『こいつら小田原の奴らしーんすけど優子さんに会わせろとかふざけたこと言ってんすよ』
『ユーコニ?フーン…ナンデ?』
『いや、それがなんか鬼音姫の奴がどーとか言ってて』
『…オニオトヒメ?』
それを聞いて外人の女は愛羽たちの方に向かって歩いてきた。
『ハイ、キミタチ。コンナヒルマカラゾクシャデノリコンデキタラダメジャナイ。デ、ユーコニナンノヨウナノ?』
イントネーションや発音は外人のそれだが使いなれているような日本語だ。
『ワタシ、クリスティーヌ・アジラナ。ヨロシクネ』
白く綺麗な肌、青い瞳、ブロンドの髪。更に着ているのがコートのように長い白い長ランとかなり目立つ。
その見た目は確かに綺麗だが、別に何をされた訳でもないのに危険な匂いがする。
愛羽の第一印象だった。
同じ外人のような顔でも、あの京都の嵐山イデアとは違う。
一瞬でも油断したら何をされるか分からない。
この人物の前に他のメンバーを行かせることが嫌だった。
仕方なく愛羽は相手の間合に入らないようにみんなの前に立ち喋りだした。
『あ、その優子さんって人の友達が連絡取れなくなっちゃって心配してて。それで会わせてあげたくて探してたんですけど』
アジラナはうんうんと頷いた。
『ヘェ、ナルホド』
その瞳はこちらを見ていて目と目が合っているのに、愛羽は自分のことなど何も見られてない気がしてしまった。
『キミタチハサァ、オダワラナンダヨネ。ヤシャネコナノ?』
『それもさっきから言ってるんですけど、あたしたちは夜叉猫でも悪修羅嬢でも覇女でもないんです。まぁ、みんな仲はいいですけど』
アジラナの瞳は確かに青いが愛羽はその奥に確かな黒さを感じていた。
(嫌な目…)
『アァ、ジャアキミタチガソノオニオトヒメナノ?』
『いや、それも違くて』
『エ?ッテコトハドコデモナイノ?ナノニゾクシャナンテノッテンダ』
『あたしたちは暴走愛努流っていうチームなんです』
愛羽がむっとして言い返したその時、無表情だったアジラナが一瞬ニヤッと笑った気がした。いや、絶対にした。
愛羽はそれを見て寒気がした。
『ナニソレ、ボーソーアイドル?』
『…はい。今はまだ6人だけど、ちゃんと暴走族です』
『ヘェー、ソウナンダー。ユーコノトモダチナラアワサナイワケニイカナイヨネェ』
何を考えているか分からない目をしている。でも喋りながら何かを考えている。
愛羽は向き合ったまま気を抜けなかった。
『ワカッタ。ジャアアワセテアゲルヨ。ツイテオイデ』
まばたきもせずそう言うとアジラナは車に乗りこんだ。
『マリアさん、いいんすか?』
学ラン女たちの1人がクリスティーヌでもアジラナでもなく彼女をマリアと呼んだ。
『イインダヨ。トモダチジャショーガナイダロ。オモシロソージャナイ。オマエラモコイ、ガッコウニイクゾ』
アジラナは明らかに怪しかったが会わせると言っている以上行かない訳にはいかず、愛羽たちは相談する間もなくついていくことになってしまった。
左ハンドルなので外車らしきことは分かるが、愛羽たちは見たこともない車だった。
すると1人の女が降りてこちらに向かってくる。
驚いたことに車が外車なら乗っている人間も外人のようだった。
『ナニヤッテルノ?』
どうやら学ラン女たちの仲間のようだ。
『こいつら小田原の奴らしーんすけど優子さんに会わせろとかふざけたこと言ってんすよ』
『ユーコニ?フーン…ナンデ?』
『いや、それがなんか鬼音姫の奴がどーとか言ってて』
『…オニオトヒメ?』
それを聞いて外人の女は愛羽たちの方に向かって歩いてきた。
『ハイ、キミタチ。コンナヒルマカラゾクシャデノリコンデキタラダメジャナイ。デ、ユーコニナンノヨウナノ?』
イントネーションや発音は外人のそれだが使いなれているような日本語だ。
『ワタシ、クリスティーヌ・アジラナ。ヨロシクネ』
白く綺麗な肌、青い瞳、ブロンドの髪。更に着ているのがコートのように長い白い長ランとかなり目立つ。
その見た目は確かに綺麗だが、別に何をされた訳でもないのに危険な匂いがする。
愛羽の第一印象だった。
同じ外人のような顔でも、あの京都の嵐山イデアとは違う。
一瞬でも油断したら何をされるか分からない。
この人物の前に他のメンバーを行かせることが嫌だった。
仕方なく愛羽は相手の間合に入らないようにみんなの前に立ち喋りだした。
『あ、その優子さんって人の友達が連絡取れなくなっちゃって心配してて。それで会わせてあげたくて探してたんですけど』
アジラナはうんうんと頷いた。
『ヘェ、ナルホド』
その瞳はこちらを見ていて目と目が合っているのに、愛羽は自分のことなど何も見られてない気がしてしまった。
『キミタチハサァ、オダワラナンダヨネ。ヤシャネコナノ?』
『それもさっきから言ってるんですけど、あたしたちは夜叉猫でも悪修羅嬢でも覇女でもないんです。まぁ、みんな仲はいいですけど』
アジラナの瞳は確かに青いが愛羽はその奥に確かな黒さを感じていた。
(嫌な目…)
『アァ、ジャアキミタチガソノオニオトヒメナノ?』
『いや、それも違くて』
『エ?ッテコトハドコデモナイノ?ナノニゾクシャナンテノッテンダ』
『あたしたちは暴走愛努流っていうチームなんです』
愛羽がむっとして言い返したその時、無表情だったアジラナが一瞬ニヤッと笑った気がした。いや、絶対にした。
愛羽はそれを見て寒気がした。
『ナニソレ、ボーソーアイドル?』
『…はい。今はまだ6人だけど、ちゃんと暴走族です』
『ヘェー、ソウナンダー。ユーコノトモダチナラアワサナイワケニイカナイヨネェ』
何を考えているか分からない目をしている。でも喋りながら何かを考えている。
愛羽は向き合ったまま気を抜けなかった。
『ワカッタ。ジャアアワセテアゲルヨ。ツイテオイデ』
まばたきもせずそう言うとアジラナは車に乗りこんだ。
『マリアさん、いいんすか?』
学ラン女たちの1人がクリスティーヌでもアジラナでもなく彼女をマリアと呼んだ。
『イインダヨ。トモダチジャショーガナイダロ。オモシロソージャナイ。オマエラモコイ、ガッコウニイクゾ』
アジラナは明らかに怪しかったが会わせると言っている以上行かない訳にはいかず、愛羽たちは相談する間もなくついていくことになってしまった。