第139話 瞬死す

文字数 525文字

『ねぇ!瞬!起きて!起きてってば!』

 琉花は必死に声をかけ続け瞬の体を揺さぶった。


 結局、瞬と四阿の戦いはあの後も繰り広げられ、それは四阿の薬が完全に切れ失神するまで続いた。

 今日初めて実戦でステロイドを一気に2本も使った四阿はまずステロイドによって作り上げられた筋肉の後効果、想像を絶する全身の筋肉痛に始まり蓄積されたダメージの全てが鎮痛剤が切れたと同時に体中を襲い、まるで酸性の毒でも口にしたかのように倒れこみ身をよじった。

 その内痛みに耐えられず気を失い今もまだ目を覚ましていない。

 あの槐が2度とごめんだと思うようにそれは本当にすさまじい痛みを伴うらしい。

 四阿が倒れると瞬も糸が切れたかのように倒れ、そのまま苦しむこともなく意識を失った。

 琉花と千歌がすぐ側に寄り、風雅も神楽も燎も集まり声をかけたのだが瞬は目を覚まさなかった。
 それどころかだ。

『ねぇ…瞬…呼吸して…できてないんだけど…嘘…え?…』

 琉花は呼吸を確かめると急に震えだした。

『脈も…弱いのか感じられない…チクショウ!起きろ!瞬!』

 千歌は顔を青くしてそれでも瞬の体を揺さぶり続けた。


 神楽は背中から背骨がズルッと抜けていきそうな感覚をなんとか耐えたが、頭の中は真っ白だった。
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